【鈴鹿】茶屋川・又川谷から竜ケ岳(1099.6m)

先週のヌタハラ谷から桧塚劇場を経て「ヌタウ」のバリ尾根下山でヘロヘロになった。
今回は「ゆったり沢歩き」と山日和さんはいうが・・・真相は???。
竜ケ岳の山頂で、ネットでのみ知る鈴鹿や奥美濃のヤブコギ愛好家10名ほどとオフ予定。
竜ヶ岳は3年ぶり
今回も先週に続いて山日和さんの山行レポです(^^)。

【山 域】鈴鹿 茶屋川・又川谷から竜ケ岳(1099.6m)
【日 付】2006年9月10日(日)
【コース】又川谷−大井谷−右俣−竜ケ岳−石榑峠
【メンバー】山日和・こと(とっちゃん)・SHIGEKI・矢問
 明日は待望の第1回ヤブコギオフ。思えばひょんなことから通風山さんからメールをもらい
ほとんど時間を置かずに新生「山のフォーラム」が立ち上がったのだ。
その記念すべき初のオフミである。意地でも普通に登山道を歩いて集合場所の竜ヶ岳山頂
に現われるわけにはいかない。
というつまらないこだわりで選んだのが滋賀県側茶屋川支流の又川谷である。
その上流である大井谷を詰めて、普通なら大井谷乗越と呼ばれる竜と静ヶ岳の鞍部へ出る
のだが、右俣を上がり竜山頂へダイレクトに飛び出してみんなを驚かそうという趣向だ。

 前夜、SHIGEKIさんの車を石榑峠にデポして仮眠予定の茶屋川橋方面へと向かう。
峠への国道はトンネル工事で風景が一変しており驚かされる。
茨川林道の入口も鬱蒼とした林が消えてずいぶん開けてしまった。
 前夜の小宴会。矢問さんとSHIGEKIさんは初顔合わせだが、山日和を含めて3人が同
年齢ということで話が弾む。一見年令不詳のとっちゃんも一応同世代であるがいじられや
すい体質のようで、3人から突っ込まれて火だるまである。
明日に備えて早めに切り上げようと思っていたが、気が付けば2時半を回っていた。
綺麗な流れね〜 アケビが沢山あるね

10日 6:00
 予報ではまったく期待できない天気だったが、部分的に青空も覗いている。
とにかくオフ会終了まで持ってくれさえすればいい。

7:30
仮眠地点から又川谷の入渓点は林道を少し戻ったところである。
茶屋川本流を渡渉して又川に入る。本流の川幅は驚くほど狭くなっており浅い。
昨秋行った上流の真ノ谷では善右衛門谷付近が完全に伏流と化していた。
この流域はかなり打撃を受けたようである。

 又川谷も大きく変わっていた。釣りのために数え切れないほど入渓したというSHIGEKI
さんもその変わりように驚きを隠せない。
「ここにポイントがあったのに」指差す浅瀬はかつてはアマゴの泳ぐ深い淵だったのだ。
水量が少ないせいもあるのだろうが、ヒザまで浸かって抜けたゴルジュもほとんど足を濡
らさずに通過できるほどだ。
大きく蛇行しながら流れる又川は「川」という名にふさわしく、落差らしい落差もなく
悠然と流れている。

8:10
 いつの間にか川が谷の雰囲気に変わった。
白谷出合、いわゆる十字峡である。ここは左右からほぼ直角に支流が合しているのだが、
地形図では少しずれているように描かれている。
谷の真ん中にあった岩に書かれた「白谷」の文字はなかった。
消えてしまったのか、はたまた大水で岩自体が転がっていったのか。

8:30
 沢が大井谷と名前を変えるここからが「沢登り」の始まりである。しばらくは平流が
続くが、90度左折したところに「又川大滝」(勝手にそう呼んでいるだけだが)がある。
たかだか3〜4mの滝だが、おおきな深い釜に落ちる流れは堂々たる姿である。

頑張って登るわよ! あかん・・・敗退や〜
通常は左岸の踏み跡を辿って巻くのだが、ここでとっちゃんをけしかけた。
「これは水流右を直登やな」SHIGEKIさんも「当然やろ」と追い討ちをかける。
実は誰も直登したことはないのだが、そうとも知らずとっちゃんは胸まで浸かりながら
滝に取り付いた。
「ホンマに行きよったわ。アホちゃうかー」とSHIGEKIさん。すかさずムービータイム。
登り切ったらみんなで拍手して音も入れようと話し合う。

