【湖西】石田川源流から三重岳(974.1m)
【山 域】 湖西・三重岳(さんじょうだけ・974.1m) 【日 付】 2007年5月26日(土) 【コース】 河内谷林道ゲート−林道・本谷橋−河内谷北進 −P858m−P889m−P887m−P943m−三重嶽 −ノトマタ谷左岸尾根−ノトマタ谷出合−林道−ゲート 【メンバー】山日和、こと、Y夫人、矢問 |
かつては道無き湖西の難関の山とされていた三重岳(地形図では三重嶽)は、今や鹿害と 山岳会の開拓で登りやすい山、歩きやすい尾根になったという。 「三重岳」と書いて、なぜ「さんじょうだけ」と読むのか疑問だったが、「点の記」を見ると 「二等三角点 標高974.11m 点名:山上ケ岳(さんじょうがたけ)」とある。 これを見ると「山上」を「三重」と書いて「さんじょう」と読んだとも推察される。(林道ゲートから 北へ行ったところの昭和44年施工の橋には「さんちょうがだけばし」とあり「重」を「ちょう」と ひらがなでも刻してあり、この山の読み方は本当にどれが正しいのやらややこしい・・・) 5時半に山日和さんと待ち合わせし、山日和号でY夫人を迎えに行き、琵琶湖大橋の西側 の道の駅「米プラザ」で滋賀からのことちゃんと合流。 国道367号を北上し、石田川ダムから先の林道も自己責任で山日和号はたくましく進む。 落石や倒木があるものの、何とか進める。「←滝谷」と白い標識が立つところで施錠された 林道ゲートがあるのでこの先は徒歩になる。ここで準備。1台の先着車がある。釣り人らしい。 8:40 今日は沢沿い歩きでブナの稜線へと進むので沢靴を履いて施錠ゲート前を出発。 本谷橋まで林道歩きがしばらく続く。林道際にはトリカブトが多く大きなサワグルミの木が 斜面に点在しているのが見える。対岸には藤の花やタニウツギ、ヤブデマリなどが沢山 咲いている。斜面の上部にはホウノキの白い花も見える。 先行者の釣り人が右下の沢中で竿を出していた。 今津山上会が作った「三重嶽登山道口」という立派な標識があり、木橋の先にはまた立派 な道標が見える。我々の本日の開始点はここから林道をさらに2〜3分先の本谷橋。 |
本谷橋を渡って左へ入渓 | 「爽やかな風が吹くね」 | 「日陰で涼しいね」 |
9:25 本谷橋。橋を渡り左岸のテープ沿いに進むが、進みづらい。 沢靴を履いているので沢に下りた。ジャブジャブと浅い沢を進む。気持ちいい! なかなか良さそうな湿地帯があったり、サワグルミの大きな木が沢山ある。ブナの木があ ったり、アサギマダラがひらひらと何度か見ることが出来たり、木陰が多い涼しい沢筋歩 きではないか!。「うわっ、蛇が鎌首を上げている」ヤマカガシだった。 |
「アサギマダラが飛んでるわ」 | 二俣で休憩しつつ読図 |
二俣で休憩。地形図を見る。右俣へ行くと大御影山へと突き上げる。我々は左俣へ。 このあたりも鹿害か、バイケイソウやトリカブトの量が半端ではない。花期には綺麗かも しれないが・・・。クサキもあってあの独特な匂いが漂う。「くさ〜」 南から沢沿いに北の稜線を狙うルートで「暑そうかな・・・」と暑がり の僕は心配したが、晴天なのにその心配は全くなく快適そのものだ。 しかし、やはりこのあたりは豪雪地帯でもある。鹿の頭や足や背骨の白骨を3度も見た。 いろいろな花がありY夫人やことちゃんが教えてくれる。 山を登っている気がしないくらい、傾斜を感じない平地歩きのような沢沿い歩き。 稜線に近づくにつれ、枝沢などの分岐点が多くなり、その都度読図大会。 今日のメンバーは読図がしっかりできるので、進行方向の意見がいつも一致する。 特に山日和さんの弟子と自称するY夫人は、以前よりも読図パワーがアップ。スゴイ。 |
ブナの新緑は綺麗だ | 「詰めずに右斜面を登るよ」 |
11:15 沢も水量がきわめて少なくなる小さな二俣で、山日和さんが昼食の水補給を右の枝沢でし てから、尾根に向かって斜面を進むことにした。大した傾斜でもなく距離でもない。 今日は沢を詰めて「大日分岐」に出ることが目的ではない。4人ともこの北の先にある東西 の尾根に綺麗なブナ林を歩いた事があるので、そこで一休みしつつ尾根歩きを楽しむ事が 目的である。「三重岳」は通過点にしか考えていない、本日の山日和さんの「こだわり」とも いえるルート設定なのだ。 稜線までの斜面登りはたった10分ほどだが、その斜面にも立派なブナがある。 |
