沢【芦生】芦生研究林・岩谷左岸と渕谷左俣および右俣の植生調査
注:事前に「芦生研究林」の許可を受ける必要があるルート
【山 域】 芦生/京都大学芦生研究林 岩谷周辺 【日 時】 2016年8月11日(祝)~12日(金) 【メンバー】F氏・矢問 【コース】11日:生杉ゲート06:40-07:10地蔵峠-07:45中山07:55 -11:10岩谷出合(テント設営)-12:10岩谷左岸谷 -岩谷左岸尾根-由良川(シカメコ下流)-岩谷出合・テント泊 12日:岩谷出合06:00-渕谷左俣-渕谷右俣左岸尾根-シカメコ -09:25岩谷出合(テント撤収)10:30-11:50中山12:00 -12:30長治谷小屋-13:30生杉ゲート |
岩谷周辺の沢筋の植生調査が残っているとFさん。11日から14日まで4日連続で調査 をされるという。僕は、13日は両実家の盆の墓参りがあるので、前半2日間だけ同行さ せていただくことにした。先週に続いての訪林となる。 2日目の昼でお別れし別行動となるため、それに合わせた調査ルートのプランを立ててく ださった。久々にテント泊と沢道具をザックに詰めて朝4時に家を出た。集合は7時。 流石に連休開始日か、名神高速が混んでいて時間が心配になったが、湖西道路からは 空いていたのでホッとした。道路の気温は23度から16度になり15度を示している。 坊村のトイレ横で、持参した朝の弁当を食べてから生杉に向かった。 06:30 生杉に到着。準備体操をしてザック内を最終確認をしていると、Fさんも到着。 「おはようございます」少し早いが涼しい時間のうちに出発。 |
7:10 地蔵峠からは林道利用で中山へ向かう。 中山から登って来るときはつらいが、下りに利用するには楽な林道だ。林道沿いの植物も 観察しながら、まずはクルマバハグマの分布の変化を調べる。 大きな実をつけたサルナシやウワミズザクラの色とりどりの実がある。トチの実もある。 中山から直ぐに沢に入るのかと思いきや「アカモノの実もどうなっているかを入渓点より 少し先いまで観察しに行きましょう」とFさん。アカモノの実を見ると、先週よりも熟れ ているとのこと。 毎週毎週入林調査と観察をされているからこそ、その変化がわかるのだろう。 入渓点で、長靴から沢靴に履き替えた。どうも今春から使っている新しい沢靴はぴったり こなくて、かかと上の足首に食い込んでやや痛いのが難点。 2日間痛みが激しくならないようにテーピングはしておいたが、すぐに違和感が始まった。 |
アオサギの羽が1本落ちていた。つぎにカケスの綺麗な羽が1本落ちていた。猛禽類に やられたのだろうか、小さな羽が固まって落ちているところもあった。 |
岩谷へ行くまでに某木本類の調査があるというFさん。過去の本数・直径のデータを基に、 残存の状況を調べる。ザックを置いて斜面を登りりつつ、そして急な斜面の残存本数や 直径をメジャーで計りつつ、過去の記録と比較しデータ記入。何よりも驚くのは、それら の木の位置を正確に記憶されていることだ。 ツノハシバミの実も大きくなっていた。Fさんオススメの湧き水を飲んで喉を潤した。 |
11:10 岩谷に着いた。テントを張って調査に必要ない荷物はテント内にデポ。 「あ~、軽くなった」身軽になって、まずは岩谷の調査に向かう。 Fさんの以前の各草本類の位置とデータに基づいて経年変化を調べる。 相棒の苦手なクサギの花も咲いている。 |
そしてテント場で早いお昼ご飯タイムにして、午後は渕谷の調査。 流石に暑くなってきたが、テント場はサワシデやサワグルミなどの大きな木の陰になり 涼しくてありがたい。食事をすると流石に朝が早かったので眠気が襲ってきた。 12:10 岩谷に入渓し、左岸右岸の植生を調査する。Fさんの過去の記録と対比して現在の数を カウントし記録していく。その間にもいろいろな説明をして下さる。 また、その斜面の状況や日当たりの状況などを観察しながらいろいろな仮説を話し合う のも楽しい時間であり勉強になる。 |
あと少しで沢筋も終わるという地点だが、どうも左足首に沢靴が食い込んで痛くて歩けない。 Fさんよりやや早く、右手の尾根筋へと急斜面をトラバースして尾根筋で待つことにした。 少し待っていたが、痛くて下山速度も遅くなりそうなので少しずつ先に下り始めることにした。 待っている間に、ブユに右手首をやられてしまった。ブユに弱いので腫れるだろうな・・・。 しばらくすると後ろからFさんの声。合流して周囲の植生と数を調べ記録しつつ下山。 ウワミズザクラの実をタップリ食べたらしい熊の糞があった。 熊・・・テント場から実に近い。死んだオオミズアオの姿もあった。 |
