沢【鳥取県】智頭町:芦津渓谷上流 大川下部
沢歩き体験練習会
【山 域】鳥取県・智頭町:芦津渓谷上流 大川下部 【日 時】 2010年8月21日(土) 【コース】 公共トイレ駐車場〜吊り橋−薬研の滝−大臼の滝−小臼の滝、 −ナメの滝−二ツの滝−ナメ−林道−紅葉の森−駐車地点 【メンバー】やまあそ・丹波のたぬき夫妻・矢問 |
「暑い季節の低山は身体に悪いよ〜。沢に行こうよ〜」とバリエーションハイキングが 大好きな丹波のたぬきさんご夫妻とやまあそさんに言い続けてほぼ3年。 「沢は逃げないけど元気力は逃げていくよ〜」と言ってると、メールが飛び込んできた。 「重い腰を上げて沢靴と沢スパッツを買いました。へへへ」という丹波のたぬきさんご夫妻。 「行きたい沢歩きルートがあるので僕も買ったよ〜。沢歩き!」というやまあそさん。 「せっかく買ったのなら前鬼にでも行きましょうよ!」と誘うも、やまあそさんは「前鬼 はまだ僕らには早いのでまずは沢歩き練習にして〜」と。よほど行きたい沢があるようだ。 やまあそさん曰く「その沢は沢歩きトレッキング企画などもされている沢なので簡単かも。 鳥取県の智頭町の紅葉やブナなどで美しい三滝ダムのある「芦津渓谷」の上流の大川。 吊り橋から二ツの滝までの2キロほどの源流コースで僕ら向けやと思うので」とのこと。 地形図を見ても「沢登り」とは思えないゆるい高低差。検索しても遡行図なんてヒットし ないホントに「沢歩きルート」のようだ。やまあそさんから送ってもらった智頭町のガイド ブックの絵地図を見ると、吊り橋から二ツの滝までに、薬研の滝、大臼の滝、小臼の滝、 ナメの滝、甌穴群と続き、下の滝、最後に二ツの滝とあるが、写真で見られる滝は最後の 「二ツの滝」ぐらいのようだ。ま〜、フエルト底の沢靴感覚に慣れるには良いかもね。 今回は、相棒がいないので1人でサポートできる範囲はしれてるし、そこにしましょ! 大原駅そばのファミマに8時集合。家を4時前に出て加西SAで弁当を食べてから行く。 3台ともモービル無線をつけているので、途中で交信しながら集合できた。 ファミマからはその渓谷沿いを自転車で走ったことがあるやまあそさんが先導。 道の気温計は25℃と出ていたので、それほど暑くない。バテなくて済みそうだ。 三滝ダムの左岸道を登っていき、一番奥のトイレ駐車場に到着。沢山の軽トラがさらに 奥へと続いて走っていく。今日は山の手入れに行くらしい。大変だろう。ありがたいことだ。 |
「ワクワク」「ドキドキ」 | やまあそさんがルート説明 |
8:20 おニューの沢靴、沢スパッツ、沢手袋を装着したやまあそさんとたぬきさん夫妻。 3人に持ってきたハーネスを履いてもらう。「こんなんパズルやなぁ。履き方がわからん」 次にシュリンゲのつかみ方とセルフビレーなどの用途の説明。 適当な安全なところで実習するためにも、エイト環やアッセンダーもそれぞれのハーネスに セットし、安全環付きカラビナやシュリンゲも各自セットし、ヘルメットをかぶっていざ出発。 「おお、格好だけは一人前の沢屋さんに見えるなぁ!」と、やまあそ隊長も満足そう。 どんな場面で練習体験をしてもらうかわからないので、ロープは9mm×40mと8mm ×20m、ハンマー+ハーケン、ATC、ロープマン2、シャント、ロープシュリンゲや テープシュリンゲを数本、カラビナ数個を持って行く。重たいぞ〜。 太田橋を渡り、遊歩道を吊り橋へと向かう。左手の沢筋の両岸には砂が堆積している。 歩いている遊歩道にはしっかりした道標や地図看板がある。流石、遊歩道。 |
「いきなりへつるの〜」「練習練習」 | 「流れに足がとられるね」 |
