【奥美濃】金糞岳・北尾根 残雪ロングルート2013
【山 域】 岐阜県と滋賀県の県境/金糞岳1317m 【日 時】 2013年3月16日(土) 【メンバー】MICKEY、矢問 (下山はりんご畑さんもともに下山) 【コース】 八草トンネル東・濃江橋Ca450m-Ca849m-981.6m-金糞岳1317m -Ca875m-旧国道-濃江橋 |
去年3月20日に、僕が単独で行ったスノーシュールートをMICKEYも歩きたいとのこと。 MICKEYがこの金糞岳に登ったのは11年前の2月に南の高山からだ。 今年は雪解けが早いので気になるが、まだ明日ならギリギリ大丈夫と思う。 夕食を終えて午後8時半に荷物を積み込んで出発。神田PAで車中泊することにした。 午前4時に起床し、朝食タイム。MICKEYは久々の車中泊で熟睡できなかったらしい。 4時半過ぎに濃江橋へと向かう。気温はマイナス4度。星が沢山出ている。「晴れだな」 道沿いに雪が残っているところは除雪で集めた雪の所くらいで道沿いはわずか。 午前5時過ぎにまだ暗い濃江橋に着くと三重ナンバーの車が一台。寝ている様子。 僕らが出発準備していると釣りの人が2人来てしばらくお話しをした。今年はやはり雪が 少ないとのこと。八草トンネル上部にもところどころ地肌をのぞかせているのが見える。 |
「さあ、出発するよ」 | 第一関門の支尾根への急登 |
5:30 うっすら明るくなったので出発。去年と同じ時間だ。去年登った取り付き斜面はキツイの で下山でわかった斜面に取り付く。まだ雪がかちんこちんでやはり蹴り込んでもステップ が切れない。これではMICKEYなら滑るだろう。「アイゼンを付けよう」と装着。前回の 教訓で今回は出っ歯アイゼンを持参している。この斜面も去年とは大違いでところどころ 地肌が出ている。先にステップを切って登る。MICKEYは急斜面のトラバース気味の登 りにちょっと苦戦していたがなんとか無事登れた。「第一関門は突破したね。まだ少し急 な登攀があるので少しゆるくなるCa570mまではアイゼンのままの方が楽と思う」「了解」。 |
「第一関門を突破したね」 | 大きなクマの足跡沿いに進む・・・ |
6:10 Ca570m地点で尾根に乗った、しばし休憩。これまた去年と同じ時間だ。 雪がしっかり締まっているのでアイゼンのまま歩いて行くことにした。少し地肌が出たと ころがあった。やはり下部の雪解けは早いようだ。マンサクの黄色い花が開きかけていた。 Ca800mあたりで大きな熊の足跡が左から右へ。「うわっ、大きいし新しいね」とMICKEY。 しばらく行くとスパイク長靴の足跡がそれを追っているように南側斜面へと下っている。 猟師だろうか。そのあとの尾根筋には小熊の下ってくる足跡も長く続いた。 「この先に2箇所ほどスーッとまっすぐ進んでしまいそうな尾根があるから注意して。」 |
「立派なブナね~」 | ブナ街道♪ | 「雪が良く締まっているわ」 |
「了解。素晴らしい天気に、素晴らしく気持ちの良いブナの尾根ね♪」とMICKEY。 間違いやすい所では「ホントにここは間違いやすいね。」とMICKEY。「去年はもっと 雪の壁になっていたので見落としやすかったけど、今年はそれほどでもない」と僕。 |
「ギエッ、急登ね~」 | 「 良い感じの尾根筋ね♪」 | 「これが第二関門のヤブね」 |
去年も手こずった藪のところに来た。でも去年苦労したおかげでどう通れば楽かわかって いる。「ストックは収納して」ここももちろん去年より雪が少ない。しかし距離はわずか。 去年より雪が少なく、木々に覆い被さっていない分、通過するのは逆に楽なくらいだ。 「西側に落ちないように木をしっかりつかんで」「了解。でも木が下に向いているのでキ ツイね。」とMICKEY。「帰りの下りは、えっ、と思うくらい楽だから安心して」と僕。 |
「ヤブ地獄から出た~」 | 「振り返ると疲れが消えるわ♪」 |
