【四国】石鎚山(弥山)雪中登山
【行き先】 四国・石鎚山(弥山1974m) 【日 時】 2002年12月30日(月)〜31日(火) 【メンバー】BAKU・矢問 【コース】 30日:ロープウェイ山頂成就駅---成就----二ノ鎖元小屋 --- 弥山 -- 二ノ鎖元小屋下テント場泊 31日:テント場----成就----ロープウェイ山頂成就駅 |
何年も前から行きたい行きたいと思いながら行けていない石鎚山。 29日に映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」を見ていると携帯にメールが来た。 大学時代の同級生のBAKUさんからだ。 「関西の最高峰、年末の雪の霊山、石鎚山へ行こう!」と、即決となった。 BAKUさんの都合で今夜発が出来ず、明日30日の朝5時過ぎに僕の家から出発。 日帰りできない時間着となるので山中一泊予定。 雪中テント泊もまた楽しみの一つ(^^)。 淡路島を通り徳島道を突っ走り石鎚山のロープウェイの所に10時過ぎに着いた。 駐車場のおじちゃんに雪の状況を聞く。「上は1mほどあるよ。避難小屋は救助 隊の荷物等が置いてあるけど入れてもらえるかは疑問。2組ほど今日も登ってい る」とのこと。 役行者の像があるところやおみやげ店(みんなお休み)の並ぶ道を乗り場へ。 |
ロープウェイ乗り場へ |
10時40分のロープウェイに乗る。(午前9時から午後5時まで20分ごと) ロープウェイは往復1900円。高低差850mの温度差5度の1300m地点 まで7分で運んでくれた。 売店のおばさんに夜の炊事用の水を2人に1Lずつ入れてもらい、服装の用意。 |
最高の天気だ! バックは瓶ガ森方面 |
10:50 さあ出発。スキーヤーとボーダーが多い。登山姿は僕たちのみ。素晴らしい景色。 雲1つ無く晴天+無風。スキー場のリフトは乗らずに左手の登山道を進む。 雪が綺麗。サラサラのパウダースノー。 「恵まれた天気やなぁ」と2人ともニコニコ。トレースはしっかり残っている。 ラッセルいらずで所要時間もずいぶん違う。(^^)v |
「綺麗なぁ」とBAKUさん |
11:20 中宮(石鎚神社成就社)に着いた。晴天に映えて美しい。暑くなってきて一休み。 ここから登山道は左へと続く。中宮の門を出ると八丁坂をグングンと下る。 |
中宮(石鎚神社成就社) | 登山道はこちら |
「しぇるぱさんの今年夏の報告にも書いてあったなあ」それにしても下る下る。 気持ちの良い樹氷の樹林帯。歩くのは僕たち二人の静かな山。 「紅葉の頃に来るとすごい人らしいので、今日は静かで良いな〜(^^)」 いよいよ登に入る。雪の下に丸太階段があるようだ。段差幅が一足分もなく詰め た階段なので雪の時は滑り台状態。そのうえキックステップしようとすると丸太 に当たりステップが充分に付けられなくて登りにくいことこの上なし。「アイゼ ン付けるか?」と僕。「まだ行けるわ」とBAKUさん。「試し鎖」のところで一人 下山してきた。さらに登りは続く。息を整えている若い二人の男性。テント泊装 備のようだ。挨拶して抜いていく。 |
前社森の売店小屋 | 登りは息が切れる〜 | ホントに樹氷も綺麗だ! |
12:45 前社森の小屋。昼食タイムにする。「この小屋の軒先も充分寝られるなぁ」 ここからはさらに登りがきつくなる。普通のルートは良いが、丸太階段がホント に雪の頃には困ったものだ。ステップが効かない。「山頂へ1.5キロ」の道標 を見て「あと一息や。頑張ろう」と言いつつ、重いテント泊荷物に二人とも息が 切れている。 ここからの雪質はさらに良くなり「キュッキュッ」と歩くたびに音を出す。 「まるで片栗粉の上を歩いているような良い感じ(^^)」「最高の雪質や!」 |
石鎚山への登り道が見える 日本の7霊山の1つだ |
夜明け峠を行くBAKUさん |
13:10 小さなコブを右から巻き越えると土小屋との分岐の「夜明け峠」。 ここで男女二人が下山してきた。この山では登っていく人には「おのぼりさん」 下っていく人には「おくだりさん」と挨拶するらしい。看板にもそう書いてある が言いにくい。 石鎚山が眼前に見える。「すごいなぁ」「流石に霊山って言う感じや」 13:40 キャンプサイトの看板。「ここがテン場?ほとんど雪の吹きだまりって感じやな ぁ。テント泊した形跡が全くないなぁ。上の二ノ鎖元小屋の所に黄色いテントが 見えるから、そこまで行ってみよう」黄色いドーム型テントには山岳会の名前や 氏名等が記されているが人の気配はない。前のコンテナ型の避難小屋を開け るとゴザが敷いてある三畳ほどの良い部屋。ヘルメットや食糧などのデポ品が 置いてある。3〜4人は寝られる。つぎにカチンコチンの雪で滑り台状態の丸太 階段の鎖を腕力で登り、元小屋を見る。扉が壊されている。軒下はテントを張れ るが・・・避難小屋に寝る方が快適そう。 「まだ時間はあるし下の避難小屋にテント泊物品をデポして今日のウチに登ろ うか。上の雪の状態では撤退も今日はありってことで行こう。」とBAKUさんの 提案に賛成して再度下に降りて避難小屋にデポして登頂準備。 |
