沢【台高】本沢川・黒石谷(扇滝までの日帰り溯行)
【山 域】台高・本沢川:黒石谷(扇滝までの日帰り溯行ルート) 【日 時】 2010年8月14日(土) 【コース】 黒石谷出合〜林道終点−6m斜瀑落ち口−末広がり12m斜瀑 −ゴルジュ−男女滝−明神滝30m−扇滝10m−右岸東南支尾根 −黒石岳1348mの北尾根 Ca1250m地点−黒石谷出合 【メンバー】BAKU・いるか・矢問 |
「いま芦生の沢登り中だけど、明日14日に黒石谷へ行きましょうよ」といるかさんから。 「沢泊で抜ける沢だけど?」と聞くと「どの地点で戻るかは不明だけど日帰りですよ」と。 14日は何の予定もなく、一人なら亀の壺でも溯行しようかと思っていた。ラッキー!! 黒石谷といえば、むか〜し、囲炉裏でプチ捜索事件で記憶に残っている沢の名だ。 BAKUさんも前日は前鬼に沢登りに行ってるが、連ちゃんで参加するとか。 お二人さんはどこまで元気なのだろう!「では明日!」と、墓参りも済ませて用意を開始。 川上村役場に朝7時集合。盆休みで1000円高速の日。どれだけ高速が混むか予想できず 3時半に家を出た。大阪市内を抜けきるまでは小雨が降っていた。奈良方面は午後20〜 30%の降水確率。岩壁を登る可能性もあり雨は降らないで欲しい。 スムーズに抜けた高速を出てから169号の車の量がいつもより多い。 普段より20分長くかかっただけで5時半に到着。遅刻せず弁当を食べながら待てる。 黒石谷出合は狭いのでBAKU号1台に荷物を移して、7時過ぎに出発。 黒石谷出合いのゲートは閉まっていた。車道を少し進んだ膨らみに駐車して準備。 BAKUさんのタイツの色で、さんざんいるかさんと笑って、さあ出発だ! |
8:10 ゲート横のお地蔵さんに手を合わせ、右下に大タイ滝などの12日の台風後の増水した流 れを見ながら「3級の沢なのに、この増水ではレベルが上がって今日はピリ辛かも」BAKU さんが言いつつ、廃車横を過ぎて進むと林道終点で小道となりその先の丸太橋を渡ったと ころから谷へ降りることにした(8:45入渓)。 |
「うわっ、よく滑る岩ね」と、いるかさん | 「綺麗な水だね」 |
降りたところは15mの滝の落ち口で、どこもかもメチャ滑る岩肌だ。 この谷の岩は角が丸くなりしかもすごく滑りやすいので1歩1歩も慎重に足に力が入る。 |
「ここは左から巻くか」 | 落ち口へトラバース |
2条10mの斜瀑は増水で吹き出している。「こりゃ直登は無理やな」とBAKUさん。 左から巻くことにした。巻いていると山道にでた。そのまま進むとはしごのような丸太橋。 |
まだこれはしっかりしている | 沢へと再度降りる |
そこを渡って沢へと下り戻る。右水際を進むと廊下。二条の滝は左岸に渡渉して登る。 次に右岸へ徒渉だが、水圧がすごい。BAKUさんがいるかさんに手を貸す。そしてまた 左岸に徒渉しまた右岸へ。ここはいるかさんがうまく飛び石。男2人は水中を進む。 |
「半端じゃない水圧ね!」 | 緩やかな流れを腰まで浸かって |
右岩沿いのゆるい斜瀑はすごい勢い。いるかさんが腰まで浸かって突入。男2人も従う。 |
廊下奥の4mの滝 | ランニングPから8m滝 |
9:20 廊下の奥に4mの滝が。泳いで抜ける事は出来そうもない水量で吹き出してる。 休憩してから右手から巻いた。次に8mの滝もすごい水量。右の斜面へ少し登ってから トラバース気味に巻くのだが雨後の土は滑る。BAKUさんが行きかけるが「危ない」と ロープを出すことに。いるかさんが途中の左の木にランニングをとって先行。 |
「BAKUさん、来ていいよ〜」 | 「この岩もよく滑るよね〜」 |
次に僕。そしてBAKUさん。渡ってしまうとロープを出すまでも無かったかもしれないが 手があるかないかわからなかったので安心感が相当違うのは事実。 9:55 末広がりの12m斜瀑は実に綺麗だが、今日は快適に直登なんてとんでもない水量!。 どこから巻くか検討。「右のバンドから行けそう」と僕が言うと、BAKUさんが「偵察に 行ってみる」と先行。行けそうで次に僕、そしているかさんも続いた。 落ち口そばの左岸の岩面を通っていくがすり鉢のように滑る滑る。 滑ったら滝にそのまま飲まれるのでみんな慎重に進む。 |
「うわっ、滑るぞ!注意!」 | 「水圧で足が持って行かれる!」 |
「いるかさん、頑張れ!」 | これは左から巻く |
