【若狭】庄部谷山(856.1m)


【日 時】2007年10月20日(土)
【山 域】若狭・庄部谷山(856.1m)
【ルート】黒谷林道−庄部谷山−Ca795m−黒谷林道
【メンバー】矢問
目が覚めたときになぜか、「登山道のない山」として知る人ぞ知るブナ林の残っている山で
ある庄部谷山に「行ってみようかな」と急に思い立ち、地形図を持って朝出発。

いつものように地道で名田庄を抜けて日本海側へ。新庄から松屋の途中が道路工事で通行
止め。地元の人に聞きながら民家の路地のような車幅ギリギリの道で松屋へ抜け切れた。

松屋から粟柄林道に入り、粟柄村跡を過ぎて粟柄関所跡の石碑から黒谷林道へ北上する。
黒谷林道は舗装されておらず4WDに切り替えて大きな落石を除けながら慎重に進んだ。

駐車しようと思っていた林道カーブのふくらみにはそれは大きな角の牡鹿が日向ぼっこ。
クラクションにもライトのパッシングにもこっちを見るだけで去ってくれない。にらんでる。
秋の牡鹿は発情期で気が荒い。窓を開けて「お〜い、車をそこに置かせてくれないか」と
大声で言うとやっと起きあがってノソノソと沢へ下りていった。
対岸(西側)の尾根筋 埋もれたロープがあった!
9:40
鹿の行った沢沿いに二俣まで行こうかと思いつつ、鹿が気になり林道カーブを歩き、直ぐ左
に延びる堰堤工事用の古い林道へ入った。堰堤まで行くとどうも進みにくい。珍しくあきらめ
がはやく元の林道へもどり、地形図に載っている次の左へ延びる堰堤工事用の古い林道に
入った。左手には対岸のP583.3m山が青空に映えて綺麗だ。
「あの尾根の方が雪の頃は登りやすいのと違うのかなぁ・・」と地形図を眺めつつ、この古い
コンクリートと石に苔が生えていて登山靴にとってはめちゃくちゃ滑る林道を進む。

3〜4段続く堰堤で林道と踏み跡は終わる。堰堤を右から巻いて沢沿いに二俣まで行こうか、
この右手の崩壊地の斜面縁を登ろうかと考えた。登山靴で滑りやすい沢筋より、上に木が
見えているところまで崩壊地の際を登ろうと小滝を見てから登り始めた。これが失敗・・。
どんどん立ってくるし崩れやすい斜面だし、馬の背どころかドウマ状態で僕には最も苦手な
斜面。戻るに戻れない・・。「慎重に登るしかないか・・・」
もうすぐ崩落地も終わる・・ 巡視路のような踏み跡
つかむ草木も無い地点で、ふと横を見ると太いロープが土砂に埋まったり出たり。
「きっと崩壊部分を、ネットを張ったりしたときの工事に使ったロープの一部かも」
結び目の状態が分からず体重をかけるのは危険だが、これしかない・・。じんわりと・・。
体中から汗が噴き出し顔も汗だらけ。あと一歩がこれまた怖かったが、埋もれたネットや
針金を掘り出してつかみつつ登り、やっと細い低木をつかめる地点まで来たときには
「やはり沢筋を二俣まで行くべきだったよなぁ・・・」と、後悔と反省・・・。

(この山をすでに4度もいろんなルートから行っている山日和さんの6月の山行記録を読み
落としていた。そこには「林道が大きくUターンしてすぐ左に分岐する廃林道に入ったが、
すぐに堰堤で行き止まり。その次に同じような角度で出合う林道が正解である。
 ここまでは現役の林道だったが、分岐してからは荒れ放題。林道の原型をとどめない
荒廃ぶりである。
 終点で鉄梯子を降りて黒谷を渡る。右岸から堰堤を巻くのだが、ここも荒れている上に
ヤブが繁って鬱陶しい。前回は秋だったせいか、それほどヤブっぽい印象はなかったの
だが。 黒谷右俣の河原へ下りるとやっと落ち着いた美しい流れが迎えてくれた。
ここからの巡視路ははっきりした踏み跡となり、右岸に沿って続いている。」とあった。
駐車点から堰堤までは正解で、そのあとやはり斜面をよじ登るより沢沿いを行くと次に
記した右俣右岸の巡視路を拾えるようだ)
芦生を思わすような右俣の沢筋 秋色も所々に この地点から北西尾根へ
10:30
トラバース気味に右俣の左岸を進むと踏み跡。沢へ下りやすい鹿の足跡の斜面を下りた。
ここは浅くてまたげば渡れた。渡って少し登ると巡視路らしい踏み跡。やはり二俣方向か
ら続いている。巡視路はそのままさらに北へと延びているようだが、大きなワイヤーロープ
傷のある立派なブナのある地点で北西尾根に乗った。
尾根筋は歩き登りやすい このあたりは作業場跡??
11:05
急な登りがやや緩くなると大きな枯れた老木のある作業場らしき所。ペットボトルが
何本か落ちている。直ぐ先が送電線鉄塔。ピンクのテープで木の周囲を囲ってある。
なにか木々の研究かな。どうも不似合いなテープだ。
もうすぐ鉄塔だな 青空に映えて 鉄塔付近にはピンクテープ
振り返るとなかなかの展望。赤坂山や三国山が見える。
巡視路の土止めの階段を登ると2つ目の送電線鉄塔。
ここから先がなかなかのブナの二次林。あの恐怖の崩壊斜面登りの苦労も飛んでしまった。
ここを登ると次の鉄塔 いい雰囲気のブナ林 ここも良い感じ
「まだ細いブナが多いけど来て良かったなぁ。」とあたりを見回す。
冗談に「森の熊さん」の歌を思い出していると、80m程前方に大きな黒いものが・・・
「うわっ、熊だ。写真を撮ろう!」とカメラを構えたら、熊がこっちを向いた。
「ううっ」と僕は固まってしまった。じっとしていたら熊はゆっくりと左斜面へと消えていった。
「よかった〜・・・」胸をなで下ろした。その後は、大きな意味もない声を出しながら歩いた。