7:50 藪地帯を抜けて小休止。 去年、顔を雪焼けしてヒリヒリしたので、ここで日焼け止めを二人ともしっかりと塗る。 「もう2つの関門も終わったので、ここからは展望ロングルート」と僕。 |
「静かで気持ちいい」と早くもTシャツ | 雪庇が崩れた |
二人ともスノーシューはザックに入れたまま。アイゼンのままが今日は歩きやすい雪質。 「さて、行くか。雑誌「岳人」にもこの北尾根が載ったので人が多くなければ良いんだけ どねぇ。大抵は浅又林道の方から登って来るから来るなら左手(東側)からと思う」と僕。 どんどん先に行くMICKEY。ついて行けない僕はマイペースで歩く。 |
「素晴らしい~!!」 | 雪景色にTシャツ1枚? |
9:05 Ca1039m。ピーク手前に大きなブナが鎮座している所だ。去年は9時に着いた場所。 「この分なら展望を楽しみつつ登っても去年と同じく10時半には山頂に着くよ」と僕。 「誰も登ってこないね。静かで良いけど」とMICKEY。「山頂には南から登って来た人が いると思うなぁ。去年も5~6名くらいいたし」いつになくMICKEYのペースが遅い。 遅いといっても僕よりは速いのだが・・。「久々の車中泊で寝不足で・・」とMICKEY。 |
登りのペースはついて行けない | 速度が落ちないのはなぜ? |
振り返る度に素晴らしい展望が広がる。そのたびにMICKEYは感嘆の声を上げている。 「来て良かった~。ホントに素晴らしい展望よね。疲れが吹っ飛ぶわ~♪」と笑顔。 |
望遠で撮ってもMICKEYは遠い | 「あのピークを右に行けば山頂ね」 |
10:00 Ca1211m。すぐ西のCa1223mが大きく見えてきた。「あそこまでいくのよね」とMICKEY。 「違う違う、金糞岳はあの山だよ」と僕。「それならもうすぐね」とMICKEY。 ここからは風がきつくなってきた。「あと半時間ほどで山頂に着くよ」と僕。 |
「だんだんと山頂が見えてきた」 | 「あれが山頂ね。先に行くわ」 |
西のCa1223m峰の斜面も所々地肌が見え始めかけている。やはり今年は雪解けが早いよ うだ。この雪上ロングルートも今日くらいで雪上シーズンが終わるかな。 MICKEYのペースがあがった。下から見あげると山頂には人影が見えないようだが、 どうだろうか・・・。 |
山頂に到着! | りんご畑さんとともに |
10:25 金糞岳山頂。1,317m。去年と同じ時間に山頂に着いた。今日は誰もいない。 去年はなかった赤い山頂札の所で記念写真を撮った。 歩いて来た北尾根を見ていたMICKEYが「誰か1人登って来るよ」とMICKEY。 まだ小さく見えるだけだが蛍光色の上着を着た人が北尾根を登って来るのが見える。 MICKEYがシャリバテぎみなので僕らは木のある方に行きランチの用意をした。 登って来る人が「矢問さ~ん?矢問さんやろ?」と大きな声で呼びかけつつ近づいてくる。 あのウインドブレーカーの色は沢登りでりんご畑さんが着ていたのを覚えているが、まさ かりんご畑さんではないだろうし誰だろうと、近づいていくと「あっ、りんご畑さん!」 聞けば、トンネル出口の三重ナンバーの車で寝ていたのはりんご畑さんで僕らより2時間 ほどあとに出発して、山スキーの人の記録を見て旧国道を歩き、急斜面をCa875m地点ま で登って北尾根を来たらしい。起きたら僕の車らしきのが横にあり、僕のレポートも見 たし、二人の足跡なのできっと僕とMICKEYに違いないと確信して登って来たとのこと。 それにしても僕らが5時間かかったのを3時間半ほどで山頂まで登って来るとは流石健脚! 「スノーシューも他の荷物も極力持たずに軽量にして軽身にして登って来た」とのこと。 MICKEYは「沢登りの達人」として、りんご畑さんのことを僕から聞いて知っているが、 お会いするのは今回が初めてで、とても感激してご挨拶していた。 |
