【岡山県】残雪の駒の尾山から後山


【山 域】 岡山県 駒の尾山・鍋ケ谷山・船木山・後山
【日 時】 2008年3月15日(土)
【メンバー】矢問 単独
【コース】 駒の旺山荘横−駒の尾山(1280.7m)−鍋ケ谷山(1258m)
      −船木山(1334m)−後山(1344.6m)−船木山−後山キャンプ場
家を深夜2時前に出た。中国道を佐用まで走り北上。道の駅「宿場町ひらふく」に4時に
着き、買ってきた弁当を食べる。国道429号から愛の村パークを北に大規模林道へ抜け
ると路肩に雪が集めてあり、「駒ノ旺山荘」の看板。山荘までは除雪されているが、山荘
そばの駐車スペースがあるか偵察に車で登る。というのも、もし山荘付近に車を停められ
れば、船木山山頂のやや西から南西に地形図の1016.8m地点を通る尾根を山荘めがけ
て下ろうと思っていたからだ。

 しかし、山荘前もそこまでの道も路肩には残雪でご迷惑がかかりそうなので、Uターン
して大規模林道まで下り、後山キャンプ場の方も真っ暗な中を偵察に行く。残雪が多くて
登山口までも行けない。駒ノ旺山荘から下った大規模林道の路肩スペースに駐車する
ことにした。日の出までしばし仮眠。車外に出ても寒くない・・・。雪が締まっていないかも。
山荘から少し先に登山口 積雪のある穴のあいた橋
6:30
スノーシュー、ツェルト、ロープなどをザックに入れて、林道から山荘に向けて出発。
2ヶ月ぶりの登山なので、山荘までの30分の登りは準備運動がわりだ。山荘には放し飼
いのワンコがいたのが気にかかるが、静かに通過したので出てこなかった。
初めて見た改造版除雪車
山荘の横には「美作市」と書いた、パジェロの改造版の除雪車があった。
四輪にはしっかりしたチェーンを巻いてある。なかなか機動力がありそうだ。
登山道入り口には「熊出没」の注意書き。熊よけ鈴をまじないのようにつけ、いきなり雪の
積もった穴のあいた橋を慎重に渡る。
「足跡があるぞ。無雪期のルートとは違い、沢沿いに進んでいるが・・・。行ってみるか」
南西にある無雪期の地形図ルートを無視して足跡がかすかに残る沢の右岸を北進してい
ると給水地点の点検口らしいところ。登山者ではなかった・・・。さらに先に進んで西進
して尾根に乗ればよいか・・と進むも先日の雨とこの暖かさで雪が緩み膝や太腿までズボ
ズボ沈み、なかなか進まない。「あっ!」大きな熊の足跡。まだ新しい。鈴を鳴らし歩く。
 左手に登ると倒木だらけの林道らしき所。無雪期のルートへと南へ戻るのもイヤだし、
北進し林道終点らしいところで、早々とスノーシューをつけた。
ここからの西進は実にキツイ斜面の登りだ。一歩進んで二歩滑る・・。スノーシューに雪
が乗り重い。ストックも手元まで沈んだりして倒れる。体はもう熱くタイガースの長袖アン
ダーシャツ1枚になり、先月スイスのユングフラウヨッホで買ったニット帽姿となった。

