【芦生】10年前と同月同日の残雪の芦生の森


【山 域】京都・芦生研究林
【日 時】 2015年3月21日(土)
【コース】 生杉・トイレ-三国峠-野田畑峠-P900m-野田畑-長治谷・作業小屋前
      -中山神社-枕谷・植生調査地-地蔵峠-生杉・トイレ
【メンバー】MICKEY・矢問
10年前の同月同日の春のお彼岸に伯耆大山からの帰りに歩いた芦生の森のルート。
同じ日に歩こうと、事前に芦生研究林へ入林申請書を提出し1泊2日の許可を頂いた。 
 (今年からは、入林申請や届けの方法も一部変更されたので注意が必要)

しかし、MICKEYの体調が3日前からすぐれない。咳と鼻水が続く。風邪の様子。
「テント泊装備はこの調子じゃ、今回はつらいかも。日帰りプランでなら歩けるわ」と。
体調が悪いので無理はせず日帰りプランにして、22日は実家のお墓参りに行くことにした。

3月20日には芦生側ゲートまで除雪は完了されたが、地蔵峠側は未定との研究林情報。
前夜に出発し、10年前同様に生杉のルネサンスの近くで前夜泊して、林道を入れる所まで
入り、若走路谷出合の右岸尾根に取り付き三国峠へ行こうと思っていた。

生杉に着くまでの積雪量がいつになく少ない。2日前の豪雨で相当の融雪が進んだようで
道沿いの川の流れはきつく水位は高い。
(田歌の水量も1m20cmを越えていた。出発時には1mを切ったが、何度か渡渉する野田畑の
水位が気にかかる)鹿が飛び出して来て驚いた。冬毛のテンやたぬきが歩いていた。
「あれれ、林道が除雪されている様子。どこまで入れるか偵察しておこう」と進む。

まっ暗な林道をたぬきが歩いていたり、テンが歩いていたりしているのを観察しつつ、
若走路谷も越えてトイレ前まで来られた。星が沢山出ている。僕らの車だけだ。

「あっ、ムササビ」とMICKEY。車のライトの光内の木と木の間をスーーッと飛んだ。
除雪したてで、車の外の土部はドロドロ状態。車内で取り付き地点の検討。
地形図にある点線路は今は取り付きも無いルートだが、その支尾根に取り付いて若走路谷
出合からの尾根に乗ることにした。ルートも決定し車中泊(22:40~)。思ったより暖かい。
   
   
6:00
MICKEYは朝一番は食欲がないので、僕だけ車内で軽く朝食を済ませて出発。
駐車地点より少し戻って、昨夜決めた所を地形図を見ながら取り付きを観察する。
「崖で取り付けないなあ」「雪に登って枝や根をつかめば行けそうよ」とMICKEY。
MICKEYが先行でうまく登って行く。僕は後ろからルートを指示する。
斜面を馬酔木のをつかみながら慎重に登り10分弱で支尾根に乗った。
   
   
   
残雪があり鹿の足跡がある。スノーシューもアイゼンも付けるほどではない。
右手後ろには雲海が広がる。「綺麗ねぇ」とMICKEY。僕は冬芽をあれこれ見ながら歩く。
ユズリハが増えてきた。「ユズリハの葉先は尖っているのに丸いのもあるなぁ」
今日の参考書は芦生短信2のFさんオススメの誠文堂新光社の「樹皮と冬芽 431種」と、先月
池田市の五月山でお世話になったNさんオススメのトンボ出版の「写真でわかるシダ図鑑」
お伴だ。

三国峠の南東尾根に乗ると馬酔木も減って歩きやすくなった。思ったより雪が少ない。
コゲラのドラミングがずっと続いている。
   
   
7:00
三国峠登山道の白い道標が雪の中からのぞいている。ザラメ雪で沈む。
「三国峠まであと少しだけど、ここからはスノーシューを履こう」
   
   
7:15
三国峠 775.9m10年前より30~50cm雪が少ない。山頂の一部は土が見えている。
10年前の同月同日の同じ方向の展望は、木が成長していて視界を遮る。

次のルートを検討する。先日の大雨で野田畑の水位が高いならP900mから鹿の頭数
調査の時に歩いた南尾根で中山方面に行くことも出来る。「まずはP900mに向かうよ」
しばらく進むと尾根上は雪が無くなったのでスノーシューをはずした。

「カメラがあるわ」とMICKEY。P900m少し手前に調査用のカメラが木の幹にあった。
   
   
   