りんご畑さんの下山は素早い | MICKEYが追いかける |
「矢問さん、ここ寒いし、風のないところまで行って食べようよ」とりんご畑さん。 「では、そうしましょうか。P1211mから北は風が弱かったですね」と片付ける僕。 |
りんご畑さん提供写真 |
せっかくなので三人で記念写真を撮ろうと三脚をセットするも、強風で2度も倒れて、 やっと3度目に撮ることが出来た。それほど山頂の風はきつかったと言うことだ。 |
りんご畑さんに歩行を学ぶMICKEY | 「雪がえらく緩んできたな」とりんご畑さん |
10:50 3人ともアイゼン姿のままランチ場所まで下山開始。 りんご畑さんの軽快な足取りにMICKEYは「速いね」とまたまた驚いていた。 「おや?西の空が曇ってきたな」とりんご畑さん。「晴れ時々曇りの予報だったけど、 えらく霞んできましたね。朝の方が展望抜群だったなぁ」と少々残念な僕。 白い山々を眺めながら下れるこのルートは疲れも吹っ飛ぶのだ。白い山々も去年ほどは まっ白ではないが、まだまだ雪は沢山残っている姿が見える。「お腹が空いた」とMICKEY。 |
「おなかが空いたよぅ・・・」とMICKEY | りんご畑さん提供 |
11:15 P1211mを下りやや西の雪の壁のところでランチにした。 山スキーの男性が1人横を登って行った。続いてまた山スキーの男性が登って来て挨拶。 浅又林道の方から登って来たらしい。少し休憩してまた登って行かれた。 シャリバテぎみだったMICKEYは、うどんやパンを食べてやっと元気を取り戻した様子。 りんご畑さんをお待たせしずきては寒かろうと、今日はお茶タイムはカットして後片付け。 「僕が登って来た旧国道からのルートで下山してみる?」とりんご畑さん。 「天気も薄曇りで霞んできたし、渡渉しなくて済むなら行って見ようかな」と僕。 「橋がある地点だから大丈夫」とのこと。MICKEYも「行ってみる」と。 地形図で見るとやせ尾根と下部にMICKEYの苦手な下り急斜面があるが、慎重にいけば 大丈夫だろう。 11:35 食事場所から再度下山開始。ほとんど朝の足跡は太陽の熱でとけて消えかかっているが 慎重に足跡を確認しつつ進む。先頭を行くりんご畑さんの軽快な歩行は速い。 |
やせ尾根を通過中 | 急な斜面は苦手なMICKEY |
12:50 「ここだな。この植林のあたりから朝出てきた」とりんご畑さん。 Ca875m地点に着いて小休止。 ここから北西尾根に乗り、途中で西の尾根ルートをとり、橋のある地点に出て、旧国道へ と登るという、りんご畑さんが朝登って来たルートを逆に下るのだ。 やせ尾根の所は、太陽の熱で雪が緩んでいて所々でズボッと足が沈む。左手(南側)は 雪が溶けて地肌が出ている部分があり獣道の様になっているので木をつかんで通過する。 「わっ!」MICKEYが雪の穴に足をとられて転倒。「大丈夫よ」と起き上がる。 先に行くりんご畑さんは朝の軌跡をGPSで確認しながら下っていく。もう朝のりんごさ んの足跡がとけて見えなくなっているのだ。うまく下らないと橋のある地点に行けない。 「ここで向こうの西の尾根に乗らないとだめだな」とりんご畑さん。 |
ジグザクに下るりんご畑さん | 慎重に下るMICKEY |
傾斜が急になってきた。上を見るとMICKEYは「楽しい~♪」と大好きな尻セードを しているではないか。「このザラメじゃ下手すると滑りすぎて木に激突するぞ」と僕が 言うやいなや「ああっ~・・・」とMICKEYの滑るスピードが上がりすぎ、制御できずに 木に「ドーン!」とぶつかり頭から雪上で逆さまになり止まった。 「大丈夫か!」といいつつ、僕は上に残ったストックを拾いに行き、下に落ちたストック はりんご畑さんが拾って下さった。 もがきながらMICKEYは体勢を立て直して立とうとしつつ「大丈夫です。おしりを木で 打っただけです。しっかりおしりのお肉がクッションになってよかった」と笑ってりんご 畑さんに言っている。