【奥越前】口無山から県境JP計画・・敗退記録


【行き先】福井県・口無山から県境JP計画・・敗退記録
【期 日】2006年4月1日(土) 
【メンバー】矢問 単独
【コース】 勝山市荒土町・新道集落−口無山(873.1m)手前敗退
家を出るのが2時間遅れて新道集落に着いたのは夜中の3時過ぎ(;_;)
車中仮眠も2時間半しかできない。口無山(873.1m)から県境ジャンクションピーク
そして雪の締まり具合がよくて快調ペースで進む事が出来たら毛無山まで行くぞ!
バス停付近からも白い頂きがのぞく 除雪最後地点からは積雪1m50cm
5:30
起床。たった2時間ほど・・・寝たのか寝ころんでただけなのか・・。
集落に着いたときに除雪最終地点を見にいったが、皿川沿いの道には1m50p
ほどの積雪。川には綺麗な雪解け水が勢いよく大量に流れている。
ここまで積雪があるとは思わなかった。数日前の降雪のためだろう。
集落の家の屋根にもまだ雪がある。道はカチンコチンに凍結。
大阪方面はもう桜も咲き始めているが、ここはまだまだ冬景色。
山中の積雪具合と締まり具合がわからない。ワカンとスノーシュー、どちらにするか。
ロープ、アイゼン、ピッケル、ツェルト、ガスなどをザックに詰め込み、悩んだが、スノー
シューにした。ストックも持った。気温はマイナス2℃。