左手に細い溝状の流れがある。その上部はヌタ場のようになっていた。
立派なブナも鎮座している 雪圧で左に曲がる木々 左右に曲がった木々
ぐにゃく゜にゃ地帯 溝状を右岸へ またまた良い感じ
山頂近くになると、以前、大日分岐から三重岳の尾根で見たような曲がりくねったブナ。
重い湿った雪圧と風でこうなったのだろうか。枝が低く張りだしていてやや歩きにくい。
第二のぐにゃぐにゃ地帯 庄部谷山 山頂 秋色が進行中
11:55
庄部谷山 山頂。静かなブナ林の山頂で上を見るとところどころ秋色の葉がある。
MICKEYからのメールが来たが、返信送信時は「圏外」となった。

LWZさん作の4エレのアンテナを組み立ててみてメリットの違いをチェックしてみよう。
今日はそのためにハンディー機を2台持参した。一台は4エレのアンテナ、もう一台は
DIAMOND社のSRH999をつけて比較してみる。
4エレのアンテナを組み立てる手が寒さでちょっと辛い。
無線機をつけてみるが3局ほどの交信が聞こえるのみ。
その聞こえ具合からはメリット1くらいの差をメーターは示している。もっと高い山なら
もっと差が分かるのかも知れない。
今日はCQを誰も出していないようだ。数局呼んでみたが応答無し。

ブナの日陰で今日はやや肌寒い。上着を着る。
「ブナに囲まれて寒いなんて贅沢なことを言ってるよな」と軽く昼食タイムとした。
北にのびているのも巡視路だろうか。しっかりした踏み跡となっている。
素晴らしい展望も時々開ける 南東尾根のブナ林
12:40
下山開始。南東尾根を拾っていく。素晴らしいブナ林があったり、進路がわかりにくい
地点があったりの繰り返しの感じ。地形図とコンパスで確認に確認を繰り返す。
時々プラ赤杭がある。デカイ鹿が近くで時々走り出すので「うわっ」と驚く。向こうも驚い
ての事だろうが・・。

P850m付近で地形図確認。北東尾根に乗れば野坂岳へと続くが今日は南へと進む。
Ca795m地点の赤杭 三国山や赤坂山方面
13:35
Ca795m。ここで南西尾根へと進路変更。道無き尾根らしく「イテテテ」と、イバラも多い。
左手に三国山や赤坂山が綺麗に見える。それだけが救いだが、この尾根はイバラが多くて
地形図を見たときは右の林道に下りずに、行けるところまでCa708mまたはP674mあたりまで
は尾根筋をずっと歩こうと思っていたが「早く林道に逃げたいよ〜」と痛さに声を出していた。

西にルートを振って、一升瓶が落ちている地点から強引に林道めがけて下降した。
細い低木がある粘土質の斜面で滑る滑る。尻餅3回。メガネ飛ばし1回で林道に出た。
登った庄部谷山 林道の上にも秋色の木の実が
14:05
林道にでたらもう楽ちん。あとはタラタラと下るだけ、と思っていたら一度緩やかな登りが
あった。本当は送電線あたりまで下山時の為に折りたたみ自転車を上げておこうかと思
っていたが、斜面にもブナの多い林道で、涼しい林道歩きはのんびりしていいものだ。

林道からは、朝から登った尾根筋も向こう側に見える。
林道のカーブごとに大きな鹿が日向ぼっこをしてて、驚いて大声を出してしまった。
林道から山肌に鉄はしごのかかった巡視路口が二箇所ほどあった。
尾根を歩き通すとこの巡視路に繋がるのだろうな、と地形図を眺めた。

15:05
朝のスタート時に入った堰堤作り用の旧林道2本を右に見ながら駐車地到着。
1時間も林道歩きをしたが、なかなか気持ちの良い林道だった。

帰りは松屋から国道27号に出るのに、またあの通行止め地点を細い道を通りたくないの
で、嶺南変電所から県道213号のすぐ西に並行に走る快適な道で美浜駅前へ抜けた。
朝来たルートを帰路とし名田庄を抜けて19時帰宅。往復300キロのブナ林の旅だった。
本日のルート  赤:登りルート 青:下山ルート
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