「あっ!」3段ストックの一番先の1段目が雪の中に残ったようだ。掘って掘って探した
が見つからない・・・。雪はズボズボ、ストック紛失・・ガックリくる。
稜線でダブルストックで進む予定でもう1本ストックは持っているので良しとした。
突然立派な林道が現れた 林道上の尾根道へ
7:30
苦しい急登でもうすぐ無雪期のルートに合流すると思っていると真新しい林道に出た。
地形図で見るとここから北で終わっている林道がここまで延びているのだろう。
林道沿いに左(南)に10分弱行くと無雪期ルートにぶつかるはずなので進んだ。
無雪期ルートとぶつかるところが林道終点。
「馬鹿な遠回りをして急斜面を登って・・・。無雪期のルートをとればよかった(^^;)」
尾根道は歩きやすい 今日歩く稜線の山々が見えだした
そこから無雪期のルートに従って尾根筋を北進することにした。すぐ右下に歩いた林道が
見える。まだ雪がゆるくてズボスボくる。早朝出発したのも雪が締まっている時間帯にと
思ったのが、先日の雨とここ数日の暖かさは雪が締まる時間がないようだ。
「しかしこれだけ雪が残っているのだから、高度900mを超えれば締まっているだろう」
という予想は的中。900mを超えたあたりからスノーシューが沈まなくなった!。
「やったぞ!これで楽に進める」
地形図のCa1139m地点 駒の尾山への登りが続く
8:45
地形図のCa1139mで一休み。空は晴天。風もない。聞こえるのは鳥の声と木の枝に付い
たエビのしっぽがパラパラと落ちてくる音のみ。「のんびり後山まで行けそうだ」
さらに稜線上の山々の展望が開けてきた
だんだんと展望が開けてくる。右前方には鍋ケ谷山、船木山、その向こうに後山が見える。
振り返るとどっしりとした日名倉山が見える。もうすぐピークと思ったらまだ先だった。
駒の尾山(1280.7m) 山頂から西の展望
9:25
駒の尾山(1280.7m)スゴイ展望!! 西には雪をかぶった那岐山、おおっ大山も見える。
北には沖ノ山や東山が見える。山頂西側斜面の木に付いたエビのしっぽが太陽に照らされ
てパラパラと音を立てながら落ちている。晴天にはえて光り、蝶が舞っているように綺麗だ。
まだまだ残雪は多い これから進む稜線・後山はずっと先だ
南方面の日名倉山の方は黄砂の影響かややかすんでいるが、西も北も東もスッキリ!
パンを食べながら30分ほどボーッとのんびり展望を楽しむ。
無線機をつけてみるとメインはコールサインがないハングルの声のみ。
駒の尾山からの下りで振り返る 雪に埋もれた避難小屋横から後山
案内板を見ると船木山まで約50分、後山まで30分とある。
こんな好天で無風のチャンスを逃す手はない。雪も締まってる。「行くか!」
無雪期は笹藪の縦走路もいまは雪原。今から行くルートが一望できる。
避難小屋の横を通過して進む。雪の時期は歩きやすく展望がきき気持ちの良いルート。
エビの尻尾がパラパラと落ちてくる 展望を楽しみながらの稜線歩き
歩いてきた稜線を振り返る 遠くの方まで綺麗に見える
10:25
鍋ケ谷山。山頂らしくない感じ。
船木山の手前の当初下山しようと思っていたCa1016.8mを通る尾根を観察した。
船木山から後山キャンプ場に下るルートは、後半が沢筋なので数回徒渉があるかもしれな
しい、沢筋への急な斜面の雪がどうも気になるので、安全策で尾根筋を狙いたいと思った
のだ。しかし、思ったより細い急な尾根のように見えた。植林帯の雪はズボスボだし・・。
船木山への登りにかかる う〜ん、アツイ登りだ
11:10
船木山。駒の尾山から約1時間の稜線歩き。後山キャンプ場への道標もある。
奥伊吹スキー場の山頂からの無線が入感した。六甲山や四国からもCQが聞こえる。
20分ほどボーッと休憩。今日は天気の心配もなくゆっくり稜線を楽しめる。
さて、後山へ行くぞ! まだ登りが続く
千ケ峰に登っておられるMXFさんの声が無線で聞こえた。菊水山のGTRさんとQSO
されているようだ。さらに沖ノ山に登っておられる途中のOAPさんの声も聞こえた。
OAPさんが山頂に着く30分後くらいにまた交信されるようだ。ブレイクしようかと思
ったが、こちらも太陽の日差しと登りでヒーヒー言っているときで、後山に着いてからに
しようと、10歩登っては息を整えて登っていった。ブナの原生林がある斜面。
ドウダンツツジやシャクナゲの木はまだ雪の下だ。
この登りを登り切れば山頂だ 後山の山頂から振り返る
山頂の祠はブルーシートで包囲 9年ぶりの後山・山頂!
12:00
後山。平成11年の5月にMICKEYと「兵庫50山」の1つとして登って以来だ。
兵庫県との県境の山なので、案内板には「岡山県下、最高峰の山」とある。
教霊山、板馬見山とも呼ばれる修験行場として知られ、今も行場の多くが残り
「西の大峰」とも呼ばれている山。
以前見た山頂の古い祠はブルーシートで覆われている。