次の8mは左手から巻くので、右岸に渡渉しないとならないが、簡単に渡渉できる水圧の ところがない。斜面の木から40mロープをダブルにして懸垂気味に沢におり、そのまま 右岸へと渡る作戦にBAKUさんは出た。徒渉点で対岸にロープの残りを4度投げるも水 圧に飲まれて流される。水流に足を突入のBAKUさん。水圧に耐えて渡りきる。続いて 僕がエイト環にロープをセットして徒渉。水流の水圧は半端じゃない。すり足で慎重に。 続くいるかさん。体重が軽いので水圧にやや苦戦。みんな右岸に徒渉できてニッコリ。 |
空中懸垂下降を終えた | 男女滝 |
奥に二条の滝が見える8mの滝は左手から巻くも、右も左も谷に戻れる斜面が無い。 懸垂下降でBAKUさんが先行。「空中懸垂やで〜。気をつけや〜」と下からBAKUさん。 久しぶりの懸垂下降が空中とは、やや緊張。僕、そしているかさんも無事に谷へ降りた。 2条というか2本落ちる10mの滝。「これが男女滝かなぁ」「これかなぁ・・・」と見る。 「その奥上に飛沫を上げる大滝が見えるので、アレが明神滝ならこれが男女滝では」と僕。 休憩しつつ左の壁を偵察していたBAKUさんが「こっちは無理や」と。 中央の張り出し際を登れそうと、いるかさんがルートを考えるが最後の水量が不気味。 |
男女滝の左落ち口へ | 「この右は無理や」 | 「左の小滝を登ろう」 |
再度、いるかさんが左の壁を偵察。「矢問さん、ここのバンドで行けそうよ!」と丸マーク。 左手の倒木のバンドから巻く事になった。先頭のBAKUさんは滝の落ち口左際は滑りそ うとさらに上に登って巻く。いるかさんと僕は落ち口左際の方を選択して行った。 次の淵の右手に8mの滝。右の大岩の影にでもルートがあるか偵察するも駄目。 胸まで「ひぇ〜冷たい〜」といいつつ水に浸かって歩き左壁際の小滝を登ることにした。 |
明神滝 30m | 「滑って登りにくいよ〜」 |
11:20 「おお〜、すごいなぁ!」眼前には明神滝が水を吹き出して飛沫を吹き散らしている。 落差30m、今日は台風後の圧倒的な水量で実に力強い滝に見える。 滝の正面で写真を撮りたいが飛沫がすごくて撮れる状態ではない。左手で写真を撮る。 |
「岩のトンネルね」 | 「この穴も登るのね。行くわよ〜」 |
滝下は袋小路状だが、右手の大岩下に隠されたルートがあり岩のトンネルを抜けて左岸ル ンゼの岩場に取り付く。経験者のBAKUさんが先行。続いて僕、そしているかさん。 ※(右岸の巻き道に取り付き、ブッシュ帯に入って意外と楽に落ち口へと出る巻きルート もあるようだ) |
「トップで行きます!」 | 「無理するなよ〜」 |
大岩のトンネルを抜けてそのままクラックの左手をいるかさんがトップで中間まで直登。 (※ここを直登せずトンネル出たあたりから右手の岩壁を登り草付き際へと進む方が ホールドも豊富で簡単のようだ) 続いてBAKUさん。そして僕。丸い岩で手や足に苦労する。 腕に力が入る。そこの中間点左手に残留ハーケン2本に紫のシュリンゲが。 懸垂下降での残置だろうか? ここからは登れないということ? 小雨が少し降ったが、すぐに止んだ。こんな岩壁を登ってるときに降らないでくれ!! |
2番手のBAKUさん | 中間地点からさらに上へ |
この中間点から見ると、やはりクラック右の岩場がやや台地状で登りやすそう。 戻って登り直すか検討。いるかさんが「このままここを登ってみるわ」と登り始める。 BAKUさんがビレー。逆層の上に丸みのある岩壁に苦戦。途中でハーケンを1本打つ。 「これで少し気持ちが楽になったわ」といるかさんはグイッ、グイッと登っていく。 「フィックスしたよ〜」ともう姿は見えないが、いるかさんの声。「お〜、やったな!」 僕が登る。なんと手のない岩壁。足もかかりが甘い。指先に力を込めて体を上げる。 登り切ったところは落ち口のすぐ右横の岩壁窪地。丸い岩壁で滑ったら一巻の終わり。 |
「いるかさん、すごいなぁ」 | 「あ〜気持ちいいわ」と、いるかさん |
最後はいるかさんのビレーでBAKUさんが末端で登ってきた。 「いるかさんの登攀力に感謝やなぁ」「途中のハーケン、スコッと抜けた」とBAKUさん。 「上のハーケンも逆向きの力ではスコスコだったの」といるかさん。核心部を抜けた。 この後はナメのような様相が少し続き、増水の小滝を見つつ左岸を進む。 |
曇っているので泳ぐほど暑くない | 扇滝 10m |