取り付きの一歩が苦しくしばらくもがいていたが、一段登ればあとは難しくないようだ。
最後の滑りそうなところもなんとかクリア、見事完登である。
「パチパチパチ」拍手が谷に鳴り響いた。
「さあ、巻こか」と巻き道に入りかけたが、滝上のとっちゃんから大声でクレームが付い
た。仕方なく反対の左からトラバースして取り付くが、ホールド乏しく敢えなく敗退。
とっちゃんと同じルートからやり直しである。「うーっ、冷たー」腹上まで水没して取り
付きクリア。今日はヒザから上は濡らさないつもりだったのに。

 SHIGEKIさんトップで小滝に挑む。と、素っ頓狂な声を上げてSHIGEKIさんが逃げて
きた。「ヘビやー」SHIGEKIさんはヘビの歩いたあとを踏むのも嫌なくらい極端なヘビ嫌
いなのだ。見てくれと中身の一致しないのが人間の面白いところである。
これも当然登るわ! 負けてられへん! これも登れるよ!
この滝はこの右ルート 待って〜、マタが裂けそう なかなか面白いやん!
 とっちゃんは滝と見ればとにかく突っ込んでいく。まさに突貫小僧(元娘)である。
まわりは面白がって「これは直登やろ」と自分では全然登る気のない滝を見ては煽りた
てる。

9:40
 これはさすがに行かないだろうと思っていた2mほどの水圧で飛ばされそうな滝。
1.流れの裏を通って 2.右へ飛び出て 3.水圧に耐えて登る!
上に回ってウロウロする様子を撮影しようと思っていたら頭から水をかぶってホントに
登ってきた。水道管の中を登っているようなもので、一瞬とっちゃんの姿が白濁した泡
の中に消えた。姿を現わしたと思ったらメガネをかけていない。
「メガネは」と聞くとびっくりした表情で自分の顔に手をやったが何もない。
「落としたー」持ってきているくせにメガネホルダーを付けていなかったのだ。

下にいる矢問さん、SHIGEKIさんに声をかけて滝つぼを捜索するが見つかるはずもなく
ギブアップ。彼女はメガネなしでは歩けない近眼なのである。
途方にくれるとっちゃんに矢問さんが「僕のスペアを貸したげよか」と神様のようなお
言葉。試しにかけてみると幸いなことに度もバッチリ。ひと安心である。
斜面の緑がまぶしく美しい 小滝が沢山あるね 右マタV字谷からの眺め
 白谷出合までの流れからは考えられないくらい、大井谷は滝が連続する面白い谷だ。

10:45
次々に直登して大井谷乗越への本流との二俣に着いた。うす曇りだった空もいつしか青
空に変わり、谷にも陽光が届き始めた。「よかったなー」とみんなの顔もほころぶが、
矢問さんだけはうかない表情である。彼は極端に暑さに弱いのだ。みんないろいろ弱点を
持っているものである。

 竜ヶ岳へ向かう右俣に入るのは初めてである。本流はここから先も10m滝を始めと
して連瀑が続き、なかなか面白いところなのだが、こちらはどうだろうか。
見上げる右俣は深いV字を刻み、山頂近くの草原も見えている。
水量は本流と比較にならないほど乏しく、連続する1〜2mの小滝をチョロチョロと流れる
のみである。V字の両岸は草付きの斜面で緑が多いので圧迫感はない。
 県境尾根への最短ルートとなる最後の二俣を右に取る。
まるで上信越の沢の源頭部のような(行ったことないが・・・)爽快な景色が広がる。
詰めの途中で振り返るとパノラマ景色が広がる
振り返ればV字の向こうには静ヶ岳とかわいらしい銚子岳の頭、そしてその奥に御池の
テーブルランドが控えている。
矢問さんはさっきからしきりとシカの角を拾っている。先頭の私がひとつも見つけられ
ないのに、いつの間にか5本も抱えて歩いていた。
1.最初は背の高いシダ 2.背丈より高い笹ヤブ 3.やっと腰高・膝高に
11:25
 水が切れると沢筋をササが覆い始めた。その中を一筋のケモノ道が続いている。
この時点では山頂12時は楽勝。ピンポイント、ジャストインタイムでみんなの前に飛び
出るには直下で時間調整が必要だと思っていた。