稜線までにもブナが多い | 「もうすぐ稜線ですよ」 | 「ブナ林に出たね」 |
11:25 ブナの稜線に出た。ブナ林で涼しい影となっている。 ここで登山靴に履き替えながら、20分ほど休憩する。「エエ感じやなぁ」 無線機をワッチしていたら「電池切れ」となった。充電忘れがたたってしまった・・・。 気持ちの良いブナ林を大日分岐へと向かう。途中の斜面にも立派なブナが沢山ある尾根。 |
大日分岐まで西進する | 大日分岐 | 分岐からは南へ進む |
12:00 大日分岐。以前無かった立派な道標が立っていた。 ここから三重嶽へ続く南への尾根は4人とも初。風雪に耐えた曲がりくねったブナが出て くるようになる。他の木々も地面を這うかのように寝た形になる。不思議な光景の尾根だ。 |
風雪に耐えて地面を這うように育つ | ブナも曲がって育つ |
P889mの分岐は明確に分かるかと思っていたら、南西への地形図の点線より我々が進む べき南東ルートが明確だったのか、気がつかずに通過して進んでいた。 水たまりには無数のオタマジャクシが動いている。どんどん曲がった木が多くなり、木が 寝そべる形になる。「だんだんと三重岳らしくなってきたわ」と、ことちゃんとY夫人。 「雪や強風でブナはココまで曲がるのやろうか。地質も関係するのかな」と、ことちゃん。 ことちゃんもY夫人も南東尾根から三重岳登頂の経験者。Y夫人は残雪期にも登っており 残雪期の様子もいろいろと教えて下さった。 |
ブナ林レストランでまったり | 「立派だねぇ」 |
12:50 P887mでランチタイム。 少し東へ入ったところに気持ちの良いブナ林がある。ここでランチとした。 ブナ林の陰は風が冷たく感じ、やや肌寒いくらいだ。コーヒータイムも続けてマッタリ。 カッコウが鳴いている。「カッコウ・カッコウ」ブナ林レストランの生きた柱時計のように。 |
グニャグニャ状態に育つ | 「どの枝も曲がってるね」 |
13:45 出発。P943mを過ぎるとアルファベットの「C」のように山頂へは回りこむようになる。 山頂のやや西よりの北斜面がカヤトになって禿げたようになっている。 左手には大御影山の反射板も見える。 |
大御影山方面を見ることちゃん | 「あれが三重岳よ」 |
反対側に目をやると三十三間山の稜線が見える。我々の進路もかつてはカヤトの原 だったのだろうが、いまは枯れてポリポリと折れる。これも鹿害なのだろうか・・・。 |
新緑のブナ林は続く | 「ブナの門のようね」 |
その地帯を過ぎるとルートは東進となりここからはまた木陰の道となる。 「近江坂3.4q・三重岳0.2q・武奈ヶ岳5.1q」の真新しい道標がある。 ブナ林を過ぎるともうそこが山頂だ。 |
三重岳 山頂 974.1m | 見晴らし台の櫓 |
14:25 三重岳。Y夫人が来た頃には無かった見晴らし台がある。体重が最もある僕がまず登り、 強度をチェック。かすがいがはずれている箇所、丸太が折れている箇所もあるが、何とか登 れる事が分かり、山日和さん、ことちゃん、Y夫人が続いて登って、360度の展望を楽しんだ。 北の方には以前沢登りで登った雲谷山、南東の方には滝谷山が見える。 あいにく今日は強烈に黄砂が舞っており晴天なのにスッキリとした展望ではないのが残念。 黄砂と共に光化学スモッグも風に乗ってきて発ガン性もあるとかなんとかニュースで言ってた。 |
下山路も新緑帯で涼しい | 立派なブナが立ち並ぶ | どこもかしこも立派なブナ |
14:45 下山開始。今日は4人が全く知らない、ノトマタ谷の左岸尾根を林道まで下る。 ことちゃんとY夫人は南西尾根経験者なので、そことの違いを検証してくれる。 この尾根下りは昔のメインルートであったらしいが、「素晴らしいブナ林」の尾根だった! |
中央の幹がねじれてる | 「立派なブナが多いね〜」 | ブナ連立 |
「南西尾根よりずっと素晴らしい尾根だわ!」と、ことちゃんとY夫人の評価。 ここもブナ、そこもブナ、そしてまたブナ。そして花はないもののイワウチワがずっと 続くのだ。写真を撮ったり、斜面に下りてブナの巨木を確認したり、素晴らしい!! |
ブナ、ブナ、ブナ♪ | 急な下りは虎ロープがある |
ブナ林が終わると杉の自然林らしき地帯となり最後のやや急な斜面にはずっと虎ロープも |
本日のルート 赤:登りルート 青:下山ルート |
この1つ前の記録は「【兵庫】多田銀銅山からソエ谷経由で武田尾まで」の記録です |