ラーメンを作り始めると、無線機からはMXFとGTRさんのモンシュシュのケーキ談話。
思わずMXFさんに久しぶりに声をかけた。その後ラウンドで、直ぐ北の沖ノ山に登って
おられるOAPさん、そして同行されているTQFさんとも初QSOが出来た。

13:15
誰もいない山頂で75分間ののんびりとした時間を過ごして、船木山へ戻り開始。
登りで苦しんだ斜面を下るのは楽でよい。自分の足跡だけがある稜線を戻る。
13:30
船木山。さて、キャンプ場へか、Ca1016.8mを通る西の尾根、どちらのルートを下山路に
しようかと悩んでいると「ゴソゴソ」と音が・・。「熊か」とのぞき込むとキャンプ場ルートから
男性が登ってきた。「いや〜、キャンプ場からここまで3時間かかり疲れ切りましたよ。
ここから後山まで何分かかりましたか。2時までに行けないならあきらめます」
とのこと。30分で行けることを伝え、キャンプ場までのルートが行けそうな情報も得た
のでこのルートで下山することを伝え、お互い「お気をつけて」と笑顔で別れた。
しばらくは快適な下りだが・・ 植林帯の急斜面はジグザグに
地形図で予想していたように、このキャンプ場への残雪路の下山ルートはCa1136m地点
手前で西に振って沢筋に進む、無雪期ルートはややわかりにくく、その後の急斜面もなか
なか手強い所があった。植林帯の斜面もきつく、沢筋に滑落しないようにステップを切ら
ないと危険なところもある。沢筋に出ても2〜3度徒渉するため、スノーシューの着脱も
面倒だった。雪が無くなった後半も岩がゴロゴロの雪道で歩きにくかった。
ブナの木も多い テープと道標がある沢を幾度か徒渉
今回は、登ってこられた男性の登りを逆に進み、無雪期ルートをとってみたが、Ca1136m
地点手前で西に振ることなく、そのまま南進してキャンプ場まで下った方が、残雪の沢筋
に出るより、雪の頃の下山路としては進みやすいのではないかと思われる。(予想だが)
後山キャンプ場の登山口
14:45
登山口に出た。あとは積雪のあるアスファルト道を下るのみ。雪の沢筋下りは疲れる。
途中に林道・竹の頭線を右に見てどんどんと、真っ暗の早朝に下見をした道を下る。
大規模林道に出て右へ駐車地点へと進み、15:15車の所に到着。
雪焼けで顔も手も真っ赤だ。

本日は、愛の村パークの温泉はあいにくの点検日でお休み。お詫びにと石鹸を頂いた。
国民宿舎あわくら荘の温泉で汗を流し、道の駅でゆっくりしながら通勤割引時間帯開始の
17時過ぎに中国道に乗った。半額になる距離で下りて家路についた。

2月に父が他界し、山はしばらくご無沙汰で毎週実家通いが続いている。
来週が忌明けの一区切りだが、母のすすめもあり、今日は良い山旅が出来た。感謝。
本日のルート(駒の尾山・鍋ケ谷山・船木山・後山)
この1つ前の記録は「【兵庫・宝塚】清荒神から中山経由で多田神社」の記録です