15:00 テント場に戻ると、すでに沢風がとても涼しい時間になってきた。Fさんは淵に水浴びに 行かれた。チョッキリがどんぐりの枝を上から落としてくる。周囲にはいくつもあった。 のんびりしながら夕食を食べて、明日の水を煮沸して用意して、薄暗くなりやや肌寒くな ってきたので早めにテント内に入った。 12時頃にペルテウス流星群を見ようと思いきや、沢の空は狭くて見えない。明日、相棒 と見に行くことにして寝た。 ************************************************************************** 8月12日(金) 朝4時頃に、コソコソと何度か足音が聞こえた。あの熊の糞の主ではないことを願いつつ そっとのぞいて見ると牝鹿だった。ホッ。5時過ぎにテントを出て体操し、食事の用意。 |
6:00 朝食を済ませて2日目は渕谷を溯行して調査する。昨日の食い込む足の痛さが来ない ように、足首にテーピングをしっかりしておいた。やはり右手首はブユの毒で腫れてきた。 渕谷出合から連続する小滝を登りながら、過去の記録との比較調査を続ける。 立派な牡鹿が右から左斜面へと走って行った。3尖だった。 P892mとP941mを結ぶ尾根筋手前の北側の尾根を時計回りで下って行く。 |
シカメコを通過して戻るのだが、流石に今日は水量が少ない。太もも辺りの深さしかない。
9:25 テント場に戻った。しばらく休憩して、Fさんはホウ谷への調査に向かわれるのでお別れ。 「Fさん、二日間ありがとうございました。あと二日間、お気をつけて。」と僕。 「あと二日間、ひもじい食事と残り少ないアルコールで過ごします。ではまた。」とFさん。 僕は涼しい木陰でラーメンを作って食べて、テントをゆっくりと撤収しザック内の整理。 ここは涼しくて気持ちよくて沢の音が心地よく、ずっとボーッと読書でもしていたい気分。 |
10:30 テント場を出発。パッキングしたザックはやはり重い。由良川の中をジャブジャブとのんびり歩く。 30分ごとに5分ほど木陰に座って水分補給。静かで気持ちよい。 小ボケを過ぎて大ボケの方に行きかけたが、やはりここは峠を越えて中山への近道に進む ことにした。 11:50 中山で沢靴から長靴に履き替えた。スッとした。 昨日来た林道へは登らずに長治谷経由で地蔵峠に行くことにした。 12:30 長治谷小屋前。ウワミズザクラの実が沢山ぶら下がっている。 長治谷の先の橋はいま無いが、長靴なので問題なく渡れる。 中山神社を過ぎると泉尾工業高校のショウキ欄の調査地区。 つい先週、6日に枕谷の植生調査に来たときも通った地蔵峠への道を登る。 13:00 地蔵峠。お地蔵様に手を合わせてあとは林道を下るのみ。陽がさして暑く長く感じる。 大きな牝鹿が林道にいたが、僕に気づいて右斜面に下って行った。 13:30 生杉ゲートの駐車地点。車のクーラーをつけて帰路についた。個性道路も空いていた。 16時に帰宅を完了し、沢靴などを洗い、相棒とともにテントやシュラフカバーを干した。 20時から相棒と大野山へペルセウス流星群を見に行ったのだが、山頂のプラネタリウム も夏休みで開館していて、キャンプ場も満杯で駐車場までが大渋滞。山頂に行くまでに 2時間近くかかった。山頂も人がいっぱいだろうと、即座に下山路を走り、小高い斎場へ と向かった。墓地に先にいたのは1組のカップルのみと静か。肝試しのような場所・・・。 11時半から夜中2時半まで、ペルセウス流星群を涼しいベンチで寝転びながら見た。 EOS 7D mkⅡも持参し、三脚で固定してレリーズで久々に星座写真も撮影した。 流星群を見たあと帰宅して、寝不足のまま両家の盆の墓参りへと次男を乗せて出発。 長男は先に新車のエクストレイルで到着していた。母の手料理で満腹。 |
★11日に調査・観察したもの★ クルマバハグマ、ウワミズザクラ(実)、ミズキ(実)、サンカクヅル、ウバユリ、 サワオトギリ、イタドリ、アカモノ(実)、ホツツジ(白花)、オウレン、サラサドウダン、 アオサギの羽、スギラン、ヤノネグサ、ヒカゲミツバ(白花)、ミゾホウヅキ(黄花)、 チョウジギク、ヤマジノホトトギス、サラサドウダン、カケスの羽、 シモツケソウ(ピンク花)、オオバギボウシ(実)、アズマヒキガエル サンインシロガネソウ、ミズタビラコ(白花)、ミヤマタニソバ、イワタバコ(花)、 アキギリ(紫花)、クサギ、アカソ、ナツエビネ、モミジチャルメルソウ、 熊の糞(ウワミズザクラの実)、オオミズアオ ★12日に調査・観察したもの★ イワギボウシ(花)、オオカワゲラ、ムラサキホコリ、タンナサワフタギ(実)、 ミヤマタニタデ、コセイタカミズゴケ、クモイジガバチ、イタヤカエデのアーチ、 ツルアジサイ(実)、リョウブ(実生)、ミズメとスギのドッキング、カケスの羽、 狸の溜め糞(サルナシ、ケンポナシ、サワガニ 等) ゴヨウマツの巨樹、ホツツジ、リョウブ、ソバナ(紫花)、ヒノキゴケ 等々 |
この1つ前は「【芦生】芦生研究林の防鹿ネット内外の継続植生調査 2016年8月」の記録です |