【兵庫】引原川・万ケ谷から阿舎利山(1087.3m)
【山 域】兵庫 引原川・万ケ谷から阿舎利山(1087.3m) 【日 付】2007年7月22日(日) 【コース】ソーメン滝12m−万ケ谷−三段50m滝−連瀑帯−20m滝 −二俣−取水口−阿舎利山−西尾根−P787m−二俣−原発電所 【メンバー】矢問単独 |
家事都合や天候不順でしばらく山行からご無沙汰。(と、言ってもたった1ヶ月ほどだが) 晴れるという天気予報を信じて、今年4月に登った阿舎利山を万ケ谷から遡行してみる。 朝5時過ぎに家を出ると曇り空。宝塚から中国道を山崎に向けて進むと小雨が降り出した。 たぬきさんと福井の山へ向かう途中というやまあそさんのコールが、モービル無線に入る。 「雨後なので水量が心配なんですよね・・・。ソーメン滝の水量を見てから考えます」 「絶対に無理は禁物ですよ。気をつけて〜」 「ありがとう〜」 山崎ICの手前で雨が止んだ。天気予報は当たるのかな。 川沿いのR29を北上するも、川の水がいつもより多いし勢いがある。水量が心配だ。 ソーメン滝の前を通ると、その水量たるや、ソーメンどころか、吹き出してるではないか! 直ぐ先の左手にあるゲートボール場の空き地に駐車。雨は降っていないものの不安。 |
今日のソーメン滝はスゴイ水量だ! | この渦巻きを向こう岸から渡ります |
7:45 「どこからでも直登できるソーメン滝」とは違い、今日は人でも押し流すような水量だ。 ゴーッッッと水音が轟いている。標高差250mを一気にかけ下る万ケ谷のスタートだ。 「今日はソーメン流しというよりも人間流しになりそうな水量と水圧やなぁ。気をつけよう」 左岸の水際を登る。ぬめって滑りやすい。次は直ぐに右岸に移らないと進めないのだが、 水が白く泡立っていて深さも足場の岩も見えない。足を入れかけると水圧で飛ばされた。 「エイッ」と膝まで入れたが届かない。モモまで入れたが届かない。恐ろし〜・・。 腰まで浸かってやっと底に着き、右岸へ。そこからへつりぎみに岩を登るがなかなか良い ホールドが見つからなくて苦労した。 「あ〜、スタートからえらく濡れたなぁ・・・」水量の少ない日は簡単に渡れそうなのに。 |
岩間1.5mも激流だ | これまたスゴイ水量 | ここもスゴイ水圧です |
こんな水圧は直登不可能 | 少し楽な流れです | また先に激流が見えだした |
次の岩間1.5mの滝も2mの滝も水が噴き出してて、直登する気も起こらない水量。 素直に巻くことにした。遡行図では次の三段50mの滝までは滝の記号はないが、沢山の 滝が出現している。それだけ水量が多いのだ。水際を登ったり巻いたり簡単にできる。 |
吹きだしてマッセ〜 | 急流滑りも顔負け | 平和な景色にホッとする |
「ゴォッッッ−」すごい音。水が吹き出ている。これが三段50mの滝だな。 下段は簡単に登れるものの、中段と上段はとても無理な水量なので左岸から巻く。 |
なかなか良い雰囲気 | この岩間を登ります |
ここからはしばらく2mから3m程度の小滝が10本ほど続く。水圧で直登は避けた。 3mの斜瀑を過ぎ次の3mの滝の次には、左に3mと右に4mの滝が並んでいる。 4mの滝を通常は直登し、次の4mの斜瀑も立ち木をホールドにして登るようだが、 今日はとても無理な水量だ。素直に右を巻いた。 |
これもスゴイ水圧ですよ〜 | こ、これは無理〜 | 押されつつも登れます |
