【兵庫】あがりこ大ブナ尾根から蘇武岳

昨日土曜は天気が良かったが山に行けず。もう山は黄葉も終わっていると思うが、今日の
日曜も天気が良さそうなので、冒険家・植村直己のふるさとでもある蘇武岳を、「あがりこ
ブナがある尾根」と、ふぉれすとさんや丹波のたぬきさんがオススメのルートをなんとか
見つけて登ってみることにした。（cf.あがりこブナ）　全くのバリエーションルートだ。

朝５時半に家を出発。中国道から舞鶴道に入り北近畿道を走っていると、Google　Maps
APRSで、僕の車の走行位置を家で見ていたと、丹波のたぬきさん(JN3IRC局)から氷上辺りで
無線が入った。万場スキー場のどの辺りを進めば取り付き点に近づけるのかが地図を見ても
よくわからなかったのだが、その疑問点のアドバイスを聞けたのは実にありがたかった。

万場の集落に近づきつつ山を見上げると「えっ？」と驚く。中腹の上部が白い。雪だ。
今日はアイゼンは持ってきていない。今の気温は５℃。気温が上がれば大丈夫だろう。

８：２５
集落に入り、左に神社、右にトイレのある広い駐車場と地図看板。まだトイレの階段は
取り外されていて、今日がスキー場開始前の手直し工事のようで工事の車が２～３台来た。
地形図を見てトイレの右側を行ったが違う。戻って左へ。こちらが正解だった。

チケット売り場を過ぎて右にリフトを見ながらどんどんと未舗装路を進む。しかし、別の
尾根から戻ってくることを考えると、チケット売り場辺りに戻って車を置いておいた方が
良いので、元来た道を戻ってチケット売り場の手前の広場に駐車して準備した。

８：５０
出発。チケット売り場から人が出てきてスキー場開始前の大工仕事をされていた。
「おはようございます」と挨拶。どこに行くのだろうかと怪訝な顔をされていた。

第一カーブの所に沢筋に入っていく踏み跡があったので行くか行くまいか迷ったが、堰堤が
ありそうなので第三カーブから沢筋の左岸に入った。
最初はススキをかき分けるがすぐに路肩に林道らしきガードワイヤーが出た。
「平成８年林道整備・林道神鍋蘇武線」という白杭。林道のようだが今や廃道状態。
アスファルト部分や溝もあったがすぐに無くなりその延長上は土砂斜面で進める状態では
ない。細引きロープも持って来なかったので適当なところから斜面を慎重にジグザグに沢
まで下りた。右岸に飛び石で徒渉し前進。

９：２０
小さな滝の右岸を通過して、次には岩壁からなかなかの水量の滝が眼前に見えた。
「いいねぇ」沢登りでも直登には難しそうな滝だ。「巻くなら左岸斜面だな」と斜面を登る。
５分も登ると林道の延長上か、未舗装の木馬道のような道に出た。これも１０分ほどで
終わり細い踏み跡となり植林帯を出て、カツラの木やミズナラがある沢筋左岸を進む。
右上の稜線までの自然林の黄葉もきれいだ。沢筋に下りて飛び石で渡渉し右岸へと進む。

期待感がどんどん上がる。「ふぉれすとさんに教えて貰った大ブナに会えるかなぁ」
なんという素晴らしいブナが残る尾根なのだろう！。尾根筋は勿論、右や左の斜面にも
あがりこ状態のブナが点在する。スラッとした太いブナも良いが、あがりこブナも力強く
なかなか良い。多くのコブがいかにも長い年月を耐えてきたという力強さを感じる。

１１：０５
「うわっ」なんとも大きな杉が迎えてくれた。アシウスギとも違う風格がある。
まだまだブナが続く尾根。「新緑の頃もきっと素晴らしいだろうなぁ」

１１：１０
P1007m。もっと明確なピークかと思ったが踏み跡もほとんど無い。
ここからは稜線を南へと進む。思ったほど踏み跡もはっきりしていない膝高の笹原。

右手（西側）に雪の林道がすぐそばまで迫ってきている。P997mへは登らずトラバース
気味に進むことにした。急に雪道に足跡が増えた。林道から入りこの辺りから蘇武岳に
登る人もいるらしい。雪がうっすらかぶったロープのある丸太階段を登る。ロープもブナに
くくってある。登り切ったところが下山に使う東への尾根だったが、気がつかなかった。
まだまだブナが続く。
下山してくる男性２人とすれ違った。そして男女２人ともすれ違った。そして単独の男性。
案外、早い時間に登っておられるのだな・・・・どこから登ったのだろう。

山頂直下の林道から登っている空身の３人の声が聞こえてきた。山頂への丸太階段も雪。
しかし、気温が上がってきてぬかるみ状態に。滑りやすく下山時が思いやられる。

１２：１５
蘇武岳 1074.4m。以前登ったのは平成１１年の９月に相棒とワンコとともに登った。
あのときは源太夫滝の方から登った。山頂の木柱の文字はあの当時のようには全く見えな
いくらいに消えてしまっていた。もう１２年前になり山頂の様子の記憶も薄れている。
三角点の横には当時と同じく展望板があり山の配置が良くわかる。南に但馬妙見山、北に
三川山、南西に鉢伏、氷ノ山などが見える。

