燕岳から槍ヶ岳


【山 行 日】平成12年 7月27日(木)〜30日(日)       
【行 き 先】燕岳・大天井岳・西岳・槍ヶ岳 往復テント泊     
【メンバー】僕(矢問)と妻(MICKEY)                
【天  候】27−晴れ 28−雨 29−曇りのち晴れ 30−晴れ
【地  図】エアリアマップ5「上高地・槍・穂高」          
【参考図書】ベリさん提供 ヤマケイアルペンガイド「上高地・槍・穂高」他

26日の昼過ぎに家を出て、午後6時半ごろに豊科インターを出る。
うまいラーメン屋で夕食を済ませ、コンビニで朝食と昼食を確保。
午後20時には中房温泉の駐車場で満天の星を見ながらお茶にした。
ここの駐車場は橋を渡る手前の右手に3段の雛壇のような駐車場と橋を
渡ったところ左手にもある。着いたときは、どちらにも3台ほどしかなかった。
トイレは先の登山口手前の売店横に綺麗なモノがある。

27日 4:30
駐車場を出発。気温17度。
薄暗く、誰もまだ歩いていない。登山口の登山届けのところで男性2名。
僕たちは登山届けを用意していたので書く手間がなく直ぐ提出し出発。
たった2人の登山開始。静かで気持いい。
5:20 第1ベンチ 1600m
水場に下りていくが、なんてこった。沢沿いにひどいテッシュやペーパーなどキジ跡が一杯!
水もやや濁っている。こんなの、飲めやしない!
5:45 第2ベンチ 1820m 気温18度
傾斜がきついとビデオでも本にも書いてあったので心配していたが、MICKEYも
今まで行った山の方がきついところがいっぱいあったと軽快なペース。
6:25 第3ベンチ
流石にこの辺を過ぎると勾配もあり、ちょっとペースが落ちてきたかな。
7:10 富士見ベンチ 2200m
富士山方向は曇っていて展望がきかない。残念。
7:45 合戦小屋
誰もいない。山小屋の人が3人、日よけ傘の準備中。ジュース300円とスイカ700円を。
名物「波田のスイカ」は雹害で全滅とか。その分、100円安くしているとのこと。
うまい!!(^^) MICKEY大満足。
ココを過ぎると槍ヶ岳や燕岳の頭が見えてきた(^^)

道横の岩場にイワカガミが咲いている。
青空に飛行機雲・・・イヤな予感。明日は雨かな・・。
9:12 燕山荘テント場
テント場登録トップ(^^;)。1張り500円。小屋のお姉さんが最も良いところを教えてくれた。
夜は熊や狐が出るので、夕方から電線に電気を流すとか。食べ物やザックはテントの中へ。
テントを張って燕岳と北燕へコマクサ観察に出かける。
晴天に燕岳は白く輝いている。燕岳と北燕の斜面の群生地は凄い量のコマクサ。

植生保護のロープが自然の雰囲気を壊しているがいたしかたない。

晴天の燕岳の北側で、ゆっくり昼食を食べて360度の展望を楽しんだ。
お昼頃にテン場に戻ると、「矢問さ〜ん」とおはりこさん、まるいさんの声。
「お〜い、着いたのか〜」と。しばらくして、みるくさんも到着。またしばらくしてすぐりさんも到着。
小屋は凄い人の量(@_@);荷物を置いて、4人組も燕へ。太陽の回りには円形に虹の輪が二重に。
見た目は綺麗だが、雨が降るのは間違いなし(;_;) 水1L200円×2を買いに。
天水ではなく、高瀬川の源流水をポンプアップした水でうまい!
テント場も夕方前には満杯。断られてたグループもいた。僕たちのテントの横に
僕の大学のイニシャルの3テント。男子1名、女子だらけのパーティー。
一時雨が降り雷が鳴り出した。4人組は大丈夫かなぁと心配。
夕方、テレビ撮影現場とブロッケン現象を中学生と楽しんだ。気温12度。

