沢【兵庫】八木川・不動谷から氷ノ山
【山 域】 兵庫県:氷ノ山 八木川・不動谷左俣 【日 時】 2009年9月5日(土) 【コース】 親水公園−不動谷溯行−不動滝−左俣−氷ノ山 −(とうろう岩の東尾根)展望岩−木地屋敷跡−親水公園 【メンバー】佐野、いるか、矢問 |
先週に続いてまたまた氷ノ山。また、南部に台風が発生し天気が不安定に・・・ 今日は、佐野さんそしているかさんと、2人の直登大好きクライマーと共に、単独で去年の 夏に布滝谷を溯行して以来行きたかった不動谷の左俣へ行く。 2人の実力者に矢問がついて行けるのやら・・・。22時に佐野号で2人が矢問家に到着。 矢問号で親水公園へ。久々の再開での小宴会を終え、1時40分就寝。 朝4時半過ぎに霧雨が降り、ガスが濃い。先週に続いて雨だけは勘弁して欲しい。 5時半に起床して散歩。いるかさんも起きてきた。佐野さんは寒くて眠れなかったとか。 いわきナンバーの単独男性が到着。挨拶。登山に出発していった。 |
不動谷の入り口の滝 | のぞきの滝45m |
7:30 登山届けを出して出発。曇ったりほんの一瞬晴れたりしている。 不動谷入渓地点のぬめりの多い20mの斜瀑は左から登り、堰堤も左から越える。 進んでいくとすごい岩壁が正面に見え始め、沢筋は右へと続く。両側を岩壁が立つ廊下を 進むと45mの斜瀑がすごい勢い。「のぞきの滝」と呼ばれているらしい。 滝を見てから巻くものと思いこんでたら、佐野さんは滝より少し戻り右手の岩場からの ルート工作開始。残留ハーケンを利用して、新規ハーケンを打ちつつトラバース気味に 草付きそして落ち口へ行くルートを模索。岩がぬるぬるでタワシでぬめりを取りながら 進むも、リスもなく無理と判断。佐野さんが降りるにはハーケンとシュリンゲ、カラビナを 1セット残留。いるかさんが佐野さんをビレーしていた右の岩壁には、先行者は縦に登っ たのか、そこにも残留ハーケンやカラビナがあった。 滝の所から降りて行くのもつるつるで滑りそうでいるかさんから慎重に下りる。 そのルート直ぐ横にマムシがとぐろを巻いており、刺激しないように廊下の入り口まで 3人は戻り、左から巻くことにした。「蛇がいるかもしれないから矢問さん、先に行って」と 蛇嫌いの佐野さんの指示。「り、了解」泥状で滑りやすい。 途中の登りで佐野さんがトップに代わり、滝の落ち口に降りるつもりで右を観察。 足場があまり良くなく巻きをそのまま続けて降りることに。 次の40m斜瀑の落ち口にポンと出た。 |
三段30mの滝 | 不動滝 30m |
8:40 次に現れた三段30mの滝。下からは二段しか見えない。本「関西の沢」では「右岸を登る。 ホールド豊富。」とあるが、何十年も経つと「ぬめり豊富でホールドらしきものがない」と佐野 さんに続いて右を巻き気味に登る。佐野さんは2段目落ち口に出て右の岩壁を登る。 僕といるかさんは、その直ぐ右の泥壁状のルンゼを登り三段目の落ち口に出た。 9:25 廊下になり、淵を右からへつって先に見えるのは「不動滝30m」。なかなかの滝だ。 不動滝という限りは不動明王の像が岩に彫ってあったり石仏がある場合があるので、佐野 さんとキョロキョロ。「なさそうだねぇ」「無いですね」記念写真を撮る。 佐野さんが直登する気でいろいろ検討の結果、残念そうに「左から巻くか・・・」という結論。 これまた泥状の滑りやすい巻き。ぐらぐらの木の根をつかみつつトラバ−スぎみに慎重に 巻きながら落ち口へ。 落ち口には滝の左を登ったらしい残留シュリンゲなどもあった。高度感はなかなかのもの。 「ロープをボッカしにきたのと違うから、滝を登りたいなぁ」と不完全燃焼の佐野さん。 |
長い平流を歩く | 立派な巨木も点在 |