8:35 吊り橋。「どこから沢に入ればいいのやら・・・わからん」とやまあそさん。 「どちらからでも入れるよ。高低差もしれてるし」右岸から入渓することに。 「水が多いね〜」と母たぬきさん。「岩の水線からして多くないですよ」 |
「うお〜」「冷たい〜」 | 「滑りやすい岩も沢靴はすごいね!」 |
流石に鳥取砂丘を育んだという沢だけあって砂が多い気がする。 砂がフェルトに付いた後の岩に乗る際の注意などを話す。水はさほど綺麗とは言えない。 水の中を徒渉するときの水流での注意点や飛び石の時の注意などを話しつつ進む。 大岩や岩壁の横をへつる方法も手や足場の見つけ方などその都度説明。 堰堤。右岸から巻き始めたが堰堤のたまり水か深くて綺麗ではない。左岸から巻くことに した。巻くと帰路に通る遊歩道に一旦出た。すぐに再入渓。 しばらく行くとまた堰堤。これは右岸から巻いた。 流されず安全な沢あるきが続く部分なので、やまあそさんが先頭で進む。 きっと滑るだろうと思うところでは滑ってくれ、きっとゴボッと深くなるところで足をとら れて転けるだろうというところでは転けてくれ、安全にフエルトの感覚と沢の中での 浅い深いの感覚を体感してくれている。 |
「これが薬研の滝かな」 | 「ここは簡単や」 |
「ホールドってこれか」やまあそさん | 「こりゃ楽しいわ」父たぬきさん |
「右から登る?」「正解!」 | 平流を行くたぬき夫妻 |
「沢靴って滑らないなぁ」 | 「落ちたらあそこか・・・・」 |
父たぬきさんは足取りもしっかりされているし、沢に向いている感じがする。 母たぬきさんは「怖い〜滑る〜。無理〜流される〜」と叫びながらも1つ1つを確実に 体験してくれている。母たぬきさんは、体験だというのに「サッ」と巻きに逃げるのも超 早業。本番の沢登りでは巻くほうが危険な所も多々あるので気をつけてね〜。 流石に3人ともヤブ山登りで鍛えておられるだけはある。足取りはしっかりしている。 |
これも右側を行きましょう | ロープでの徒渉練習 |
激流の徒渉地点。先に行ってロープを出すか、どうしようか・・・。 練習を兼ねてサブロープを出し、やまあそさんをビレーして徒渉してもらい、左岸の木に フィックスしてもらう事にした。そのロープにカラビナをかけて、たぬきさん夫妻にトラ バースの方法ですり足での流れのキツイ部分の徒渉を体験してもらう。 徒渉する際も水流を読んで、足を突っ込む位置や、進路、底の岩の傾斜を考えて進む 重要性を体感してもらった。 |
「いきまっせ〜」やまあそさん | 「オケツと甌穴」やまあそさん |
「これも右から登りま〜す」 | 「ここは岩壁をへつり気味に」 |
小滝はもうやまあそさんも父たぬきさんも、慣れてきたようでバンバン登る。 母たぬきさんは、まだフェルトをベタッとつける歩き方に慣れていないのでフリクション が効きにくい。滑るだろうと予測できる段差の小滝にはお助けシュリンゲを出した。 「うわっ」シュリンゲを用意しているときにカラビナがコロンと滑り1枚激流に消えた。 「僕のカラビナは金のカラビナ?銀のカラビナ?」とくだらないことをブツブツと・・。 下の滝は下部を母たぬきさん以外は登り、やまあそさんも右巻きに入る。 上部は右の岩壁を父たぬきさんとトラバース。ホールドはしっかりしている。 |
「上部が滑りやすいよ〜」「了解!」 | 「二ツの滝に無事着きました」 |
