沢【湖北】 南谷から武奈ヶ嶽(865m)
【行き先】湖北・滋賀県高島市・南谷から武奈ヶ嶽 【日 時】 2013年6月30日(日) 【メンバー】佐野・いるか・ひまわり・KZ・矢問 【コース】 堰堤前-F10m-F10m-F15m-武奈ヶ岳(865m) -赤岩山西峰-峠-国道303号線-堰堤前 |
「声をかけたけど誰も乗ってくれなくて、日曜だから矢問さんも行かないだろうな・・」 と佐野さんから「今年の初沢登りで足慣らし」のお誘い。こんなお誘いに乗るのはアホな 僕(矢問)といるかさんくらいだ、と佐野さんは読んだらしい。「大当たり」である。 行き先は数年前に相棒と行こうと思っていた湖北の武奈ヶ嶽に突き上げる南谷。 南谷の沢登り適期は5月下旬まで。水量も多くなく短い上にシャワークライムもなさそう な南向きの沢なので暑いだろう・・・。太陽にサラされてバテるのが心配な南ルート。 大きな台風の通過で相当な攪乱が起こり谷相も変わってしまっていると思うが、佐野さん とは昨年7月に今古川の沢登りに行って以来。体調も良くなったので「行きます」と返事。 朝4時に家を出た。湖西道路の渋滞がなく2時間半で近江杉山のバス停前に到着して しまい集合の90分も前。待ってるウチに気温は17度から20度になった。 「これ以上あがらないでくれ!」と暑がりの僕は祈った。 いるかさんを乗せた佐野号は7時40分に来た。いるかさんがスリムになっていた。 「受験生のおかあちゃんとして色々と頑張って気苦労したんだな」と僕。 少し先の施設の駐車スペースに行くと「おや?」ひまわりさんがいるではないか。 「ひまわりさん、KZさん、おはようございます」ひまわりさんも、クライマーのKZさんと共に アホ仲間に合流。「矢問さん、今日は初めてご一緒しますね。よろしく。」とひまわりさん。 でっかい堰堤手前のふくらみまでみんなの車を移動して出発準備。ヒルよけに沢靴や 沢スパッツ、ズボン、衣服にスキンガード(ディート)をしっかりスプレーした。 |
大きな堰堤は際を右へと登る | さて、正面の武奈ヶ嶽へ向かうぞ |
7:55 堰堤際まで行くと右に上がる階段があり堰堤を越える。しばらくは踏み跡沿いに左岸を進む。 倒木や枯死した枝が沢山流れてきている。沢の中も倒木が多そうな予感。 「日帰り沢登り」の遡行図にあるような小滝の連続は土砂や倒木で埋もれてしまっているのか すっきりしない沢相になっている。「おっ、小滝」と時々出ても先頭の佐野さんは巻いていく。 「佐野さんは濡れるのが嫌いだからね・・濡れるのが嫌なら沢に来るな!」と厳しいつっこみの いるかさん。「今日は足慣らしだから、これでいいの」と笑う佐野さん。 といいつも、時々は小滝を登り始める佐野さん。みんなもそれに続く。「こうでなくっちゃね」 |
ひまわりさんに続きKZさん | サワグルミの果穂が沢山 | ソレ行けどんどん |
沢の斜面もいたるところが崩れ、木も倒れて上部に大きなギャップが出現し太陽の光が 入り光環境の変化で沢沿いにイワヒメワラビやトリカブトが群生しているのが目に付く。 大きなサワグルミの木があった。4~6月の花木を終えてもう花序が果穂となり沢山垂れ 下がっている。次々に出る簡単な小滝を登って行く。 |
「これが6mの滝かな」 | 右から巻く |
8:55 「これが6mの滝かな」とKZさん。「左を巻くより右の方が巻きやすそう」と佐野さん。 右を登っていくが、木の根をつかんでよっこらしょ。 巻いた所にヤマアジサイがひっそりと咲いていた。次の3mは左からひょいと巻く。 |
この滝は右から巻く | ひまわりさん、ガンバ! |