足も大丈夫の様子。怪我もせずに良かった。 しばらく行くとまた急斜面になる。先ほどの転倒でビビリの入ったMICKEYは前のめり になって超ゆっくりモード。少しでも下りやすいようにりんご畑さんがジグザクにルート をとってくださる。「ステップをきっておいて」と後ろからMICKEYが言うので、MICKEY が足を置きやすいように僕がステップをきりつつ下った。ここ数年、老犬介護で雪の 山にご無沙汰だったMICKEYの下山の際の足や姿勢のカンがまだ戻りきっていない。 |
欄干より雪が積もっている橋 | 旧国道への登り |
13:50 地形図の「荒れ地」記号のところに出た。少し雪原のようになっているのだが、段々畑か 棚田でもあったかのような地形だ。トタン屋根が雪から少しのぞいている所があった。 村の田か畑だったのかも知れない。その左手から下ると橋の所にピッタリ出た。細い橋で 欄干まで雪がたっぷり積もっている。「朝と違って雪がとても緩んでいる。慎重に歩こう」 とりんご畑さん。りんご畑さんが少し沈む所は、MICKEYはもう少し沈み、僕はズボッ と沈む。橋の下は雪解け水が勢いよく流れる八草川(はっそうがわ)である。地形図では もっと下りやすい尾根もあるが、橋が無いところに出たら徒渉が大変なのだ。 橋を渡りきって少し左へ回り込み、上の旧国道へと標高差50mほど登る。朝の足跡が 雪にステップ状に残っていて急登だが登りやすい。 |
旧国道に出た | 「デブリに注意!川に落ちるなよ」 |
14:00 旧国道に出た。ここからは旧国道を車の所まで2km弱歩くのみ。 雪が緩んでいて足がとられて歩きにくいところ出てきた。あと800m位のところで 足が疲れだし、僕とMICKEYはアイゼンをはずしてスノーシューを履くことにした。 やはり緩んだ雪にはスノーシューは歩きやすい。足の疲れも感じなくなった。 雪崩れて道を塞ぐかのようなデブリが2箇所あった。「慎重に通過しろよ。滑ったら川に 直行の雪の滑り台だぞ」とMICKEYに言う。「了解」とMICKEY。 途中の堰堤の所には下に向かう釣り人の足跡があった。「釣り人も大変や」とりんごさん。 車が見えた。手前の橋には「はっそうむらばし」と名が付いている。八草村のなごりか? |
車の所に到着~/斜面の雪がとけている! |
14:45 車の所に到着。去年のピストンルートでは14時35分にここに帰着していているので 時間的には大きな差はない。(去年の尾根筋の下山はとても楽だからだったからでもある) 「りんご畑さん、ありがとうございました」と握手。 「ラブラブの登山に割り込んでゴメンよ。でも退屈せず歩けて良かった」とりんご畑さん。 「いえいえ、ありがとうございました。転けてご迷惑をかけました」とMICKEYも挨拶。 「また、矢問さんよろしくね~」と、りんご畑号が先に出発しお別れ。 朝、マイナス4℃だった気温はプラス12℃になっていた。 このルートもここまで雪が続くのは、今シーズンは今日がラストチャンスかもしれない。 山日和さんとはよく行く長浜の「あねがわ温泉」で汗を流し、早めの食事をして帰路に つくことにした。会員になっているので入浴料も食事料金も割り引いてもらえる。 「気持ちのいい温泉だったわ~」と初めてのMICKEY。「こんな明るい時間に来たのは 初めてだ」と僕。駐車場からは雪がほとんどとけている伊吹山が大きくよく見える。 帰路も快調に走り、寝不足だったMICKEYは熟睡し続けていた。 往復345km、19時に家に着いた。歩数計は20,368歩、脂肪66.4g消費と出ていた。 空気清浄機の配送到着が19時半。間に合った。長男も久々に帰省して帰宅した。 明日は次男の前倒し誕生日食事会。母も呼んで久々に賑やかになる。楽しみだ。 |
本日のルート |
この1つ前は「【岡山県】残雪の駒ノ尾山から後山までスノーシュー」の記録です |