大峰: 白川又川・岩屋谷
[日 時]1999年11月23日〜24日
[天 気]秋晴れ&満月
[メンバー]小山伏さん、KUROさん、矢問源氏
[地 図]釈迦ケ岳1/25,000
岩屋大滝の下にて
以下の記録文は小山伏さんのFYAMA発表文を転載させて頂きましたm(..)m。
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[アプローチ]
前夜、王寺を出て、吉野から169号線を走り、白川橋を渡って林道に右折。
林道を少し入って、最初に左から入るのが岩屋谷である。
と、橋にロープがかかって、通行止めになっている。
「岩屋谷橋の右岸(B.P側)橋台付近に異常発見に付、当分の間、通行止
99.9.24 上北山村森林組合」と書いてある。
我等は岩屋谷だから、道端にテントを張って宴会を始めるが、火吹谷に釣りに
入るという人は呆然として、他に行くと戻って行った。
朝早く、林業関係者の車が何台も、ロープをはずして渡って行った。
大丈夫なんだろうか?
【一日目】
[414標準点まで]
橋のたもとに植林道が下りてきている。ここに下る事にして、7時出発。
橋を渡って、左岸の林道を歩くと、谷が左に曲がった奥に大きな堰堤が谷を塞い
でいる。その奥右岸から滝が落ちている。
堰堤の上で林道が右折すると、残土置場になっていた。
残土を乗り越えて、行き止まりから谷に降りる。
谷は大石のゴーロの中に、2m程の滝と淵が続く。
そこここで岩屋が作られている。それで、岩屋谷と言うのだろうか?
三つ目の2mの右の三つの積み重なった大岩を巻くと、小道が通っていて、414
標準点の手前には、石垣もあった。
(ここまで、1時間)
[45mの滝まで]
谷は、右から大きなガレ谷が入り、奥の垂壁は100mもあろうか。正面には
100mの嵒が峭立し、谷は左折して、ゴルジュの中ですぐ右折している。
覗くと、深い淵の先に5m斜瀑が落ちている。
左はどうしようもない壁。
右手のバンドを、一段二段と偵察するが、どれも途中で落ちている。
もう一段登ってみようかと、ザイルをセットして登りかけるが、5mも登った所
で、恐ろしくなってやめた(^^ゞ
あとは、ガレ谷を大きく巻き登るか、淵を泳ぐかである。
泳いで取り付ける物か、もう一度淵を覗きに行く。
太股まで水に入り、右の岩棚を目で追うと、その上に細い糸が見えた。ロープと
言うものではなく、タコ糸とでも言おうか。
右の岩棚に乗り、タコ糸の下まで行くと、次の岩棚に移れそうだ。
微妙なバランスで、その岩を辿ると滝の右手のクラックに添ってザイルが渡って
いる。
空身で岩棚を移り、細い木でセルフビレーを取り、それにぶら下った状態で、ザ
ックを引き上げる。次に、KUROちゃんのザックと本人を渡して、腕が痺れてきた
ので、矢問さんはKUROちゃんに任せて、そそくさと逃げ出す(^_^;)
なんやかんやで、ここをこなすのに、50分もかかってしまった(-_-;)
(ここだけで、50分)
一息つく小山伏さんとKUROさん
谷はローカとなるが、右岸の壁は高くなく、逃げる事が出来る。
2m、2mナメの次は大岩に挟まれた2mで、左を巻く。
次に、釜を持った5m、また釜のある4mと、その上に間に大岩を配した淵が
二つ連続して、2段7mが落ちているので、まとめて巻く。
左岸には、200mの嵒が聳え立っている。
5mを越えると、大岩が三つ、谷に突き刺さっている。真中と右の隙間を、
ショルダーで空身でKUROちゃんが攀じ登ると言うかもだえ登って(^_^;)
矢問さんを先に引き上げ、荷揚げしてもらう(^^ゞ
次の5mの右を巻き、8m、2mと越えると、右から支流が入り奥の方に滝が
掛かっている。
次の淵に左から10mが入り、本流には4m。その先、右から10mの滝が入る。