4人組と囲炉裏のバンダナを持っておきまりの記念撮影(^^)。

28日 4:45
晴れ娘のおはりこさんがいるのに「雨」とは。テントがびしょ濡れで撤収に手間取る。
その間に、小屋から団体が出ていく。渋滞が心配。雨のテントが重い!
大天井まで4人組と同行するつもりだったけど、体調にあわせてゆっくり行くとのことで
「気をつけて〜」と直ぐに別れる。どんどんピッチを上げて、20名、40名、5名、4名、3名の
グループを抜いて、また2人きりの静かなアルプスになった。でもどんどん雨がきつくなる。
5:43 大下り
せっかく登ったのに下るのは寂しい(;_;)また登らないと・・・。
帰路の時はきつそうだなぁ・・・。
雷鳥の子供2羽をつれた親子がいた。さらに岩の上に大きな体格の雷鳥も。
6:50 切通岩
しっかりした丸太梯子で問題なし。レリーフは帰りに撮ることにした。
7:35 大天井ヒュッテ
伊能さんが言ってたキツイ下り。これも帰りにこたえそう(^^;)
この小屋を出て直ぐ、短いが雪渓のトラバースがある。
お花畑も多く、沢山の種類の花が咲いている。
ここから西岳までは岩場をへつるような道が多少あり。
9:45 ヒュッテ西岳
早く着いたし、雨も本降り。小屋泊まりにするか、殺生ヒュッテか槍ヶ岳山荘まで行って
予備日を使って天候回復を待つか話し合った。明日の予報は玉虫色。
ここから先は足場も悪くなるので、ココに連泊して槍ヶ岳を軽い装備で往復する事に決定した。
本降りの中のテント張り。まだ誰も張っていない。2人には慣れた雨の中の作業(^^;) 
僕らの張ったところ以外はほとんど水たまり状態。早く来たら得するなぁ。
明日に備えてお昼寝、お昼寝。夕方には降ったり止んだり。
テントも6張りになった。ウチの大学のパーティーもココ泊まり。
槍まで行く団体もここの小屋で中断し、飛び込み宿泊。
夜中1時頃にまた降ったが、2時前には止んだ。朝を期待するぞ!

29日 4:45
朝食も終えた。小鳥が鳴いてる! 雨が止んでる!よし、槍へ行くぞ!
すぐに鎖場や梯子が始まる。体が起ききっていないMICKEYのペースが遅い。
5:30 水俣乗越
ここからはぐんぐん登りが続く。「身軽で良かった」とMICKEY。連泊正解!
いくつも続く丸太梯子、これでもかこれでもかと出てくる鉄梯子。


7:24 大槍ヒュッテ
風がきつく霧が濃い。人が誰もいない・・・。
槍から下りてきたご夫婦が「槍の上は晴れてますよ。これからはどんどん良くなりそうですよ」
と嬉しい報告。
8:09 槍ヶ岳山荘

長い岩道をぐんぐん登りやっと到着。
直ぐ下にあった殺生ヒュッテの付近を通る人たちの声は聞こえるが霧で見えなかった。
8:19 槍の穂先へ
西岳からも槍沢からも団体はまだ来ていない。渋滞のない今のウチに登ろうと、
荷物を置いて出発。時々、槍が顔を出す。
下りてきた人が「頂上では何度もパァーッと霧も雲も晴れますよ(^^)」と。鎖場も特に難しくはない。
岩もしっかりつかめる。鉄の杭のところでMICKEYのペースが落ちたぐらい。
8:40 山頂

最後の垂直の鉄梯子を登り切ると、頂上\(^o^)/ 気温9度。寒いぞ〜。
時折、パァーっと霧も雲も晴れて素晴らしい展望。
北鎌からハーネスをつけた年輩の4人組が登ってきて拍手喝采。
「こんな所から・・」とMICKEYは驚いてた。
囲炉裏ワッペン作成記念の登頂に大満足!

9:10 槍ヶ岳山荘

渋滞にも会わず下山も出来た。下りた頃、これから登ろうとしている団体が到着していた。
良かった良かった(^^)。時間差攻撃の成功!!
山荘でTシャツなどのおみやげを買い、食堂でパンを食べて休憩。
10:00 西岳テント場へ戻り開始
天気はどんどん回復してきている。霧も晴れて景色もはっきり見える(^^)
10:40 殺生ヒュッテ
帰路は殺生回りで帰ることにした。こちらの道も見ておきたい。
小屋の看板が真新しいものに変わっていた。
ここからは槍沢から登ってくる凄い数の人たちが蟻の行列のように見える。
雪渓で渋滞しているのもよく見える。
11:00 ヒュッテ大槍
人気の無かった朝とはうってかわって凄い数の人。
ヒュッテ西岳にいた中学生の団体のよう。
またいくつもの鉄梯子、丸太梯子を越えていく。僕もちょっと疲れがたまってバテ気味。
今日はから身で楽をしているMICKEYが見かねて最後の40分間の登りを僕に代わって
ザックを担いでくれた。感謝ですm(..)m
13:30 ヒュッテ西岳テント場へ帰着
今日は良く歩いた。天気も回復。でもみるくさん達のいる常念方面は雲の中。
夕方に常念方面から来た岐阜の方が「昨日は雨がひどくテントを張る気にもならず小屋に泊まった」と。
年に4回もこの山域の写真を撮っているとか。槍方面の夕焼けを一緒に撮った。ホントに綺麗だ(^^)

