【越美国境】残雪の源平谷山から笹ケ峰
【山 域】 越美国境 源平谷山から笹ケ峰 【日 時】 2008年3月22日(土) 【メンバー】山日和・こと・柳川洞吹・矢問 【コース】 鈴谷出合から西600m地点−前谷出合−源平谷山(949.6m)−夏小屋丸 −笹ケ峰(1284.6m)−白谷出合−鈴谷出合西600m地点 |
東京出張から22時半に帰宅して、必要物を積み込んだ車で突っ走り北陸道の今庄ICで下り、 福井県の広野ダムに深夜2時着。走行距離220km。 3年前の残雪期に、ここから三周ケ岳へMICKEYと登ったのを思い出す。 山日和号が見あたらないので、鈴谷方面へ向かうも倒木と雪塊で鈴谷出合までは行けない。 見落としたのかと、また広野ダムのトイレ付近へ。駐車している2台の車は山日和号とは違う。 (その近くの東屋の所で仮眠していたらしい)。朝には会えるだろうと除雪の済んでいる 鈴谷手前600m付近まで戻り、橋のそばのふくらみで明るくなりかける朝5時半まで仮眠しよう。 新型X−トレイルの後部は実に寝やすくて良い。(直ぐ先の林道のふくらみにも先客が2台)。 会えなければ奥美濃最深部という美濃丸俣に登ろうと考え、朝食を食べ準備をしていると 山日和号の3名が到着。3名の朝食が済んでから4名で美濃俣丸のさらに北奥の笹ケ峰を 登ることにした。準備していると単独行の男性が笹ケ峰方面へと先に行った。続いてご夫婦 連れ?が美濃俣丸へと行った。(その後にも同日美濃俣丸へ登ったお二人のページにリンク) 6:30 ピッケル、アイゼン、スノーシュー、ツェルト、無線機等を確認し日野川沿いの林道歩き出発。 二ツ屋の導水施設がある鈴谷出合を過ぎてから林道にも雪が3〜40センチあるが、早朝 で雪が締まっており歩き良い。 |
雪の滑り台状態の林道が始まる |
地形図の「今庄町」の「今」という字あたりから「日野川」の「川」というあたりの林道には 斜面からの雪がそのまま川に落ちる急斜面。ストックをピッケルに持ち替えて慎重に 本日の第一関門突破。帰路では日暮れまでに通過したいところだ・・・。 「林道終点あたりまで行くと丸木橋があるよ」と、ことちゃんが言うが、本日の山日和さ んのこだわりのルートは源平谷山への尾根ルート。それにはまず徒渉があるという・・。 昨年4月の願教寺山での徒渉での「浸水トラウマ」のある僕は、換えの靴下持参した。 |
前谷を徒渉する山日和さん | 鳥居をくぐり尾根に乗る |
7:35 前谷出合で橋を渡らずに斜面をトラバースして、前谷の左岸から徒渉して尾根に取り付く というルート。斜面をよじ登る山日和さんとことちゃん。少し戻って杣道から進む洞吹さんと 僕だが、「距離からすると労力はたいして変わらなかったね(^^;)」と洞吹さん。 前谷の左岸で見た水量は支流といえども雪解け水がなかなかの勢いだ。もっと上流の幅の 細い所へ行くかと思ったら即渡るという。靴の中へ浸水が心配・・・トラウマ・・・トラウマ・・・。 ゴミ袋を2重にして膝まで足に履きテープでズボンに密着固定。 山日和さんと僕はスノーシューを履き、ことちゃんはワカンを履き、洞吹さんはアイゼンを履い て徒渉開始。 スノーシューは水流の抵抗が大きいが、ストックでバランスをとりながら沢登り時のすり足の ように進むと何とか行けたが、あと少しという時に「うわっ、水が入ってきた」と左足にジワッと 水が・・。「またか・・・」でも今回の浸水は少し。岸辺で靴下を履き替えたら問題なしだった。 ゴミ袋はパリパリ材質ではなく、3人のようにのびのあるビニール材質が破れなくて良いの だが今回は夜遅い帰宅で準備する時間がなかった。やはりその心配が当たってしまった。 とりあえず本日の第二関門突破というところか。 洞吹さんのアイゼン装着での徒渉が、流れのキツイ徒渉では最も安定かつ靴底のゴミ袋を 川底の石で破らず正解と、3種類の足元テストが出来た今回、みんな納得し学習した。 昭和33年7月と彫られた鳥居があり、その下に死んだばかりのような幼いカモシカの死体。 鳥居をくぐって尾根に取り付く。薮っぽくて枯葉の滑りやすい斜面だ。 テープも時々ついている。杉林を抜けて広くなりやや右にルートを振り源平谷山の西尾根に 乗る。早朝はまだ雪が良く締まっているのでツボ足で充分だ。なかなかの急斜面で直ぐに 汗が噴き出した。アンダーシャツ1枚になりバンダナを頭につけて汗を止めた。 |
三周ケ岳も見えだした | 「気持ちの良いブナのある尾根だな」 |