7:45
P900m鹿の頭数調査の時にT先生の合図まで待機したところだ。雪は無い。
調査した斜面下をのぞいた。まだ雪をかぶっている。

雪の上には鹿の足跡が多い。テンの足跡もある。
「野田畑峠まで、私たちは鹿の足跡通りに進んでいるね」とMICKEY。
   
   
   
   
9:00
野田畑峠。ここにも調査用のカメラがあった。ここも10年前より雪は少ない。
トチノキに冬緑性のオシャグジデンダが着生している。
   
   
   
   
   
   
   
「ここからは雪原。スノーシューを履く。」沢の水量を見ると膝下くらいだ。
この先、4~5回は渡渉がある。「くるぶし位の所はスパッツで何とかなるが、それより
深いところは両足に厚手のゴミ袋を靴の上から履いて膝のところでくくり、スーシューを
履いて渡る。」と僕。「なるほど。だからゴミ袋を持って来たのね」とMICKEY。
川から雪壁が高くて上りにくい所は、10年前と同様に雪スコで積雪を階段状にして登る。
     
野田畑から植林帯に入るところの橋が積雪でやや下にあり、しかも橋の上には30cm程の
氷柱が中央にずっと並んでいる。「こんな橋を渡るのは絶対にいや!」とMICKEY。
川の周囲を右へ左へと偵察するが、川に下りても積雪壁が高くて登れる適当な所がない。
「この橋はしっかりしているので、雪スコで階段状に下りて氷柱を削り取るから待ってて」
と、作業開始。雪階段はすぐに出来たが、氷柱の削りとりには疲れた。「これで行けるよ」

橋を渡ったら「うわっ!」熊の足跡があった。左手の沢の方へと足跡は続いている。 
   
   
10:20
長治谷長治谷作業小屋の周囲の雪は10年前より少ない。積雪計は1m。
今日テント泊するはずだった積雪のテント場へ行って、雪スコで座る足場を掘ってランチ
タイムにした。「静かで最高の天気ね。気持ちが良いわ♪」とMICKEY。
「鳥の声とせせらぎの音がいいよなぁ。眠ってしまいそうだ」と僕。

11:00
いつまでも居たい心地よい時間だが、出発することにした。
「知ろう守ろう芦生の森」の植生調査地の積雪量を見に行く。
4月末にはまた鹿よけネットを上げる必要がある。
   
   
中山神社の積雪も10年前の同月同日より少ない。
鳥居がずいぶん傷んで中央の「中山神社」と書いた木がはずれて社右手に貼り付けてある。
地蔵峠への谷間までも何度も雪面から下りたり登ったりと渡渉しないとならない。

調査地すぐ手前の渡渉地点が積雪で高いし登るのも高い。
「ここで待ってるわ」と体調不良のMICKEY。僕だけ見に行くことにした。

11:40
植生調査地。鹿の糞が多いし、鹿の足跡があちらこちらに多くて驚いた。
積雪は1m20cm~30cm位ある。ネットの杭が頭を出している。
「ネットをタイミング良く上げないと実生やブナの稚樹は食われてしまうなぁ」
   
   
   
 来た道をもどり、地蔵峠へと向かう。古いワカン跡がある。
「Fさんのものかしら」とスノーシューで先行して登って行くMICKEY。
「15日も通っておられるからそうかもしれないね」と僕。

12:00
地蔵峠。ゲートは積雪時外してある。横のお地蔵さんはまだ雪の中で見えない。
ここからは林道を下る。今日の物らしいスノーシューの跡がある。
林道崩落地点の修復工事は完成し、カードレールがついていた。
しかし、その上の法面の崩落は続きそうである。赤松の木も倒れそうだ。

快適にスノーシューで下って行く。途中で雪が無くなったり出たりと履いたり脱いだり。
林道壁面の草本が咲いていないかと観察しつつ晴天の雪の林道を下る。
ポカポカ陽気でトカゲが斜面を走り回っている。
   
   
12:40
トイレ前に到着。滋賀ナンバーの軽トラと福岡ナンバーの車が一台。人はいない。
温泉セットを持って来たが、今日は名神が渋滞前に帰宅することにした。
サービスエリアで休息しつつ、芦生研究林のH氏に出林(下山)届けをメールで出した。

16時すぎに帰宅し、泥んこの車を綺麗に洗って、今日の道具も洗って干した。
歩数計の表示は3,150kcal、燃焼脂肪 58.8g、14,394歩であった。明日は実家に墓参り。
 本日のルート(紺色ライン)
 
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