【芦生】笹の保全活動と実生更新の研究協力
2017年11月11日(土)
今日は芦生研究林内の笹の残る場所で、昨年からの研究チーム「Ashiu Sasa Quercus」の 調査区のネット下ろしと植生調査のお手伝いの日だ。積雪が2m以上になるこの場所は、 雪が降る前に鹿防護ネットを下ろさないと調査地の防鹿ネットや支柱が破損する。 また、研究林内もこの前の台風21号で先日の有馬富士同様に荒れているらしい。 この台風が来た日に中央ヨーロッパへと行き、なんと帰国日には次の台風22号にもぶつ かったのだが、今年は10月末に2つも台風が来ためずらしい年となった。 朝4時半過ぎ、テルモスにラーメン用の熱湯と温かいコーヒーを入れて出発。 地道で須後から佐々里峠を越えて行こうかとも思ったが、ネット上では「全面通交止め」 となっているため、台風での被害状況がよくわからないため、名神高速で京都東まで行き 集合地へと向かった。 「雨は朝6時まで」という昨日の予報が変わり、ラジオからは「昼まで雨」となり、さらに 「夕方まで雨が降ったりやんだり」となんともすっきりしない予報に変わった。 強力な寒気が来ているので、気温から見て芦生ではミゾレになるかもしれない。 雨での記録紙への記載は難儀だ。 途中のふくらみで、東京から来て車中で仮眠していた調査リーダーのIさんに挨拶。 「先にゆっくり集合地に行きますね」と伝えた。 集落付近での気温は10℃。これからも寒気で冷えてくるらしいので山の上は寒いだろう。 |
集合地で待っていると次々に車が来た。Fさんが林道の状況を偵察に行ってくださり、 8時には8名全員集合。Sさんと僕の2台のエクストレイルに分乗し林道を進む。 林道が悪くなる手前で、のこぎり・ナタ・ゴムハンマー、ハサミなどをザックに入れて 出発準備。雨は出発時には一時的であろうけれど、やんでいた。 沢筋から峠へ向かい、高度を稼ぐにつれて気温は下がっていった。 初参加のTさんがいたためか、いつものFさんのペースよりゆっくり登ってくださった が、紅葉を楽しみつつも峠に近づくにつれだんだんと息が切れてきた。 峠に着く頃には、時々小雨が降る程度になった。小休止して調査地へと向かう。 尾根筋に登るまでに熊の糞がふった。尾根筋には長年楽しませてくれた立派なブナが 根返りで倒れていたり、枝が折れていたりと台風の影響があちらこちらに見られた。 急に雨がきつくなったりゆるんだりという状況。 |
調査地点手前で、ネットや結束バンドを持ち、調査地の違いもあり3人と5人に別れた。 僕は5人とともにN調査地、S調査地へ。そこで2つに別れて調査をする予定だったが、 雨も降り風もキツイので5人で役割分担して実施することにした。 調査地まで行く尾根にもジャングルのようなブナ倒木の枝をまたいでいく。 鹿よけネットを下げて植生調査をする。落葉樹の稚樹は葉も無く分からないものも多い。 夏の調査記録を元に、いろいろ検討して記録していく。 雨と冷たい風。傘をさして記録紙を濡れないようにしたかったが、風が強くて傘は無理。 ミゾレで手がかじかんで書きづらく、Tさんに記録を交代してもらい、僕は過去の記録の それらしい樹種の読み上げをした。過去の記録もびっしょり濡れてめくりにくい。 今日の記録紙もびっしょり濡れたため、Fさんが防水紙の手帳をTさんに渡し、それに 記録していくことになった。風が強くなり、寒くて雨具の下にダウンも着た。 柵内調査区にネットカバーをかけたり、放置区の調査後に、倒木の枝を切ったりしつつ、 各調査プロットを順次実施。なんとか調査も無事終了。 |
昼にアシウスギの近くで食事タイム。僕は温かいラーメンとおにぎり+コーヒー。 TさんやHさんから差し入れおやつも頂いて、下山準備。 Fさんのナツエビネやサルメンエビネの鹿からの保護研究地にも寄り、説明を受けた。 |
それにしても、立派なブナや複数の老木が根返りして倒れている・・・。 台風の被害はすごいものだ・・・。幹の途中で折れている木も多い。 ギャップが出来て、また新しい生命が誕生してくるのだろう。 いつものように早足ではなく今日は滑りやすいしゆっくり下る。 山の上や尾根筋とは気温はやはり違い、林道でダウンを脱いだ。 |
車のデポ地に帰ってくると、雨もやんだ。「お疲れさまでした」とIさん。 Hさんから「参加賞です~」とクッキーをいただき、1月のHさんの絵画展の案内も頂いた。 「本日のAshiu Sasa Quercusの活動はこれで終了。解散~!」とIさん。 「初参加のTさん、寒くて冷たくて厳しい日にお疲れさまでした」と僕。 各車はそれぞれ帰路へ向かい出発。雨は降ったりやんだり。 帰路は節約のため名神高速道路を使わず、研究林のFさんから台風後の佐々里峠まわりの 状況を教えていただき、自己責任で紅葉の素晴らしい久多の集落を抜けて佐々里峠へと走る。 佐々里峠の所には普通車が3台ほど停まっていた。 須後の手前は路肩が落ちていて、川と林道際をダンプや重機で工事中だった。 また、林道へと法面の急斜面を間伐材が滑り落ちそうにとどまっている所が多々あった。 須後への細い道では軽トラや乗用車の対向車で3度ほど難儀して、須後まで70分かかった。 須後から美山への林道でも、急斜面を間伐材が滑り落ちそうにとどまっている所が数カ所 あった。台風の爪痕が芦生周辺にはまだまだ残っている。気温は7℃に下がっていた。 美山の自然文化村で、冷えた身体を湯につかって温まってから帰った。 19時40分帰宅。翌日はどろんこになった車を洗い、ナタやのこぎりを手入れした。 芦生にはまだネットを下げないとならない調査地がある。また12月もネット下げと調査がある。 |
この1つ前は「【湖東】11年ぶりの花の伊吹山でランチ&コーヒー」の記録です |