左からの枝沢を見つつここからは平流をしばらく歩く。イワナがいるという沢筋でもある。 「おや?」前方に人影を見つけた。白い長い髭の沢の仙人のような釣り師だった。 釣りの邪魔をしないように挨拶して通過した。旧登山道からここへは下りてこられる。 きっとそこから来たのだろう。先週と違い、今日は渓流釣り道具を僕は持参していない。 3人で歩きながら「結構長い平流歩きやなぁ」「滝はまだかいな」といいつつ進む。 10:15 「佐野さん、それ右股では?」わかりにくい二俣。「1:1やね」といるかさん。 台地に乗ってGPSで確認。谷間の木々の間からはなかなか測位できない。 しばらくして測位「ここで左俣に入るのが正解」。 左俣に入ってからは、とうろう岩ルートで下山してきたときの為に左右にクロスする踏み 跡がないか佐野さんとともに観察しつつ進む。(920mあたりにも踏み跡があり、さらに 先の950m等高線との交差地点には左手に赤ペンキのある踏み跡を見つけた) |
くの字2段5m | 流木の刺さる10mの滝 |
淵があり「くの字の2段5m」の滝。行けそうなので先に登らせてもらう。 10:30 流木の刺さる10mの滝。あっさり巻くと思っていたら佐野さんが壁を見つめてる。 右にも立っている太い流木を足がかりにして、滝に刺さっている流木の先端へ岩壁をトラ バース気味に進み、水際右をシャワー気味に登り、最後の悪い乗り込みを右手にやや振っ て登り切った。「流石やなぁ」ロープにアッセンダーをセットし、いるかさんそして僕が続く。 木の先端に行く前に、ハーケンにかけたシュリンゲとカラビナを回収。するとロープの角度が かわり、次の木の先端にかけてあったロープが上の佐野さんと直線に・・・。ま、行けるか。 |
10m滝の落ち口のビレー:佐野さん | シャワー気味に登る僕 |
「やっと今日まともに滝を登れた」と佐野さんもニコニコ。 いるかさんが寝ころんで白い花の写真を撮っている。名前はなんだっけ・・・。 シラヒゲソウだ。 |
二段40mの滝は直登 | シャワーの飛沫で見えない僕 |
11:10 小滝を2つほど過ぎると二段40mの滝。左岸を巻く滝だが、佐野さんは登る気満々。 途中の岩で二条になった右の水際右を、その岩横まで登り、シャワーで滝の左へと行き、 最後に右へ回り込むようにして登り切る。佐野さんがシャワー地点からずっと叫んでる。 よほど冷たいようだ。続いているかさんが登る。いるかさんもシャワー地点で叫んでいる。 そして僕が登る。シャワー地点で高度感抜群なのに冷たいシャワー。早く登り切りたいが なかなか左から右へ行く際の手のホールドが見つからない。手も体も足も冷え切ってくる。 上で佐野さんやいるかさんが何か言ってるが、水の音で聞こえない。少しロープを持って 先のホールドに届いた。あとは滝水をかぶりながらそのまま登った。 3人とも滝のシャワーでずぶ濡れの満足顔。 |
トップで登る僕 | 佐野さんも簡単に |
二段目は赤い岩肌の6mの滝。「いるかさん、トップで行って」と佐野さん。 「結構ホールドが難しい。ちょっと怖い」と取り付いたもののやめておくと、いるかさん。 「この岩肌の滝は行けるかも」僕が力わざでシャワーでロープを引いてトップで直登。 次に佐野さん。いるかさんは滝の直ぐ右横の岩肌をクライミングして登ってきた。 |
15mの滝を偵察登り | ヤブの濃い詰めが始まり・・・ |