次の5mの滝は溯行図通り右から巻くが悪い。木をつかんで佐野さんが先行して登り、 ロープダウン。続くKZさん、ひまわりさん、そして僕は、ロープマン2などのアッセンダーを つけて登る。待機している佐野さんの横を木につかんだまま抜けないとならない。アッセ ンダーを佐野さんが外してくれる。嫌らしい下り開始。ここでKZさんが懸垂下降の準備を して肩がらみで沢床へ下りた。ひまわりさんが続く。「懸垂下降がいるかなぁ・・・」と見ていた 佐野さんは右横の岩際から右手斜面へ飛び降りた。僕もそれに続き飛び降りた。 最後のいるかさんはKZさんのロープを活用して沢に下りた。 (9:30a.m.) |
この10mは直登無理 | これも直登は無理だな・・・ | 右手の斜面から巻き上がる |
9:35 10mの滝。「こりゃホールドがないし登れないな」と残念そうな佐野さん。 滝の横でしばしの休憩。横にはオオバギボウシの白い花。 ブヨが大量に飛んできたので、苦手な僕はハッカ水をヘルメットから体中にスプレーしたら、 見事に僕の周囲にはいなくなり、いるかさんの方へと飛んで行った。ひまわりさんは朝市で 買ってきたお弁当を食べていた。ひまわりさんは虫コナーズをザックの横に付けている。 佐野さんとひまわりさんの近くの地面で大きな毛虫が動いていた。 |
「この木が越えにくいわ」 | 沢へと下る嫌らしい斜面 |
遡行図では右から巻いているが、佐野さんは右横の細い二段15mの滝を登ろうとする。 「無理だな」とさらに右手の踏み跡らしきところから巻いて15mの懸垂下降のはずが、 斜面が崩れている。佐野さんが右から木の間を登り、ロープダウン。またアッセンダーで みんなは登る。嫌らしい斜面を掘りつつ木の根をつかんで左へトラバース。滝をまたぐ ように左へすすみさらに1段上の木を越えると遡行図では懸垂場所だが、横が崩れて いて木の根をつかみながら慎重に斜面を斜めに下れば行けそう。 トップにいたKZさんが先に下り、ひまわりさん、僕と続く。懸垂の必要なしだった。 15mの懸垂の予定の所はロープがいらずに、それまでの滝の巻きでロープがいる壁に 変わってしまっているくらいに、ここ数年間の台風通過や土砂崩れで谷相が変化している。 |
「これ登れないかな」といるかさん | 巻くしかない・・・ |
「クールダウンできるようなシャワークライミングが無いねぇ」「ガレ場の歩き練習だな」 いくつか小滝が続くものの5mのチョックストーンの滝らしいのはわからない感じ。 二俣の後の10mの滝はまたまた木の根などをつかんで右から巻く腕力勝負。 |
15mの滝 | 左斜面のルート作りのKZさん |
11:00 15mの滝に到達。「矢問さん、記念写真を撮ろう」と佐野さん。三脚を出してセットする。 溯行図では右を途中から巻いているが、木があるもののどうも悪そう。左の崩れた粘土質 の斜面を狙うと佐野さん。なかなかの傾斜の斜面をここはKZさんが先行してハンマーで 足場を作りつつ登るが、足場を作る度に落石や土が次々に落ちてきて「ウワッ」と下で 待つ者はあちらへこちらへと避難。崩れてくる土で作った足場も埋まり気味。 |
落石をよけつつ見守る | いるかさんを見守る佐野さん |
続いて佐野さんが登った。続いてひまわりさんが登るが落ちそうな岩を先に落として土も ざっくり落ちてしまい足場を失いズルズル~っと3mほど滑ってきたので止めた。 佐野さんが上からロープを投げてくれ、ひまわりさん、僕、いるかさんとゴボウで登る。 巻き終えて沢に下りると、右手の苔むした岩場に花期を終わりかけているタチカメバソウ がひっそりと咲いていた。 |
左からひまわりさん・右からKZさん | 佐野さんも登る | いるかさんも登る |