ブナの森が始まった。「うわ〜、いい所だなぁ」ブナの大木も点在し、体内の疲れが急に 消えたようにパワーが出た。スノーシューを履いてガツガツと先に進んだ。気持ち良い。 |
源平谷山(949.6m) | 正面に笹ケ峰が見える |
10:40 源平谷山(949.6m)。展望よし。テント泊しても気持ちよさそうな広い山頂だ。 日差しがキツイ。ことちゃんに日焼け止めクリームを借りる。 「ここからは越美国境稜線を望むパノラマ街道」と山日和さん。 「あれが2005年の4月に矢問さんとMICKEYさんとが登った三周ケ岳。 あれは上谷山、美濃俣丸、そしてあれが今日目指している笹ケ峰」と教えて いただく。展望を楽しむも時間が無い。先を急ごう!! |
細い尾根道を進む | 振り返ると山日和さんと絶景 |
みんなはツボ足で出発したが、僕はスノーシューで出発。太陽で緩みだした雪にズボスボ と足を取られている3人がスノーシューを装着している間に先に進む。やや細い尾根を過 ぎるとキツイ登り。バテている僕を抜いて山日和さんが先行する。林道終点からのルート と合流する広いCa1090地点。足跡から単独行の男性は林道終点から登ったようだ。 無線機をつけてみたが、9エリアからの声ばかり。3エリアからの声は聞こえない。 依遅ヶ尾山のたぬきさんの声も全く聞こえず。無線機をオンにしたまま登る。 |
まだまだ国境稜線は遠い | 「気持ちが良いね〜」 |
素晴らしい展望で疲れが吹っ飛ぶ |
デーンとこれから向かう国境稜線が目の前に広がり、やや左手に見える笹ケ峰に向かう には、ロボットピークと呼ばれる県境尾根との合流ピークのところを経由して左へ回り込む ように進むのだが「まだまだ先は長いな」という事を実感する瞬間でもある。 ロボットピークへの登りは僕にとっては暑さとの戦い。「冷たい風よ吹け〜」と念じる。 バテがきつくなり足が上がらない。山日和さんはマイペースで先へ行く。しばらく山に登 っていなかったとっちゃんと、足が攣りはじめた洞吹さんが大きく遅れだす。「リタイヤ するから先に行って〜」といつもと様子が違う洞吹さん。「稜線まではガンバレ」と励ます 山日和さん。みんなの力量と粘り強さは理解し合っている。 ことちゃんも去年このあたりまで登って天候が悪く吹雪いたので敗退した地点という。 |
ランチタイムと荷物のデポ | 「わぉ〜!綺麗やなぁ」 |
12:30 山日和さんが時計を見て時間を読んでいる。ロボットピークを左へとトラバース気味に国 境稜線に合流した地点に無人のテントが一張りある。そこで山日和さんがザックを下ろす。 「短時間で腹ごしらえしよう。美濃俣丸経由で帰路にするのはあきらめても、笹ケ峰ピー クはここから30分位だから、ここに3時までに戻れば6時半には車に戻れる」山日和さ んが闇下回避ぎりぎりの見積もりタイムをはじき出した。 重い装備をここに全員デポし、軽い装備でピークを狙うことにした。 |
国境稜線歩きは展望抜群! |
13:10 暑さに弱い僕は、ラーメンを流し込み先に出発。まずは登り。素晴らしい展望が広がる。 奥美濃の西部最深部の山々が目の前にパノラマとなり眺められる。素晴らしい。 |
夏小屋丸(1294m) | パックリ割れてるが3mはまだある |
13:25 「やぶこぎネット」でたんぽぽさんが16日に美濃俣丸から笹ケ峰を歩いた時のレポより は雪がとけているものの、夏小屋丸(1294m)はまだまだすごい雪量が残っていて、山頂 部はパックリと割れていて3m位ある。このピークはこれから行く笹ヶ峰より標高が高い。 右は大亀裂。うっすら残っている単独行の足跡は左斜面へとピークを巻いて進んでいる。 太陽の熱で雪が緩みシャーベット状となり、スノーシューがズルズルと滑る。 ツボ足の方がよさそうだが、まだ斜面が続き体を安定さすにはピッケルが欲しい所だが 先ほどの所にデポしてきた・・。足跡は2ルートうっすら見えヤブに消えて行ってるが・・・。 後ろから来た山日和さんが見えたので「斜面が融け出してる。右も崩落しかかっているけ ど、巻くルートはなさそうですかぁ〜」と数度叫ぶ。僕が行き詰まったのが分かったようで、 右ルートを見ているようだ。「行けそう!」と声がかえる。戻って山日和さんのあとを追う。 |
ピークは左奥 | 展望を見ながら深呼吸 |
雪の深い割れ目と大きな亀裂は気持ちの良い物ではない・・・。本日第三関門だ。 僕が「これ大丈夫ですか・・・?」と聞くと「谷側斜面の雪とつながって支えられてるので、 当分大丈夫と思うよ」と山日和さん。う〜ん・・・亀裂がデカイ・・・・・。 「往きはよいよい帰りは崩壊なんていやだし」とギラギラ太陽と自分の体重が気にかかる。 この先もとけ始めている大きな雪庇の亀裂のそばを登っていかないと山頂に到達しない。 |
