【芦生】豪雪の大段谷山(795m)
【行き先】 芦生 大段谷山(795m) 【日 時】 2006年1月9日(月・祝) 【コース】 須後−灰野−P730−大段谷山 【メンバー】BAKU、矢問 |
「TSLのテストをするぞ」とBAKUさん | 豪雪期の芦生研究林入り口 |
豪雪期の芦生・赤崎中尾根を狙ってもう3度も違うルートを試みて敗退している。 美山から芦生の集落までの除雪開始時間が朝遅いので、時間が不足してどうも所要時間 が読みづらい。 BAKUさんがTSLのスノーシューを知人からもらったのでどれほどの能力があるのか スノーシューデビューを是非したいとのこと。 比良にするか芦生にするか・・。 「雪の芦生へ行こう!」というBAKUさんの声で決定!今までの赤崎中尾根敗退を説明して、 今回は時間に余裕を持つべく須後に前夜着としようということになった。 先月も僕は来ているので、積雪状況はわかっている。無雪期の芦生集落周辺とは全く違う 豪雪期の状況下での車中泊適地もわかっている。積雪と凍結前の前夜に須後へと向かった。 |
入り口の説明板も雪の中 | 右端が入林届けボックス |
7:00 5時過ぎに起床して軽く朝食を食べ、車を前夜車中泊地から移動。研究林入り口を出発。 入林届けのポストは雪に埋もれているので出せない。最終民家の井栗さん宅までは除雪し てあるが、入り口からもうスノーシューを履ける積雪。スノーシューの登攀力がわからないの でBAKUさんは念のためワカンも持参。由良川にかかる橋の欄干の積雪がスゴイ。 |
研究林事務所 | 由良川の橋を渡るBAKUさん |
井栗さん宅から先は除雪されていない森林軌道沿いに進む。しばらくはスキーの跡があ ったが直ぐ無くなった。スノーシューを履いていても20センチほど沈む。 |
積雪期の井栗さん宅周辺 | ここからはトレースは皆無だ |
雪の河原を鹿が4頭走っている。1頭が川にはまって雪の壁を登るのに難儀している。 「森林軌道の上を歩くのは楽やね」とBAKUさん。 「いや〜、それは違うよ。軌道は由良川への斜面ギリギリにつけてあるので、積雪期は斜 面から雪が滑り落ちてきて、軌道はもうすぐ全くなくなってスゴイ斜面のみとなる。その 斜面通過が出来ないと灰野までも行き着けない。なかなか雪の時期の軌道は手強いよ」 綺麗な由良川の雪の景色を楽しみながら前進する。 |
恐怖の斜面通過地点 | もうすぐ灰野だ!! |
「うわっ、道がない!」とBAKUさんが眼前の斜面を見て驚いている。 「ほら全くの斜面が出た。下手して雪崩れたら、真下に流れ半分凍ってる由良川へ直行で 滑り落ちる。こういう場所が灰野まで5カ所ほど続くよ。」と僕。 「山スキーで慣れてるし、このスノーシューのグリップ力も試せるし、先に行ってみる」 とBAKUさんが先行する。「ロープ張ってビレイしようか?」と僕。「行けると思う」 BAKUさんが慎重にステップを切りながら進む。渡りきってホッとするのもつかの間。 次々に雪の斜面が行く手を遮る。「その下は穴状になってるから山沿いに」とか無雪期の 軌道の状況を伝えつつ進む。スノーシューはなかなかのグリップ力がある。 「灰野までも行けるか自信無くなってくるな〜」とBAKUさん。「行ける所までにしよう」と僕。 「帰りはきっと今苦労してつけたトレースは、すべて斜面から落ちてくる雪で消えてるよ。 帰路もこの斜面を通過するのはいやだけど慎重にしよう。帰りは僕が先行するし」と僕。 |
灰野の橋もスゴイ積雪 | 灰野の説明板も雪の中 |
8:05 灰野。無雪期は25分ほどの距離が、平坦地にもかかわらず、積雪期は難所通過もあり 1時間もかかっている。「なかなか芦生も雪の時期は奥深いね」とBAKUさんも苦笑い。 ここ灰野から稜線までは、標高差で430mある。気を引き締めて登攀にかかる。 |
「キツイ斜面やなぁ」 | 「ラッセル交代して〜」 |
沢沿いの夏道は斜面のトラバースがとても無理なのは春先の残雪期の状況でもわかっ ているので、集落跡の石段左手を登っていく。どうも斜面が立ちすぎ。おかしい。 もう少し沢沿いに回り込み、尾根筋を狙うことにした。等高線で見るよりもなかなか傾斜 がきついのと、降雪したての締まっていない積雪が半端ではない。スノーシューでも膝も しくは太ももまで沈む。傾斜がゆるくなるP730の手前まで直線距離で約500m。 「そこまで頑張ればなんとかなる」と二人はもがきながら交互にラッセル。 汗がしたたり落ちる。もう1時間ももがいて登ったのでGPSで確認してみる。 なんと、たったの150mほどしか進んでいないではないか! |
天気は最高!! | ちょっと休憩しよ〜 |