8:30 末広がりの10mの滝。ここもスゴイ水圧だ。登りかけたが吹き飛ばされ巻くことにした。 いよいよ連瀑帯に入る。上を見上げるような感じになり急に高度を上げている。 大岩がゴロゴロしていて、その岩間を20m滝+10m滝+10m滝+3m滝+10m滝 +10m滝+10m滝と続くのだ。見るからに「直登なんてとても無理やんか!」 大半の滝は右側の巨岩ゴーロの間を登って行ける。明るい感じの最後の10mの滝は右側 を登る。シュリンゲがいるらしいが、何とか登れた。 |
この水際を登って・・・ | 大岩の下をくぐり対岸へ | 20m滝の右岸に渡れた! |
9:00 「雨か?」と思ったら、この沢の最後の下段10m+上段20mの大滝の水量が多すぎて、 吹きだしているのと同時に水滴が霧のように宙を飛びまくっているのだ。 これが、本日最も心配していた地点。岩壁に囲まれている・・・逃げられない。 最初の下段10m滝はセオリー通り右側のチムニーを這い上がった。次に20m滝の大岩 の下を通って左(右岸)に渡りたいが、水量と水圧で渡れない。万事休すか・・・。 右側の岩壁をザレ場からも偵察したが、とても僕の技量では登れない垂壁状。 やはり左へ渡るしかない。再度岩を見ると、足の親指がかかるくらいの小さなホールドが ある。手の指も第一関節はかかりそうだ。2歩進んであとは飛び移るしかない。 「失敗したら滝壺やなぁ」慎重に滑らないように・・・「エイッ」右岸へ飛び移れた!! さらに、ここからは20mほどの垂壁のような岩壁を登らないと突破できない本日最大の 難所。ホールドは、時々ある細い木と木の根と親指くらいの岩の突起が少ししかない。 じっと見ると細いバンドが2本見える。 まず1本目のバンドに向かって登り出す。コワイ〜。雨後で岩は滑るし土はズルズル。 引力と仲良しの体重が憎らしい。細い木は体重に耐えられるのか・・・。1本目に到達。 「スラブの5.9レベルやな」と独り言。さらに次はホールドが乏しい。足場の乗り換え が必要な所で、シュリンゲをザックから出すのを忘れたのに気づいたが遅い。セルフビレ イがとれないし戻れない・・・。「どうしよう。このままだと落ちるなぁ」足が疲れて震 えてきだした。岩を手探りし土を掘って木の根を探した。右手の指2本かかる根がある。 もう一方は左の指2本第一関節がかかる岩のホールドがあった。「今度は5.10aや」 「行くぞ〜。握力全開!失敗したら滑落やぞ〜」と力を振り絞って重たい体を持ち上げた。 二本目のバンドに到達した。ここからは木やツタをつかんでのモンキークライム。 腕力勝負だ。僕にとっては、岩壁登りに比べたら気が楽だが、枯れ木も多くて根元を持つ 慎重さが必要だ。「登れた!!」やっとホッとした。 9:35 落ち口に下りるのに懸垂下降が必要かとロープも持参したが、斜めにうまく下りられる 斜面だったので助かった。「あの岩壁を登るのがもっと楽なら手軽なエエ沢なのに・・」。 クライミング好きな人なら楽しい壁だろうが、怖がりの僕はこういう壁は苦手だ。 |
20m滝の落ち口です | これからは平流となります |
滝の落ち口横の左岸を見ると木に赤ペンキとテープ。何の印なのだろう?? 今日初めての休憩を取る。時間を見ると2時間ほどしか経っていない。 |
取水口のある堰堤が出現 | ここで林道が谷(沢)をまたぎます |
ここからは穏やかな平流となる。川は右へと曲がり20分ほど沢沿いに進むと堰堤が2つ 続き左手にはコンクリートの取水口。堰堤の右の林野庁の標識には「平成14年度 マン ガ谷国有林 第一号谷止」とあり「波賀町営水道取水口」という波賀町役場の看板もある。 10:15 次の二俣は左俣へ。取水用の黒い直径30pくらいのパイプが右岸に走る。 そのパイプがグッとUターンしている所を過ぎると、林道が谷を横切る。 沢登りだけなら、ここらで打ち切り右岸に出てくる林道でトンネルを越えて日ノ原集落へ と戻るのだが、今日は山頂まで詰めてみる。(いつもの馬鹿なこだわりかも知れないが) |