「12時の時報に合わせて、ポッ、ポッ、ポッ、ポーンと一人ずつ飛び出そうか」と矢問
さん。「これは4人パーティーでないとあかん」なるほど。
ところがケモノ道を覆う沢の背丈が次第に高くなり、その抵抗もかなりなものになって
きた。御池やイブネではすっかり弱ってしまったササだが、ここ竜ヶ岳ではまだまだ現
役のようだ。両手でササを掴んで一歩一歩体を引き上げる。足元に土が見えるのだけが
救いである。これで足がササの上なら前に進まないだろう。こんな時に限って頭上には
憎たらしいほどの太陽がさんさんと降り注ぐ。
もう時間調整どころではない。方向も少し狂えば山頂を外してしまう。これはヤバイかも。
 幸いなことにやがてササの丈がヒザ程度に変わった。もう大丈夫。
時間は・・・11時58分。よしっ。山頂の標柱が見えた。
SHIGEKIさんの「山頂ですな」の声を「シーッ」と制する。
なんか悪いことをしているみたいである。
個性のある自己紹介が続く 集合写真でニッコリ
12:00
 12時。竜ヶ岳山頂だ。みんながいっせいに振り向く。笑顔、笑顔のお迎えだ。
おなじみの顔、初めての顔、総勢10名ほどか。作戦大成功である。
少し遅れてハリマオさんもやってきた。なんと同じ又川から白谷の右岸尾根を上がって
きたと言う。あと20分ほど出発が遅れたら出合っていただろう。
しかし肝心の主催者、通風山さんの姿が見えない。どうしたんだろうと半分心配、半分
「しゃーないヤツやなー」という感じで乾杯。先着組は緑水さんを筆頭にすっかりでき
上がっているようである。

 しばらく歓談していると見知らぬ人が上がってきた。
「てくちんと言います。通風山さんと一緒にホタガ谷を上がってきたんですが、途中で
ダウンして」と言う。到着にはまだかなり時間がかかりそうだ。
このまま待っていても仕方がない。ご指名を頂き通風山さんの代役で司会を務めること
になってしまった。幹事の通風山さんがいなくては、画竜点晴を欠くとはこのことである。
とっちゃんがラブコールを掛けて、来ていただいた御池杣人さんから順に自己紹介が始ま
る。ネット上ではおなじみでも初めて見る顔も多い。

 宴会もひとしきり終わり、本来のお開きの時間も過ぎたが通風山さんはまだ現われな
い。携帯も圏外表示でつながらない。とっちゃんの携帯が鳴った。通風山さんだ。途切れ
途切れの電波の向こうで「遠足尾根」という言葉だけ聞き取れた。まだホタガ谷源頭か。
 全員で記念撮影をして通風山さんを迎えに行こうと下りだしたところで向こうからの
人影が見えた。走っている。
「えらい元気やなー」てっきり通風山さんだと思っていたら、走ってきたのはmayoneko
さんだった。「もう上がれないようです」と言う。
急に雨が降り出した・・・ 直ぐに止んだ。さて下山だ。
13:50
ここで急に雨が強く降り出した。全員あわてて山頂へ引き返し雨具を着る。ここで石榑
峠組とホタガ谷組に分かれて、通風山さんが来たら石榑峠へ下りて車で宇賀渓へ送ろう
と作戦を立てた。
私は石榑組だったがじっとしていられず、県境三叉路へ向かって走り出した。
ピークを下り切ったところでガスの中から人影が現われた。今度こそ本物の通風山さんだ。
「通風山さーん、山日和です」「申し訳ない」いや、そんなことはどうでもいい。
言うことを聞かない体にムチ打ってここまで来てくれたのだ。会えてうれしい、ただそれ
だけだった。去年の4月から数え切れないほどメールではやりとりしているが、会うのは
今日が初めてなのだ。会って山ほど話すことがあったような気もするが、言葉が出なかった。

 ホタガ谷チームも下りてきた。山頂までは100mほどだが、通風山さんにはその登りが
辛いようだ。下りなら大丈夫ということで、ホタガ谷チームに託して山頂へと引き返した。

14:05
山頂で待っていたマイパーティーと洞吹さん、ハリマオさんと共に下山開始。
下る山日和さんとハリマオさん 峠でTsutomuさんとテラさんにお別れ
14:35
峠に車をデポしておいたのは大正解だった。あっという間に到着。
先に下りていたTsutomuさん、テラさん、杣人さん、養老さんと別れて車の回収に向かった。

 第1回ヤブコギオフ。予想以上の人々が集まって大成功だった。
通風山さんの残念な目前リタイアを除いては。
またやりましょう。今度は通風山さんが一番乗りですよ。(^_^)

 御池杣人さん、緑水さん、緑水さんのお友達、洞吹さん、伊勢山上さんTsutomuさん
SHIGEKIさん矢問さんハリマオさん、とっちゃん、mayonekoさん、たろーさん
養老さん、テラさん、てくちんさん、宮指路さん、お疲れさまでした。
そして一番お疲れの通風山さん。これからもよろしくお願いします。
                                 (遡行山行レポ:山日和 記)
本日のヤブコギオフでの山日和隊コース 
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