次の淵に正面からルンゼが入り、本流には谷幅いっぱいの5m。
これはルンゼから巻くと、上にはナメが続いていた。
続く淵と5mを左から巻き、谷が右、左と折れると、45mの滝が落ちていた。
両岸には、壁が広く立っている。
(ここまで、2時間)
[岩屋大滝・雌滝下まで]
大きく巻くしかないかなと、手前の尾根から登って行く。
滝の高さ程も登って、トラバースしようとするが、ルンゼの源頭のスラブが立っ
ている。仕方ないので、更に登り、ルンゼは越えるが、今度は壁が立っている。
更に登って、もう我慢できなくなって、バンドの切れた所から、5m程岩をよじ
登ると、やっとなだらかな斜面に出た。
150mも登ったんだろうか。
折角登ったんだから、下る事もあるまい(^^ゞと、貧乏根性丸出しで、そのまま
トラバースして行く。
ガレを越え、綺麗なルンゼが入って、本流が見えたので降り立つ。
釜を持ったナメを越え、多段7mを登りかけると、なんとも素晴らしい景色が
広がった(^_-)
(ここまで、50分)
そこは、広い二又になっていて、多段7mの奥に右の壁から5mの滝が落ち、
正面には壁が立ち、広い淵に左から幅広10mの滝が落ちている。
右の支流から10mが落ち、壁に沿って登った奥には100m程もあろうかと
思える滝が落ちている。二又には巨木が聳え立ち、一目五滝である。
飽く事無く、顔を巡らせ続ける。
「コレ登るぞ〜」と小山伏さん
さて、10mの下部は階段になっている。こんな美味しそうな滝は登らない訳には
いかないだろう。
淵を回り込んで、右の岩の上に登り、滝の中をシャワーを浴びて斜上する。
「つめてぇ〜」と言いつつ小山伏さんは行く〜
「はよ来いよ〜」とどんどん行く小山伏さん
その上の5m斜瀑を越えると、左からカレ谷が2本入ると、谷は広い岩盤のナメ床になる。
この谷唯一の大岩の無い所である。
5m、釜、階段状10m、右から滝を入れ、釜、斜10m、釜、5m、斜7mと楽しく超えて行く(^。^)
と、ゴルジュの中に釜を持った3mで行き詰まった。
左を巻き登って谷を覗くと、5m程の大岩が埋まっているのでそのまま巻く。
ルンゼを越えるが、谷には又も乗り越せそうもない大岩、その上に大岩の間の
5mと手強そうなので更に巻き、ふっと対岸の目を走らせると、目前10mの所に、
150mの垂壁が立っていて、呆然とさせられる(゚o゚)
右岸も、次第に追い上げられるが、壁が立って通行不可能になり、20m程懸垂で
降りるが、谷には、大岩の引っかかった10mと、その上にも5m程の苦労しそうな
大岩が2箇所埋まっているので、バンドを辿る。
と、右手奥の壁に、長瀑が壁に添って落ちているのが見えた。あれが、雌滝だろう。
もう少しだ。
だが、辿っていたバンドも切れ、仕方無しに谷に降り立つ。
目前には、5m程の大岩が2つ。
これが越えられなければ、一生ここで暮らすことになるんだろうか(^_^;)
これは、左から乗り越え、次の大岩も左から越えると、本流にはとてつもない
大岩が2つ聳え、視界を塞ぐ。
その手前に左から入るルンゼから巻くと、正面に、70mの雌滝が落ちていた。
やっと、着いた(^_^;)v
(ここまで、2時間)
雌滝の飛沫が気持いい〜
[岩屋大滝・雄滝下まで]
布袋さんの腹のように膨らんだ岩壁に、滝が飛沫を撒き散らしながら落ちている。
右手は、150mの嵒が、屏風のように鋭い岩角を見せて、垂直に聳えている。
左手には、オーバーハングした80mの岩壁に沿って、鋭くルンゼが走っている。
下流は、巨岩二つで塞がれ、左手と背後は、ルンゼを挟んで壁が立っている。
左手の壁の下を伝い、滝の落ちている壁に沿ったルンゼに入って行く。
ガレたルンゼを登って行く。頭上は、巨大な岩屋である。
途中に、焚き火の跡があった。
どこからこの壁を越えられるんだろう?