12:55 扇滝10m。これまたすごい水量で吹き出している。滝の裏から裏見の滝のように右岸に 取り付く所らしいが、今日はそんな水量じゃない。飛沫の風でとても涼しくて気持ちよい。 時間も時間だ。ここでランチタイムにして地形図を見て帰路を検討しないとならない。 1.この谷沿い右岸にある昔の山道を下る。→途中の丸太橋群が落ちている可能性大。 2.次の左(南東)に入る沢を詰め登って黒岩岳北尾根を下る。→未知の谷で時間が?? 3.次の南東支尾根を登って黒岩岳北尾根を下る。→長いが谷より確実。 検討の結果「3」を選択。「矢問さん、GPSと地形図でルート指示頼むよ」とBAKUさん。 支尾根といえど高度差400mを登らないとならない。藪尾根だったら地獄の暑さだろう。 |
昔の山道に出た | 丸太橋は朽ちて落ちている |
13:30 右岸の支尾根への取り付き開始。扇滝のあの涼しさはすぐに消えて無風の登りとなった。 「登る前にあの釜に浸かっておけば良かった。」と思っても後の祭り・・・。暑い!!。 斜面を登っていると山道に出た。右(北)へと進み尾根の突端近くの丸太橋が落ちている 手前から支尾根へと登る。尾根はあまり密生していない背丈より高い笹に覆われているが、 杉の植林の手入れのためかうっすらと仕事道らしい踏み跡が残っている。 ひどい藪ではなく笹を軽くかき分けつつ進むことができる。しかし暑いのだ!! |
「真新しい林道が出現」 | 快適な黒石岳の北尾根 |
15:10 「BAKUさん、林道に出たで〜」と僕。まだCa1200m地点前に突如真新しい林道出現。 「これどこに下ってるのかなぁ。このまま下って行けば下山すると楽なのに」と僕。 「上はどこまで行ってるのかなぁ」「どちらも途中で終わってるかも・・・」 時間もあり冒険は出来ない。やはり安全策をとり上に向かって歩きつつ林道を離れてまた 伐採された尾根に取り付く。ここからはさらに傾斜がきつい。暑い、バテる!! Ca1240m地点で右太ももがつる前兆。芍薬甘草湯顆粒を飲む。 「ここからトラバースしよう。沢をやってる者なら行けるさ」とBAKUさんが行く。 いるかさんが続き、僕が続く。薬が効いて右太ももは楽になった。 15:40 Ca1250m地点で北尾根に乗った。休憩。 尾根は手入れのされた植林で明るい。下っていくと左手下に林道が近づく。 「ゲッ、やはりあの林道を下っていけばこの尾根の先とぶつかったのか〜」とみんな。 途中で林道に降りるいるかさん。そのまま尾根を行く僕とBAKUさん。尾根は途中で崩 れている。いるかさんと合流。尾根はずっと進む方向についていて右へと曲がって下って いくが、カーブの所から僕らはそのまま北方面へと尾根を下っていく。 溯行でふやけた足の指の皮がめくれたのか痛い。ハンドエイドを貼って靴を履き替える。 快適に下れる。先頭でルートを確認しつつ進む。段々と沢の音が近づくと右手に今朝通っ た林道が見えてきた。 |
「林道に着いたよ〜」と2人に知らせる |
17:20 林道に出た。体が熱くて止まると汗が噴き出るのでそのまま先に下っていく。 林道に出て13分でゲート。お地蔵様に手を合わせてみんなで無事を報告。 「来年は沢泊で上まで抜けましょうね」といるかさん。明日はボルタリングに行くらしい。 なんと元気なんだろう! BAKUさんも明日夜からアルプスか沢に行くという。元気! 17:35駐車地点。大急ぎで入之波温泉へ行ったが、17時までだった・・。18時半まで 受付の中荘温泉へ急ぎ、18時半に到着するも「お盆で満杯でお湯も綺麗じゃないから 今日は勘弁して〜」とお母さん。温泉を考えるBAKUさん。 それではと、渋滞気味の国道をのろのろ進み、御所市の「かもきみの湯(500円)」で 汗を流し、食事をして21時に解散となった。帰路の道は渋滞も解消されていて快走。 葛城町を走っていると名古屋の7L1FFNさんのD-STARのロールコールの声。応答した。 続いて門真市走行中のJJ3GAAさんがD-STAR生駒山かけで声をかけてくださりQSO。 23時に自宅へ着いたらMICKEYが玄関に。「APRSのGoogle地図を見ていたので車の 走っているところがわかってたのでもう着くと思ってね〜」と。片付けを手伝ってくれた。 MICKEYも良く知る、いるかさんやBAKUさんとの溯行なので安心していたらしい。 ますますたくましく技術をつけていく筋肉もりもりのいるかさん、そしてBAKUさん、 楽しい溯行をありがとう!。水量が多くて直登が出来なかったけど、美しい滝群でした! 黒石谷の「日帰り沢登りルート」としては、ピリ辛でなかなか良かった。 |
本日の溯行ルートと下山ルート |
この1つ前の記録は「沢【鈴鹿】内部川:中ノ谷から鎌ヶ岳」です |