植林帯を平流は続きます |
単調な平流は植林帯の中へと続き、沢登りの顔とはガラリと代わる。曇り空と植林帯では GPSも効かないので、コンパスと地形図で確認しつつのんびり歩く。 実に単調な平流で面白くない。右岸に登山道が見えるのでそれを拾って登ることにした。 ジグザクに高度を稼ぎながら登る道で、沢登りで冷えた足にこたえだした。 11時には山頂に着くだろうと思っていたが、どんどん足が疲れ出す。「しんどい〜」 11時半から無線機をワッチ。岡山県のCQがクリアに入感するが、息が絶え絶えで応答 する気力がない。「山頂に着いたら応答しよう」あと一息だ・・・・。 |
沢装束のままで、阿舎利山 山頂に |
11:45 阿舎利山 山頂。ガスに包まれている。誰もいない。涼しい。 蚊取り線香をつけて虫除け対策し、ランチタイムとした。 OAPさんがたぬきさんをコールされている。たぬきさんの応答はない。 先ほどの岡山の局長のCQがまたあり応答したが、相手には届かないようだ。 この山は1087mあるのに、何らかの影響で電波の飛びが悪いのかもしれない。 以前、やまあそさん達との交信でもアンテナを付け替えてやっと聞こえた。 やまあそさんやたぬきさんをコールしてみたが応答無し。沢靴を登山靴に履き替えた。 |
立派なブナもある尾根 | ガスで幻想的です |
12:20 食事を済ませ下山開始。ガスに包まれて幻想的な尾根道を二俣に向かって西へ西へと進む。 家の近くではニイニイゼミがうるさく鳴いているのに、この尾根ではもうヒグラシが鳴いている。 13:30 二俣の所に出た。林道を拾って日ノ原に下るのも面白くない。尾根を越えて西へ西へと 原発電所に向かって行こう。ああっ、沢を徒渉しないと右岸へ行けない・・・。 登山靴を脱いで裸足で渡った。斜面を這い上がって尾根沿いの杣道へ。 |
下は遡行してきた沢 | これは何のためにあるのやら | 石垣もあります |
尾根を越えて斜面を下ると仕事道らしきものが。ここもGPSは全く効かない植林帯だが 仕事道はハッキリしている。斜面に大きな導水管?らしきものがある。石垣もある。 人1人歩けるような仕事道は、西へと等高線上を向かっている。 |
金網フェンスとドア | 金属階段にプラ階段が続く |
途中で金網があり、開く金網ドアがあった。仕事道はその先へと続く。金属階段にプラ階段。 「あれッ?、これは原発電所の導水管沿いの点検道かも」 急な斜面を階段はどんどん下る。やはり導水管の横を下っている。地形図の水色の波線だ。 14:45 R29号線が見えて、原発電所の正面に出た。車は直ぐそば。下山完了「あ〜疲れた〜」 波賀温泉・楓湯(50円値上がりして600円)で汗を流して帰路へ。 心配しているだろうMICKEYへ下山報告。自宅周辺はずっと雨だったらしい。 一日、雨に遭わずに久々にいい汗をかいた。(沢のあとの登山はしんどかったが) 山崎ICの手前から小雨が降り出した。三田−宝塚間で12キロの事故渋滞らしい。 レピーターに向けて発信テストしていると、MXFさんの楽しいみそ汁話しが聞こえてきた。 モービル無線機があると、高速道路で渋滞しても退屈しないのが嬉しい。 |
本日のルート |
1つ前の記録は「兵庫県・平石山(1061.2m)から高星山(1016.4m)」の記録です |