滝の高さ程も登って、右へ右へとルンゼを辿る。
足元は急になり、ガレも細かくなり、落石が怖い。
最後、一登りすれば折り返して尾根に乗れそうだ。
二人に待ってもらい、3m程の岩を2つ乗り越す。2つ目は、少し体を振出さなければならない。
これは、ヘルプを出さないとまずいな、と思いながらも、3人溜まれる場所が無い。
取り敢えずザックを置いてと思って登り出すが、斜面は更に急になり、木の根を
掘り出しながら、自分一人登るだけで精一杯(^_^;)
途中、2回落石し、矢問さんのヘルメットを直撃するm(__)m
壁で折り返し、その下を伝って、尾根に乗り越すと、眼前にすごい滝が落ちていた。
谷床より20m程上に居るのだが、見上げても、見上げても、見上げても、見上
げても落ち口に辿りつかない。正に天空から降ってくる滝である。
ザックを降ろして、唯々見上げるばかり・・・
あ、まだ二人が下に居るんだ(^^;)ゞ
OKコールをして、さてどうしよう?シュリンゲをセットして、体を乗り出し
「行けるかぁ〜」と聞くと、「もう、行ってるぅ〜」との返事。
覗き込むと、KUROちゃんが空身で岩を登って、荷揚げをしている。
まあ、あそこを越えたら、這いつばってでも来れるでしょう。
落ちないでくれ〜と祈りつつ、やっぱザイルを出しとくんだったと、反省しきり。
ちなみに、ザイルは矢問さんのザックの中(^_^;)
谷は、雌滝の落ち口から、雄滝の下までナメが続いている。
小山伏の居る尾根からは、疎林の緩斜面。左岸には嵒が峭立し、滝の落ちる広い
壁との隙間に、鋭いルンゼを突き上げている。
滝の高さは、130m。末広がりに、綺麗に落ちている。
滝の左の壁は、その高さを維持したまま、広いルンゼを回り込んでいる。
圧倒的に広く、圧倒的に高い滝。それに比して小さな淵から、ナメ床を走る流れは
穏やかだ。
しばし見惚れていると、二人が登ってきた。二人とも、座り込んで、黙って滝を
見上げている。
緊張の為に、ばてたみたいだ。まだ、4時前だが、場所があればビバークと決めて
谷に降りると、左岸に小さな河原があった。
飽かずに、大滝を見上げては、一夜の準備をする。
(ここまで、1時間10分)
岩屋大滝の下の小山伏さんとKUROさんが小さい〜
[お泊り]
焚き火を囲みながら、二人の為に準備した、低コレステロールの魚チリをつつく。
KUROちゃんも矢問さんも飲まないので、小山伏一人ほろ酔い加減(^_^)v
明るいなァ〜と振り仰ぐと、谷の間から大きな月が登ってきた。
そう言えば、昨日は十三夜だ。
月明かりに照らされた大滝が、満天の星空の元、白く瀑布を広げて、幻想的な姿を見せている。
めったに味わえない、至福の一時である。
何時までも滝を見上げ、月が天頂に掛かる頃まで、何くれと無く話し合っていた。
朝は、さすがに冷え込んでいた。
食事の後、朝日に照らし出された滝を、何枚も何枚も写真を撮って、8時過ぎに
やっと出発。
さあ今日は藪こぎだ〜
【二日目】
[雄滝落ち口まで]
左の広いルンゼを登って行くと、右折して壁に添ってぐんぐん登って行く。
何時までも壁が途切れず、ほとんど滝の高さも登った所で、正面20m程の垂壁に
閉ざされた。
右手の岩の切れ目を覗くと、大きなチョックストーンが詰まっている。
次の裂け目も登れそうに無いが、この10mばかりの岩峰を登れば、あと少しで
尾根に出れるのだが。