6:00
集落のバス停横の道路脇に車をデポし出発。道が凍っていてツルツルだ。
除雪最後で雪に乗り込み、川沿いに進む。ツボ足で20pほど沈む。
10分ほど歩いて足の抜き差しに疲れた。スノーシュー装着。歩きやすい。
この斜面から尾根に取り付く 木の枝がうるさくて閉口する
6:20
狙っていた斜面は地形図で見るより急に感じるが、登らねば・・・。
ステップを切りながら登る。すぐに暑くなる。10分ほどで植林帯を抜けて尾根へ。
左は植林帯、左は自然林だが、尾根筋の自然林の枝がジャングルのように邪魔だ。
枝と格闘も疲れる。尾根より右斜面をトラバース気味に登る。鹿の声が多い。
雪が20pくらいの深さの所で層になっていて、ゴソッと絨毯のようにミニ表層雪崩の
ように崩れ滑る。1m登って、自分の周囲の雪と共に5mほど滑る・・・。
なかなか上へ進まない! 暑い。汗が流れ目に入って痛い。バンダナを巻く。
自然林の斜面は気持ちいい 振り返ると新道集落も見える
7:00
ジャングル帯も抜けてまあまあ登りやすい尾根になったが、スノーシューは相変わらず
20pほど沈む。春の湿った重い雪だ。左の真っ白な水無山の景色が目に飛び込む。
右にはこれから行くJP方面がこれまた真っ白で青空によく映えている。綺麗だ!
木の根元のへこみ部分で軽く朝食。サービスエリアで買ってきた焼きサバ寿司がうまい。
スノーシューも20cm沈む 南の水無山方面が見えてくる
このあたりから雪質が変わった。じめじめ雪ではなく細かく軽くなってきた。
スノーシューは相変わらず20pは沈む。斜度のきついところは膝まで沈む。
これを登るとP505mも近い 自分の足跡だけが残る
8:00
P505mに着いた。とても素晴らしい展望だ。下には新道集落も白く小さく見える。
しばらく尾根筋を進む。右の斜面では小規模の雪崩れが発生。雪崩れていない部分でも
小さな雪塊が落ち出すとバウムクーヘンのように転がり最後はタイヤよりも大きな輪っかに
なって転がって行ってる。雪が緩みだし弱層が崩れ始めたか・・・。
雪塊がタラタラタラ〜っと沢山落ちる 見上げるような20mの斜面を登る
進行方向には見上げるような20mの雪の斜面。「うっ、これ登るのか??」
つかむ木がないし、タラタラタラ〜っといくつもの雪塊が滑り落ちてきている。
地形図を再確認。やはりこれを登れば、少し緩やかな尾根になり痩せ尾根が続くはずだ。
2本のストックを中間位置で握りしっかり差し込んでステップを切りじわっと登るのを
繰り返す。途中で弱層部分がガサッと崩れて5mほど滑ったが、ストックを突き刺し
何とか止まった。登りながら「これを帰りに下るのはメチャ怖いなぁ」と思いつつ前進あ
るのみ。雪が締まっておらず崩れやすい。弱層と下の層が実感できるいやな感じ。
最後の乗り込みが崩れそうで怖かったが、何とか登りきれた。
斜面は登り切れた。ふぅ〜 JP方面の景色が広がる
8:40
今登ったところを振り返るが崩れても困るので、際までは行けず直下は見えない。
前進しよう。周囲の景色は360度素晴らしい。正面の口無山まではあとわずかだ。
痩せ尾根と口無山方面 敗退を決意してあたりを眺める
雪の痩せ尾根だ。てっぺんは足の幅も無く、両側は落ちている。ずっと奥は雪庇に
なっており左に少し張り出している。右の斜面がタラタラ〜と雪塊崩れが続いている。
7割は行けると思いじっと見つめた。あとの3割はここも弱層が崩れだしたら止まらない
だろうと懸念した。相棒がいればビレイしてもらいつつ踏み固めて進めそうだが、今日は
単独行だ。てっぺん部分には小さな獣の足跡のみ。クラックも見える。葛藤が続く・・・。
「ここまで来たのに・・・」目の前の口無山だけでも行きたい気持ちを押さえて、この痩
せ尾根はもっと雪がしっかりしているときに来ようと、無理せず戻ることにした。
じっと口無山とジャンクションピーク方面を見つめた。残念だ。「また来るぞ」と誓う。
慎重に下らないと・・・ この景色をバックに食事をしよう
あの斜面を下る。左に滑ってしまうと谷底まで一直線だ。スノーシューを脱いでツボ足で
慎重に下る。乗っている雪面が滑って3mほど面で落ちた時はヒヤリとした。
最高の景色と静けさの中で食事
9:00
P505mに戻った。この景色は去りがたい。「こんな撤退の時でも山日和さんならこの
時間を大切に楽しむだろうな」と頭をよぎり、景色を楽しみつつここで昼食にと持ってきた
ラーメンを食べることにした。ダシの水が不足したので雪をたんまり入れて溶かした。
無風だし太陽もしっかり照っている晴天だ。ツェルトも要らない。
携帯が鳴った。ことちゃんからのメールだった。電波が届くのだな。
食事をしていることを返信すると「P505mでかな?」と大当たりの返信に驚いた。
至福の50分間だ。心配しているMICKEYにも「撤退を決意して戻る」とメールした。

帰りは自分の足跡に沿って戻ったが、スノーシュー無しでは膝上まで沈む。
やはりスノーシューを履いた方が格段に歩きよい。
あの尾根下部の木の枝のジャングルがいやなので、右手の杉の植林帯の尾根筋を狙う。
景色はない植林帯だが明るいし、とても下りやすかった。登りにもここが良いかも。
10:25
車のデポ地に着いた。振り向くと真っ白な山。「また来るぞ」と言って帰路についた。
集落を出てからも、昨夜は見えなかった素晴らしい雪景色が広がっている。
福井北ICから敦賀ICまで高速利用(1,650円)。あとは名田庄村経由の地道で帰った。
ラジオではPL学園が勝ってベスト4。タイガースは3点勝っていたのに最後は負けた。
本日の予定コース(点線)と足跡(実線)
この1つ前の記録は「大峰・残雪の稲村ケ岳」の記録です