このあとも2m~3mの小滝が出てきた。「もう滝も終わるぞ・・ここで登らないとどうするんや・・」と 思っていたら佐野さんも登ったので、みんなそれに続いた。 バランスと足上げの柔軟性がいる3mほどの小滝も登る。しかしほんの右肩まで濡れただけの シャワーのみで登れてしまった。「コレじゃ体がヒンヤリしないなぁ・・・・」と僕。曇ってきたのが救い。 |
ひまわりさん、うまい! | 溯行修了、もうすぐ山頂 |
12:00 水が切れる前に水を全員沢水をペットボトルに補給。ここで沢筋登りもおしまいだ。 「矢問さん、また水飲んでる」といるかさん。今日は本当によく飲む。 体内温度を水を飲んで下げているというか、なんというか・・・。 この少し上はもう涸れ沢だけど、以前は水が流れていたのだろう。ひからびた沢ガニが 複数転がっていた。 あとは距離にして300mほど草の斜面をジグザグに登れば高島トレイルの道に出る。 今日の沢登りで体が冷えることも無かったので、体も熱くなってきた。 「いるかさん、先に行って。2~3分涼んでから行く」と僕。 振り返って遠くに見える山々の景色を見ながら、心地よい涼しい風を受けてクールダウン。 「さて、行くか」と進むと佐野さん達がすぐ先の木陰で待っていてくれた。 「暑がりの矢問さんなら、もう下山している時間だからなぁ」と笑う佐野さん。 12:15 高島トレイルの道に出た。雰囲気台無しのおなじみの黄色いヒラヒラテープがうるさいく らいに付いている。山頂は左(北西)に行けばすぐだ。 |
武奈ヶ嶽の山頂に着いた! |
12:20 東の琵琶湖方面から涼しい風が吹く武奈ヶ嶽の山頂で記念写真。 みんなは行動食をとりつつハーネスなどの収納。ゆっくりのんびり休憩タイムだ。 「矢問さん、この沢にMICKEYさんを連れてこなくて良かったね」といるかさん。 「ホントだ。ホイホイとシャワーぎみに登れる滝が好きだからねぇ」と僕。 |
Google Maps APRSでの位置表示 |
僕は沢靴からハーフカットの登山靴へ履き替えて、家にいる相棒に登頂を知らせるべく 無線機FT1DでAPRSを発信。舞鶴のJN3PHH局が受信してくれ、JE3ZKC局のI-GATE からインターネットでGoogle Map APRSに即座に表示された。これで相棒に無事登頂し たことを連絡できたし、今いるところが家のパソコンのGoogle地図で表示されている。 北の方から男性が1人来た。「沢ですか。ヒルはいなかったですか」「いなかったですよ」 男性は3分ほどいて南の方へと進んで行かれた。 |
下山は高島トレイル活用 | 左手には琵琶湖も見える |
12:55 下山開始。下山路は高島トレイルを利用する。すぐに「杉山コース・国道303号」と 「水坂峠2.5km」への道標が有るのだが、針金で生きた木に縛り付けてあり感心しない。 これでは木にダメージが来る。考えて付けて欲しいものだ。杉山コースなら寒風トンネル の東側へと下山する。僕らは水坂峠方面へと進み赤岩山西峰で光明寺の方へは行かず 南下する。 |
木陰の涼しいルート | 実を付けたサルトリイバラが多い |