空身の３人が下っていき、山頂は僕一人となり静かになった。寒いのでジャンパーを着た。
テルモスのお湯で豚汁を作り、おにぎりを食べた。

無線機ID-92を出して、青玉神社から青倉神社へのルートを歩いているやまあそさんや
丹波のたぬきさんをコールしたがつながらず。やはり今日は山ではないので無理のようだ。
和歌山県田辺市の護摩壇山のJE3XJSさんのＣＱに応答。直線距離で１８０kmあるが、
よく聞こえる。
VX-8でAPRSを発信。暁晴山のJH3YBD-1局に届いたようだ。これで相棒にも僕の登頂が
Google Maps APRSにも表示されたので家にいても伝わる。

１２：５５
下山開始。やはり下りは雪が溶けてどろんこ状態。滑りやすく慎重に下る。
雪の上に踏み跡が続くのでサッサと歩いていた。しかし、どうも来たときと木々の様子が
違う。地形図とコンパスで確認。予定の東支尾根の手前の尾根に入っている。軌道修正。
しかし、先ほどの尾根を下って行っている下りの足跡の人はどこに行くのだろう？？

登りの時に見落とした東支尾根に入るとこれはびっくり。快適な幅の広い登山道で両側に
はブナ、ブナ、ブナ。登りに使った万場の支尾根のようなあがりこブナではないがスラッ
とした細めのブナ林。こんなに気持ちの良い尾根とは思わなかったので自然と笑顔が出る。
「ブナ、ブナ、コブナ～♪、お腹が空いた、ブ～♪」

１３：４５
林道に出た。緑資源公団作業道とある。看板を見ると金山峠までつながっているらしい。
矢印で名色集落への下山道が示してある。次の矢印のところで僕は反対方向の備前山
(797m)方面へ進み、北へ進路を変え名色ゲレンデの最上部西の尾根を北進しようと試みた。

スキー場の平岩面の滑りやすい幅広の道を進むと、背の高い茅で覆われていて進めなく
なった。なんとなくハングライダーの飛び立つところのような感じ。
ススキの広原をかき分けて行くよりも、尾根筋の方が進みやすそうなので尾根を進む。
なんとか地形図にある名色のゲレンデ北側にある破線の北東道に出られないかと・・・。

尾根を進んでいる内はそれほど苦もなく進めた。途中で植林帯に入り踏み跡と作業道ら
しい所を行くと治山事業の丸い構造物(14:25)。それが３つあった。
その先の細い踏み跡に進むと、昭和３６年の妙見蘇武岳スキーツアーでの「遭難の碑」が
笹藪の中にあった(14:35)。その横の斜面を下るとうっすらと踏み跡が見つかり、廃道状態
だが地形図の破線道だと確信。それを慎重に拾って進んでいった。

竹林が出始めた(14:45)が倒れているのもある。「地すべり防止区域」の看板があった。
「城崎郡日高町万場仲ザミ地区」とある。ここを過ぎると踏み跡も広くなり自然林の黄葉
がとても美しくなった。「きれいだなぁ」と思わず声が出た。集落が近くなり膝高の鉄線
垣根が出てきた。

１４：５５
ゆるく右に曲がって進むと集落にポンと出た。集落を左回りに回って、朝に見たトイレの
のある広場（駐車場）横を通り、チケット売り場横の車へと戻る（15:05着）。
（このトイレのある駐車スペースに置いておくと今日のルートなら良いだろう）

久々に「やぶ温泉(500円)」で汗を流し、柿や土産を買いつつ帰路についた。
北近畿道に乗るや「吉川から宝塚２０キロ渋滞」と出た。帰宅された丹波のたぬきさんと
無線がつながり、今日の下山路のことを話す。渋滞を避けるべく丹南篠山口で下りて篠山
市街を通り、慣れた猪名川町の大野山の横を通って渋滞にあわずに帰宅できた。(18:30)

兵庫の山にもこんな立派なブナが残る尾根筋があるとは嬉しくなった一日だった。
教えて下さったふぉれすとさんや丹波のたぬきさんに感謝！
きっと新緑の頃も美しいに違いない。また来たいものだ。

追記／後日ふぉれすとさんから「やとう画像掲示板」にアドバイスを頂きました。
　　　　　「大ブナへの道は林道の第5カーブから、P1007の東尾根とカツラの谷へは
　　　　　　第1カーブから入るとすんなり行けます。
　　　　　　最初は5月21日でしたが大ブナの東側の谷下方には残雪がありました。
　　　　　　P1007の東尾根は細いブナ林ですがこの尾根も下まで素晴らしいです。
　　　　　　途中にはやっぱりあがりこが点在します。」　ありがとうございました。


700m位から上はうっすら雪が見える	スキー場のリフト横を通って


岩壁から立派な滝が	左岸を巻くと木場道か？


「おおっ、これだな！」	立派なあがりこブナ



東支尾根もブナ街道	林道(緑資源公団作業道)に出た


「うわっ、ここで行き止まりだ」	尾根筋を北進


第3カーブで沢筋へ	小滝の右岸を通過



ブナが本当に多い尾根	林道が見えてきた


でっかい杉！	裏側から


12年ぶりの山頂	三角点と展望板