この先も亀裂が走る尾根 | どんどん展望が広がる |
夏小屋丸(1294m)のピークを巻き終わってしばらく進むと「うわっ!」と雪をかぶった クラックにゴボッと左足が腰まではまってしまった。スノーシューがひっかかって体が上 がらない。山日和さんに引っ張り上げてもらい、埋まったストックも引き出してもらった。 「助かった〜。ありがとう」雪の割れ目の延長上は雪がかぶっていても要注意だ。 |
「やっと着いた!」と洞吹さん | 大満足の笹ケ峰山頂 |
14:05 いよいよ最後の登りだ。それほどの登りではないが、太陽の暑さがこたえる。 目の前で山日和さんがバンザイをしている。「本当に山頂ですか〜」と疑いながら登ると 紛れもない笹ケ峰山頂だった。「うわ〜。スゴイ!!」北側の展望も広がり素晴らしい。 山日和さんと握手。振り返るとことちゃんも小さく見える。「ガンバレ〜。あと少し」 さらに後ろに洞吹さんも見える。「洞吹さんも頑張ってる。流石にねばり強い!!」 |
奥美濃の山々を説明する山日和さん | ことちゃんが小さく見える |
サングラスをかけている4人は笑顔で握手握手。4人とも初めての山頂。 名前の通り、無雪期には身長より高い笹に覆われている山頂だが、今は雪に覆われている。 この山域をよく知っている三人は見える山々の名を教えてくれる。不動山、千回沢山、 釈迦嶺、冠山、若丸山、磯倉、そしてMICKEYと秋に登った能郷白山も綺麗に見える。スゴイ! 山日和さんはこの山頂にずっと恋焦がれ、幾度か機会があったものの、林道の状態、天候、 雪や徒渉の状況で結局取り付くことが出来なかった山だという。感慨無量の表情だ。 単独行の男性の足跡からは、さらに北進し、天草山の方へと進んだようだ。 14:20 展望を楽しむ3人より暑さにバテやすい僕は一足先に下山開始。 夏小屋丸(1294m)の地点も難なく通過でき、デポ地に戻り(14:55)ザックの整理。 ほどなく3人も到着し、下山の準備。 美濃俣丸を経由して下山するには時間不足となってしまった。しかし、笹ケ峰だけでもみんな 十二分に満足しているので、あの徒渉を回避するために、昨年ことちゃんが林道終点にある はずという丸木橋を目指して支尾根(ロボット尾根)を下ることにした。 |
名残惜しい稜線をあとに | ロボット尾根を下る |
林道終点からのルートと合流する広いCa1090地点にはテントが一張り。ご夫妻のようだ。 ここからCa722m地点を目指し尾根を下るが、ことちゃんが言うように、展望のないおもしろ みのない尾根。だが徒渉回避はありがたい。途中でツボ足で下るほうが楽なのでスノー シューをはずし、Ca722m地点の手前で尾根筋から左の谷へと山日和さんはルートをとる。 杉林に入るとズボッ、ズボッと伐採木の雪の隙間にはまりだし、実に歩きにくい。 |
谷間には滝も数本見える | 丸木橋を渡る洞吹さん |
16:50 白谷の右岸出合部分に出て、少し川沿いに左へと行くと丸木橋があった。 川の水量は勢いが強い。体重テストで僕が先に渡った。しっかりしている。 ここからは雪の残る林道を黙々と歩く。大河内集落を過ぎると天草山からの南西尾根取り付 きの大河内神社の鳥居がある。単独行の男性は笹ケ峰から天草山を回ってここに下りてきた ようだ。彼の周遊ルートは、早朝出発とロボット尾根を使った、なかなかの健脚ルートに思う。 帰路には明るいウチに通過したいと朝心配した林道雪斜面の滑り台状態地点も通過できた。 ことちゃんが調子悪いのか、足取りがゆっくりになった。しかし一歩一歩と確実に進んでいる。 |
残雪の林道を戻る | 日露戦争記念の石碑 |
18:30 車の駐車地点に到着したとたんに真っ暗になった。「闇下ギリギリの読み通りですね」 「ヘッデンを使わずに済んだなぁ」「ホントホント」 シーズンが終わり静かになった今庄365スキー場のやすらぎの湯(500円)で汗を流し 山日和号と別れて帰路についた。(下山報告が遅くてMICKEYから心配のメールが(^^;)) 途中のSAで2時間半寝たので自宅には午前2時着。父の四十九日の法事に実家へ向かう。 素晴らしい残雪の山を楽しむことが出来た。山日和さん、洞吹さん、ことちゃん、ありがとう! |
本日のルート |
この1つ前の記録は「【岡山】残雪の駒の尾山から後山」の記録です |