11:30 二ツの滝を見つつ、ランチタイムにする。とても涼しくて気持ちがよい。 「ガスが点かない。ガス切れや〜」とやまあそさん。 「休憩してると寒いくらい」と父たぬきさん。「お腹が空いたわ〜」と母たぬきさん。 二ツの滝も写真よりは少し水量が多いが、右の水際を登って左に回り込めば行けそうな 滝だ。途中の左岸の水際の木にランニングをとればなお安全だと見た。 「あんなん無理無理〜」とやまあそさん。「あかんあかん」と手も顔も振る母たぬきさん。 僕が登ってメインロープをセットしても、だれかサブがいないと下でのアッセンダーの 装着確認が出来ないし・・・。雲行きからもそろそろ遡行を終了した方がいいかも・・・。 今日のみんなはまだシャワーで登る気になるほど暑くないので、直登はやめて右岸を巻き もうしばらく遡行して左岸の林道に出ることにした。 |
「おお、立派な明るいナメや!」 | 「堰堤のような岩壁やね」 |
「洗濯板のような滝ね〜」 | 「沢は涼しいね〜」 |
二ツの滝の落ち口を右に見ながら、軽く巻いて沢に下りると、ナメ状の明るい花崗岩の 起伏の岩盤が川幅いっぱいに広がっている。今までの感じからは想像できない風景だ。 |
「腰までの深さやで〜」「ハ〜イ!」 | 林道に出た |
右手の林道はチラッと見えるものの、斜面はジャングルのような草が・・・。 地形図を見ると小さな枝沢があるので、そこなら草もマシだろう。行ってみるとやはり ここなら林道に登ることが出来る。今日のメンバーはこんな所は屁のカッパ。 12:40 舗装林道に出た。 やまあそさんはここも峠から自転車で走った事があるらしい。 昔は軌道があったことや仏像の話しを聞きながらテクテクと下っているとパラパラっと ほんの少しの雨が1分間ほど降ってすぐやんだ。東山の方は雨のような雲行きだ。 林道から右手に遊歩道があった。ビユーンと斜面を下れば車のそばに出るが、やまあそさ んが「一か八か遊歩道を行ってみようか。僕はバチが多いけど」との提案で遊歩道へ。 下るどころか、どんどん登っていく。立派なブナも多いが登って車から離れていく・・。 |
立派なブナも多い | トイレ横斜面で最後の体験練習 |
13:10 展望山頂。展望なんか無いぞ〜。遊歩道を下る。車から離れていく・・・離れていく・・。 あ〜あ・・・堰堤を巻いた左岸の遊歩道に出た。あまりにも遡行距離が少なかったので 運動不足解消にはいいか〜。 13:35 駐車地点。「お疲れ様」と握手。やまあそさんの手に力が無い。 「まだ終わりじゃないよ〜」と僕。「やっぱり、体育会系やなぁ!!」とやまあそさん。 適当な斜面が見つからず、トイレの欄干にロープをセットして、エイト環での懸垂下降や ロープマン2とシャントの使い方、プルージックでの効果と注意を体験をしてもらった。 これで沢登りに向けての、今日の目的であった「沢歩き体験練習会」は無事終了。 ヒルもブヨもホントに虫がいない沢だった。初沢歩き、みなさん楽しんでくれたかなァ〜。 やまあそさんはお寺のお話しを聞きに行くというのでここで解散。 たぬきさんご夫妻と僕はあわくら温泉へ行って汗を流して解散した。帰路では28℃。 鳥取道に入る手前から雨がきつく降り出した。同じ山域の鳴滝山に登っていたOAPさん 達3人は濡れ鼠になったとか。遡行をあそこでやめたのは正解だった。 中国道では雨は降らなかったが、宝塚12キロの渋滞との掲示。APRSで車の軌跡を見て いるMICKEYからお土産催促メール。加西SAでお土産を買い、神戸三田で高速を出て 有馬冨士の横を通って帰宅した(高速代は佐用−神戸三田なので1000円)。 明るい内に4人分の装備を洗って干せた。 鳥取は遠いと思いがちだが、無料の鳥取道もあり大原まで90分で着く。思ったより近い。 雪の時期に、また今回の沢の源流である東山や鳴滝山にも行ってみたい。 |
本日の溯行ルート 赤:溯行 黒:帰路 |
この1つ前の記録は「沢【台高】本沢川・黒石谷(扇滝まで日帰り溯行)」です |