11:45 次の15mの滝も昔は「右側を直登、ホールド豊富」とあるが、今やぬめぬめの「ぬめり 豊富」できわめて悪い。佐野さんは左から取り付き中盤で右へと行くも先が悪いとのこと で、慎重に下りてくる。先ほど40mの滝で満足し、あっさりと巻くことにした。 小滝を2つ3つ過ぎるとあとは水が切れて厳しく、そして長い詰めの登りが続く。 段々と背丈より高い竹笹が密生してきてやや右へとトラバース。密生地の寝た笹のトラバ ースは滑るし足が捕まるし体力気力が失せていく・・。笹の無い沢の詰めを登るが、暑く てバテだした。いるかさんがトップでどんどん先に行く。 |
「ここを右に行くと登山道」 | 山頂小屋までもうすぐ |
13:45 佐野さんが途中で登山道からの声で右へ10mほど登り登山道へ出た。僕もそれに続いた。 いるかさんは当初の飛び出し地点まで沢筋をしっかり詰めて登山道に出ていた。 三人で「あ〜、疲れた。長い詰めの登りやった・・」と登山道で休んでいると登ってきた 男性が「あっ、佐野さん」と声をかけた。「うわっ、薫さん。久しぶり!」4人で握手。 盲人山岳ランの伴走でグループで登ってきたようだ。大きな手術もしたらしいのにお元気そう。 薫さんには、長男ナイトンが中学生の頃に卓球などでかわいがってもらったことがある。 懐かしい囲炉裏の仲間と、しばらく近況を話しながら4人で登山道を登った。 13:55 氷ノ山 山頂。うっすらガス。時々晴れ。直ぐに体が冷える。避難小屋でランチタイム。 疲れて食欲が出ないがラーメンを詰め込む。 |
登山道から3mの笹藪中に | このゲキヤブを長時間下る |
14:25 山頂出発。登山道で下りずに「とうろう岩」を目指す下山をしてみたいという僕の言葉に 2人はつきあってくれることに。「ロープは僕が持ちます」 心配なのは時間。過去の記録では岩まで1時間、岩から登山道へは40分のレポがある。 「2時間で、なんとかなるかな・・」と佐野さんも僕も疑心暗鬼の部分を持ちつつ。 笹藪の成長がどうかにかかっているが「キツイのは最初だけだろう」と読んで、僕が先頭で 山頂からの登山道の第一カーブで笹藪へ突入し尾根を目指す。 次に入ってきたいるかさんが「あっ、とうろう岩への石柱があるよ。登山道から3mくらい 入った笹藪の中」と声が聞こえた。登山道のコーナーにあったのに登山道がずれたのか。 背丈以上の笹が密生していて進みづらい。笹が立っているうちはなんとか進めるが、寝だ すと地獄。同体や足が捕まり抜け出すのに腕力がいるので疲労度が増す。 直ぐに終わると読んだのは甘くてずっと続く。標高差200m地点で「もう一度登り直して 登山道に戻ろう」と佐野さん。「あの笹藪をもう登るのはつらい。もうすぐ笹もまにな るよ。このまま下りましょ」といるかさん。僕もあの笹藪を登る元気はないし・・・。 Ca1360mあたりで尾根が分岐している。右の東尾根にとうろう岩があるという某氏の地図を 信じて東尾根を下る。(これが運の尽き・・・正しくは左の西尾根がとうろう岩へのルート) さらにひどい笹藪が続く。軌道修正に右に左に行く際に寝た笹藪では滑って転んだり足を とられてしりもちをついて動けなくなったりどんどんバテていく。 笹藪がややましになった。岩があり佐野さんが「これがとうろう岩と違うのか」と登る。 「標高地点が違うなぁ・・・」と僕。佐野さんが岩に登っていたのを写真に納める。 (これがカメラを手にした最後。このあと落としたようだ・・・この記憶も曖昧・・・ やまあそさんによるとこの岩はCa1250mあたりにある展望岩か?)) 岩の左を佐野さんが偵察するも巻きにくい。右をいるかさんが見て「下って行けそう」と。 またまた笹が密生しだして転んだり足を取られたり・・・。 バテてきた僕を見て「いるかさん、ロープのボッカをかわってあげて」と佐野さん。 各種サイズのカムなどのギヤも多く持っているいるかさんなのに申し訳ない・・・。 1m程の痩せ尾根も時々出現する。 |
こんな開けたところもあるのだが・・ | とうろう岩らしき岩はない |