ここで「赤崎中尾根」への達成は無理と判断し、とりあえず、稜線までを目標にした。 大きな台杉も点在している尾根だ。無風の晴天。今日は天気に恵まれている。 「矢問さんと雪山の時はいつもピーカンやね」とBAKUさん。 そう言えば石鎚山の時もそうだったなぁ、と想い出を語り合う。 ただし、太陽に当たった木の上に大量に積もった雪が、時折滝のように降り落ちてくる。 山スキーの経験豊富なBAKUさんに山スキーではこういう斜面はどうするのか、などの 説明をいろいろ聞けた。山スキーも結構重さがあるのでラッラルは大変らしい。 |
台杉も雪のパフェ状態 | やっとP730地点に着いた |
10:50 地形図のP730地点。灰野から2時間45分もかかった。二人ともヘロヘロ。 地形図を見て目標地点を検討する。稜線まで1時間と見た。そこでやめるか、次に東南進 してP813を目指すか、逆に西北進して「大段谷山」を目指すか・・・。 二人ともヤブ山の大段谷山のピークは踏んでいない。大段谷山に13時目標に進んだ。 「矢問さん、リスがいてるよ」木の上をリスが走り回っているのが見えた。 |
沢筋の谷道と芦生古道の分岐点 | 素晴らしい展望!! |
11:15 灰野からの谷道との合流地点。稜線から芦生古道へと続く分岐である。 「あと少しで稜線だ」「頑張ろう」二人とも足に相当疲れが来だした。登りは続く・・・・・。 右手に稜線上の大段谷山が見えだした。西方の山々や、遠く北東には八ケ峰も見える。 「綺麗やなぁ。来て良かった〜」とBAKUさん。「ホンマやねぇ。ええ景色や」と僕。 |
稜線までもうひと踏ん張り! | 「ふぅ〜っ」稜線でくつろぐBAKUさん |
11:55 稜線に出た。一休み。大段谷山よりもここの方が高い。 ホントに二人とも魂が抜けたように交互のラッセル登攀疲れでヘロヘロ。 「もう下山するか?」「あと1時間はかからないし、頑張るかぁ」と二人とも自問自答。 「稜線歩きしなくてスノーシューが楽しめるか!」と大段谷山を目指すことにした。 歩き出すや、二人とも「稜線歩きを選択して良かったな〜」とニコニコ顔。 雪をかぶった木々と青空とのコントラストが素晴らしい。風もなく快適!! |
一旦下って、少しとはいえまた登り。ここのピークで前にあるはずの山が消えた。 「あれっ??」と二人とも地形図を確認し、さらにGPSでも確認。正面の雪をかぶった 木で見えなかっただけと判明。また下って最後の登りが待ち受ける。 |
あと少しで山頂だ!! | 大段谷山に到達! |
12:40 大段谷山に着いた!!「やったなぁ(^^)」と二人で感激しあう。 下山所要時間が心配なので、お湯を沸かしての昼食はお互いにカットしてパンなどの行動 食でしばし休憩とした。記念写真を撮ったり、雪をまとった木々の写真を撮ったりした。 「足の甲が痛くなり出した。」とBAKUさん。下山は自分たちのトレースを利用して僕が 先導して進むことにした。やはり沈みは格段に違う。しかし、少しはずすとズボッと沈む。 僕も左足のふくらはぎに違和感が出だした。疲れがピークになってきたのか・・・。 雪の上に尿の跡があちらこちらにあるものの、周囲には全く獣の足跡がない。木の上から リスなどの小動物がしたものであろう。斜面を滑りながらスピードアップで下った。 14:20 灰野から山頂まで登りに4時間35分かかったが、下りは灰野までたった1時間20分だ った。「明るいうちに車に戻れる!」と二人ともホッとした。 難関の軌道上の斜面は、予想通り斜面上部からの雪が滑り落ちてきて往路のトレースは 綺麗に消えてしまっていた。帰路は怖がりの僕が慎重に先導して通過。表層雪崩的なもの が一番コワイ。あとは難所はない。 「なかなかスノーシューで楽しめた。満足満足(^^)」とBAKUさんのパワーに火がつい て、今度はBAKUさんが最後のスノーシューでの軌道歩きを楽しむべく先行。 15:15 研究林入り口の外の駐車地点についた。 研究林事務所から研究林入り口までの除雪した道が、そこまでにある建物の屋根から 落ちた大量の雪でその道を寸断して雪の壁を作っていた。 事務所前まで入っている車の人は、除雪車でも使わないと出て行けないだろう。 アイゼンやロープは使わずじまいでスノーシュー三昧の一日だった。 お孫さんのおもりをされているおばさんと会話。今年はいつにない豪雪だとのこと。 本当に毎日が大変のようだ。 芦生ナメコ生産組合の売店前では「芦生の自然を守り生かす会」の会長の今井さん達が 雪かきをされていた。会釈して通過。 集落のあちらこちらで雪かきをされている。本当に大変な作業だと感じる。 汗だくで、かつまた冷え切った体を「自然文化村」の湯でリフレッシュして帰路についた。 大段谷山がやっとだった。豪雪期に赤崎中尾根には林内1泊プランでないととても無理だ とわかった。今日成人式を迎える息子を持つ二人にとっても想い出に残る山行となった。 |
本日のルート |
この1つ前の記録は「北摂・高岳北尾根(高ンボ−大谷)」の記録です |