最後、ここしかないので、岩峰の右手を登って回り込むと、滝の落ち口が目の前に見えた。
スッキリ落ち込んでいるバンドを廻り込んで、岩の隙間を5m程攀じ登ると、先ほどの
裂け目の上に出れた。
後は、岩角を5mも登れば、樹林帯に逃げれる。
ホールドはしっかりしているが、昨日の反省もあり、ザイルを出して登ると、しっかりした
バンドから、尾根に乗り越した。眼下にナメ床が流れている。
尾根を下って、落ち口に下りた。
(ここまで、1時間20分)
岩屋大滝の落ち口
狭い落ち口から見下ろすと、赤い白川大橋とその背後の集落が望めた。
谷は、ナメ床が続いている。少し溯って見るが、もう今回は、大滝だけで満腹である(^_^)v
左の尾根に取り付き、帰る事にする。
[下山]
尾根を辿って、1108Pの南の肩に登ると、登山道が通っていた。
尾根の反対側には、孔雀岳・釈迦ケ岳・大日岳が鋭い山容を見せている。
眼下には、前鬼宿坊の赤い屋根。
辿るに従って、手前のピークが離れ、五百羅漢も見えて来た。
素晴らしい展望を楽しみながら登山道を辿る。次のコブには巻き道も付いていて、
背の高さの笹の中を行く。
コルに降り立ち振り仰ぐと、三つのコブが連なっている。右端が、小峠山だ。
登り始めると、ヒメシャラの潅木帯になった。
登るに従い藪状態になり、道が分かりにくくなるが、イバラに捕まれば、道を
外れたと言う事(^_-)ひと登りでピークに立つ。
(ここまで、1時間10分)
小峠山の手前のコルから、登山道の上に真新しい鹿避けネットが張ってあり、
動物が通らないので、藪がひどくなる。
ぶつぶつ言いながらも、狭い三角点に立った。
(ここまで、25分)
東に下って行き、右手に張り出した尾根を越えた所で、驚いた(゚o゚)
なんと、深瀬滝谷の源流が皆伐されている。見渡す限り、草一本無い裸斜面であ
る。926Pから南に延びる尾根に、線取り場の櫓が見える。
何も、ここまで伐採しなくてもと思いながら、このお陰で見通せるようになった
池原貯水池を眺めながら、926Pを越える。
道ははっきりしている。単調に下って行くと、左に尾根が入るのが675Pだろう。
(ここまで、1時間)
ここから、道に従って、北尾根を下る。
ぐんぐん、ぐんぐん下って、標高500m辺りで右の斜面に下りている道の方が
はっきりしているので、100m程下る。林道はもうすぐそこに見えている。
が、植林の中で道が荒れている。
岩屋谷の出合いはまだ北なので、水平にトラバースし、尾根に乗り越す。
真っ直ぐ下れば良い物を、右の植林の中の方が下りやすそうなので下っていくと、
藪のまいた壁で降りにくい(^_^;)
左に藪を少しトラバースして、岩屋谷橋の際の林道に飛びだし、谷行きを終了し
たのであった(^_^)v
(ここまで、50分)
[後記]
本当に素晴らしい滝であった(^_^)v
反省点も幾らかはある(^_^;)
ゴルジュの釜を持った5mは、ハーケンを持って行けば、もっと安全に辿れただろう。
45mは、完全に巻き間違い(^_^;)
岩の詰まるゴルジュの高巻きや、雌滝の巻きでは、今考えると・・・・(^_^;)
KUROちゃん、フォロー本当に有難うm(__)m
矢問源氏さん、頑張って下さって、有難うm(__)m
うう〜ん、今、小山伏は大満足で、この報告を書いております(^^ゞ
もう、いややと言わんと、またお付き合い宜しくお願い申し上げますm(__)m
奈良・王寺 小山伏 記