しばらくして「あっ、カメラが無い」と僕。笹と格闘していたときに引っかかってポーチから 出て落ちてしまったようだ。「2人の滝の登攀やら記念写真やら数百枚が・・・」 こんなルートに2人をつきあわせた上に貴重な記録写真を無くしてしまうなんて・・・。 悔やんでも悔やみきれない。時間もないし探しにも行けない。足も疲れてるし・・・。 「GPSは落とさないように」と佐野さん。GPSを入れているポーチも笹で引っかかったり して裏地が破れてかろうじて持っているというかんじ。恐ろしき笹藪。 曇り空なのでなんとなく暗くなってきた。先頭を行く佐野さん。急がなくては・・・。 P961mから北へ下りかけるが西へと軌道修正し、登山道の木地屋敷跡を目指す。 朝溯行した沢に出た。休憩する。沢の水をがぶ飲み。さらにがぶ飲み。 薄暗くなるので出発。立ち上がった時に「うわっ」岩で滑っているかさんが逆さまに転倒。 顔を打ち軽い突き指の様子だが大丈夫とのこと。 僕も笹で沢手袋から出ている指先を5箇所ほど切っていてヒリヒリする。ズボンも2箇所 かぎ裂きに破れている。佐野さんも笹藪で顔を突いて軽いキズ。みんな負傷の笹藪地獄。 沢から斜面を登り下りると右股の沢。そこから斜面をジグザクに登る。もう笹はない。 あと一息で登山道。 |
やっと登山道に出た | 木地屋敷跡の石柱 | 歌碑 |
17:50 登山道に出た。予定より1時間以上長くかかった。出たのは木地屋敷跡の少し上部。 沢筋や笹藪よりは登山道はまだ明るい。疲れた足にむち打って下る。 途中で右太ももが攣りかけるもだましだまし下る。 樹林帯からでると晴れてきてさきほどよりも明るくなった。 |
地蔵堂を過ぎればあと少し |
18:15 下山完了。車は2台。「お疲れ〜」と佐野さんが「闇下はぎりぎり免れたね」と握手。 「すみません。変な下山路を選択して」と平謝り。「全然気にしてないよ。壮絶なやぶこぎ もボッカも次への経験になるしね」と優しいいるかさん。本当に申し訳ない・・・。 もう1台の車は、トイレの掃除をして下さっているご夫妻の車のようだ。 挨拶して下山届けをポストに入れる。 汚い服や沢靴を脱いでると暗くなった。先週も行った「万灯の湯」へすっ飛ばす。 お湯に入ると切り傷がヒリヒリ。湯から上がって休憩。20時の閉館時間のアナウンス。 さて、北近畿と舞鶴道を飛ばして帰りましょう。22時半すぎに矢問家到着。 そこからは、佐野号をいるかさんが運転して帰る。「気をつけて〜」「またね〜」 シャワークライミングあり、壮絶なやぶこぎありの体力勝負の沢登りだった。 下山ではゲキヤブ下りをしたのに、某氏の地図の「とうろう岩」には行き着けず、石仏が あるかの確認も出来ずだった。一般の沢ノボラーには今やオススメできない下山路。 (某氏の過去レポの地図の岩地点は間違いで、上から下った場合は尾根分岐から東尾根 ではなく西尾根に乗ればとうろう岩に行けたようだ。岩の標高地点も違っているらしいと、 やまあそさん。それなら僕たちが沢中の左俣で見つけた赤ペンキの木と踏み跡はつじつま があうような気がする。やまあそさんも8月末に、下から山頂までほぼ僕らの下ったルート を某氏のレポ地図に従ってゲキヤブを登ったが、とうろう岩には行き着けず山頂まで行 ったとのことであった。僕も間違った地図地点を信じてしまったのが運の尽きだった・・) ※ カメラはゲキヤブの下山中に紛失のため、写真はすべているかさん提供。 後日の「カメラ探しととうろう岩」のページへリンク |
本日のルート 赤:不動谷溯行 青:ゲキヤブ下山 |
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