30日 4:30
テント場を出発。小屋のところで昨日のおじさんが「ここからの朝焼けの槍が良いんだよ」と。

綺麗だ!水を買いに行ったMICKEYも「うわぁ綺麗!」(^^)
5:08再出発。今日は途中でテン泊しないで、中房まで下る予定。
みるくさん達のいる方面は今朝も雲が厚いようだ。ときどき雲が飛ぶ。
来た道なので、危険な岩場は予期できるので2人とも快調に進む。
天気はいいし、展望は最高だし、風は冷たくて気持いい。
帰路にはお花畑をゆっくり見る余裕(^^) ヒュッテ手前の雪渓がだいぶとけていた。
6:58 大天井ヒュッテ

ここからの登りはきついなぁ!でも強い冷たい追い風が気持ちよく、バテを助けてくれる。
7:48 切通岩の分岐
東釜尾根を切り開いた小林喜作のレリーフも撮影。
9:08 大下り登りきる
西斜面は風がきつくて気持いいが、道が東斜面になると、無風で湿度が高くて暑苦しい。
西斜面になるとホッとすることが何度か続く。
大下りを登りきると動くのがイヤになるような素晴らしい展望。
晴天にはえる槍ヶ岳がだんだん遠くなり「あのてっぺんにのぼったんやなぁ」と感動もひとしおで、
何度も何度も振り返ってしまう。


霧が出た瞬間、ブロッケン現象。天気も良くて写真に撮った。
10:10 燕山荘
予定通り5時間で到着。喫茶室に行くが、誰も客がなく貸し切り(^^;)
ケーキセットを食べる。おいしい!! 山の診察室の先生達が来た。
去年保健所に就職した先生が、職場を辞めて今K2登山に行ってるとか。すごい医師もいるものだ。
おみやげを買って下山準備。
10:55 燕山荘出発
東斜面になり風がない。全然西斜面と快適さが違う。
11:25 合戦小屋
流石に下山は楽だ(^^)。ザックも食料が減ってる分、軽くなってる。登ってくる人は凄く多い。
団体も多い。MICKEYも体調が良くて、小屋でジュースを飲んで直ぐ出発を宣言。
ここからは休息無しで小走りで下山。
富士見ベンチ、第3ベンチ、第2ベンチ、第1ベンチにはどこも登り途中の凄い人の数。
こんなペースで登っている人たちは燕山荘に何時につくのかな?
暑い時間帯で無風の斜面を登るのはツライだろうなぁ。
温泉の屋根が見えてあと登山口まで200メートルと言うところ辺りで、足がふらついて「あっ!」と
思った瞬間に登山道からザックの重さに押されて飛び出し、クマザサの斜面にダイビング。
そのあとザザーッと斜面を滑落。MICKEYからは
ササで見えずに音だけが聞こえているらしい。「大丈夫〜?」とMICKEYの悲壮な声。
「あれ?こんな斜面でどうして止まったのかな」と見ると、ザックにつけてる短いシュリンゲが
倒木の枝に引っかかって運良く止まったらしい。「大丈夫みたい。怪我もない。
登山道が見えるのでササの中をトラバースする」と伝える。
落ちたときもクマザサがクッションとなったらしい。沢登りのトラバースより断然楽だった。
登山道では年輩のおじさんと若い3人の女性が心配そうに見ていたので「ご心配かけました」と。
「奥さんは相当心配してたよ。目の前で主人が飛んでいくし、滑り落ちていくし。
それにしても怪我も何もないなんてすごく幸運だねぇ」と。(^^;)
13:05 登山口下山届け提出
駐車場の車はあふれんばかりの量。来たときと大違い。
中房温泉(700円)に入って汗を流した。登山者が多いだけに湯垢がヒドイ。
シャワーもないし石鹸が1所にありなかなかとりづらい。
入っていた人たちも「汗を流せるだけで良しとしないとなぁ」と少々あきらめムード。
下には露天風呂もある。宿泊者専用の温泉は良さそうだ。
車で町営の外来も可能の温泉「しゃくなげ荘」にも行った。こちらは400円。
さっぱりしたところで、そばと馬刺を食べて片道430キロの帰路についた。
駒ヶ岳SAでは気温23度とエアコン要らずの昼寝。
飯田では花火大会の様で、高速からもよく見えた。
花も多く涼しかったアルプスともお別れだ。