僕はCa400mの所で南西に進み、八幡神社に直接降りる尾根ルートを考えていたが、佐野 さんは少し遠回りでもそのまま南へ下って西へと進路を変えて国道沿いで戻る予定らしい。 沢登りは通常、沢登り中は冷たくて涼しくて快適だが、下山は暑くて濡れた服で蒸し暑い のが、今日は真逆。下りが涼しい風で服も濡れておらず不快指数が低くてとても快適。 最初は獣道のように草に隠れたやや細い踏み跡。「キャッ!」とひまわりさんが声を発して すってんころりん尻餅。僕以外は沢靴のままの下山なので木の根を踏んだら滑りやすい。 足下の草間を見るとここかしこにササユリが咲いている。サルトリイバラも多くて緑色の 実を沢山付けている。サルトリイバラは山道の通行には邪魔者。これで引っかかって転け たらそれこそ猿だ。この実が赤く熟すと食べられるのだが、まだまだ緑色。 左手に琵琶湖も見えて開放的な景色が広がり、涼しい風が僕を救ってくれる。 ピンク色のヤマボウシが右手に点在して沢山咲いている。なかなか花の多いルートだ。 少し下ると次は左手に白いヤマボウシ。 |
鹿害で林床の草がほとんどない | 急な植林帯下降 |
トレイル道を離れて右(西)へ | 仕事道は快適 |
13:15 赤岩山西峰。さらに南下。Ca400m。このまま南下するか神社への尾根に乗るか。 「矢問さんと私は神社の方に下りましょうか」といるかさんが気を使ってくれる。 「隊長の決めたルートに従いましょう」と、南下ルートを選択。手入れされた杉の植林帯 の急下降。峠に降りてここから高島トレイルを外れて右(西)へと進路変更。綺麗な仕事 道に出て、時計の逆回りに道がついているのをKZさんが見つけたが、佐野さんはヒルが いそうなやや湿地気味の植林帯をつき進む。左上にも右上にも仕事道が見える。 先頭の佐野さんに伝え、途中で湿地ぎみの林床から右の仕事道に登りそれを進んだ。 14:25 舗装路に出た。旧道のなれの果てのようだ。少し歩くと国道303号線。 朝通った国道沿いに右(北西)へと進む。八幡神社(鳥居には八幡神社と八坂神社の2つが 並んで記されている))の前を通り、車の駐車地点へと向かう。 途中の沢水でみんなはどろんこの沢靴を洗っていた。先に行く。 14:35 駐車地点の到着。「ありがとうございました」と佐野さん、いるかさんと握手。 僕と佐野さん以外は沢靴にヒルが付いていたらしい。最後の植林帯の湿地がやはり怪しい。 「めんどうだから今日は温泉はやめて帰ろう」と佐野さん。ここで解散となった。 ひまわりさんとKZさんにも挨拶し、相棒からのメールで「へん朽」へと急いだ。気温は26度に。 へん朽が開いていた。「お久しぶりです。まだ鯖寿司残ってますか」と言うと「ぎりぎりセーフ。 あと3本だけできる。今日は予定外のお客さんが多くてもうすぐ店じまい。どこへ行ってきたの」と お母さん。「沢登り」と言うと「ひぇ~、さぶ~」と笑われた。 いるかさんも寄るかもしれないので、今日は鯖寿司と太巻きを1本ずつにした。 「温泉に先に行ったりするときは、ちゃんと電話してね」「はい。ではまた」と店を出た。 湖西道路が少し混んでいたが、あとは快走。午後5時40分自宅に到着。 沢靴やハーネス、手袋、ヘルメット、ザックを外のガレージで洗い干してから、家の中へ。 APRSで僕の車の進行を見ていた相棒は、天空の湯に寄っていないのを知り、家に着く 時間を見計らって風呂を沸かしてくれていた。感謝。 今年の「初沢登り」は、ガレ場登りと嫌らしいトラバースの「足慣らし」となった。 暑い季節の沢は、水と戯れ、しぶきを浴びつつ涼しい中をピークへと登って行きたい。 「日帰り沢登り」の平成6年発行の古い記録とは、谷相も斜面状態も違い、下山道も高島トレ イルが出来たので、記録の様子とは15年以上経ち一変している。 この谷の斜面登りやトラバースには「ハンマー持参」が持ち手に良い。 佐野さん、いるかさん、ひまわりさん、KZさん、ありがとうございました!また涼しい沢で! |
本日のルート (赤線は神社への尾根) |
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