避難小屋からルートを見るBAKUさん |
14:10 「行けても天狗岳往復は時間的に厳しいかもなぁ」と言いつつ山頂へ向かう。 ニノ鎖元小屋を過ぎて登るとまた小屋がある。三ノ鎖の巻き道は雪と氷でとても アイゼン無しでは無理。小屋前で二人とも12本歯アイゼン装着。 1人下山してきた。ここからが弥山への核心部だ。 岩肌にぶら下がるようにバンド状につけてある肩幅ほどの幅の狭い木道と鉄の 吊り道にしっかり雪と氷が積み上がりコワイ〜。左の手すりの鎖も所々は雪の中。 ピッケルで確保しながら通る。次は傾斜60度といわれる急斜面のトラバース。 滑ったら下まで行ってしまう。慎重に慎重に。 「うっすらとトレースが残っているけど降雪があると全くわからなくなるなぁ」 |
あと一息だ〜 | 山頂・石鎚神社 |
14:45 真新しい石鎚神社に到着。素晴らしい展望だ。神社の石積みのドアから1人出て きた。 「守番されているのですか?」「ほとんどそれに近いね(^^)天狗岳へは今日は危 険だな」と。小屋の中には山岳会の避難救助隊のラベルが付いたザックやザイル や荷物がある。 |
「やった〜」BAKUさん | 「気持ちいいね〜」と僕 |
二ノ森方面 | ここから往復30分の天狗岳方面 | 天狗岳のアップ |
天狗岳への降り口を偵察。鎖はほんの一部見えているが足場のバンドは雪と氷で 全く置き場がない状態の急斜面。ザイルで確保してステップを作れば何とか降りら れるが無しではとても無理。「こりゃやめた方が無難や」とBAKUさんと意見が一致。 岩を左から時計回りに巻き降りるここだけ行ければ天狗岳へは何とか行けそうな ルートが見えるが・・。 展望を充分楽しむことにした。 またあの吊り道やトラバースを慎重に下ってテント場へ下りることにした。 |
またトラバース道にさしかかる 傾斜60度と言われている転落注意地 |
吊り道はコワイよ〜 眼下は40mの断崖 |
ロープウェイが17時終了なので、間に合わないし無理せず山中で雪中泊。 15:30 避難小屋に着くと男性が1人、雪を溶かして水を作っている。「ここは避難小屋。 テント持ってるなら下のテン場に張ってくれるか。何かあったらここに人が来る ので。」とのこと。「テントだけ下に張って緊急時はテントに移動するなら寝る だけは寝ても良いよ。ワシと3人なら寝られるし。毎年年末年始には1件は事故 がある。明日の大晦日は夜中も登って来るしなぁ。ワシはボランティアでの見回 り。3日までここと山頂を見回る」とのこと。あの吊り道やトラバース道を夜中 に??信じられない信者さんたち(@_@); 僕らは下のテン場にテントを張りテントで寝ることにした。 来るときに抜いた2人の若者がテントを張っていた。僕らもテン場の整地にかか るがいくら踏んでも踏んでも雪が固まらない。フワフワサラサラの片栗粉のよう なパウダースノーなのだ。 |
テントも張り終えた 外張りにせずフライにした |
日が暮れ出すと寒い。−5度 水はすぐにカチンコチン(^^;) |
16:00 テントに入り明日は下山のみなので、晴天なら徳島の剣山にも行くことにした。 夜は簡単にみそラーメンとモチ+オニギリ。BAKUさんのペットボトルの水はカチ ンコチン。ビールもシャーベットらしい。僕のテルモスの飲み物はまだ暖かかっ た。 17:30位からシュラフ+シュラフカバーに潜り込み話しながらウツラウツラ。 2人とも気付けのブランデーを少量持参してきてた。 21:00から30分間、20mほど下で打ち上げ花火がどんどん光る、バンバ ン鳴る。「なんじゃこりゃ!」とテントの通気口から覗くと外は昼間とうってか わって濃霧。その中で花火が不気味。「何かの合図かなぁ」「スキー場の催しに しては近すぎる」 足音が近づいてくる隣のテントの2人かな?? そのあとしばらくすると今度は直ぐそばが明るい。隣のテントの焚き火のようだ。 避難小屋にいたおじさんの足音が近づき、隣のテントの2人に「ここは国定公園、 焚き火などしたらダメだ。何かの合図と思い下の救助隊仲間も登ってくる」等々 叱っておられた。すごい荷物だったのは薪も花火も持ってきたのか・・・??。 その後は朝の5時まで1時間ごとに音もすごい強風が吹き荒れ(上高地の雪の頃 の風よりはマシ)、テントは揺れた。 3時過ぎには1時間ほどあられや降雪があった。 6:30 2人とも早くから目が覚めていた。明るくなってきたので外に出るとガス。 「昨日のウチに登っていて正解だったなぁ。トレースも消えてるし」しばらくす るとガスが晴れだした。刻々と太陽の光で山肌の景色が変わる。「石鎚山のここ からの景色が幻想的で綺麗なぁ」と感嘆の声を上げる2人。僕のカメラはバッテ リーが冷えすぎて肝心なときに動かない。 ボチボチとテントの撤収にかかる。 |
あと一息で撤収完了 | 朝日に映える石鎚山 西暦704年に役小角が開山 |
さあ下山開始 霊山の尊厳さともお別れ |
7:40 下山開始。アイゼンを付けて下りないと危険きわまりない。 前社森の売店小屋の手前20mの雪の下の丸太にアイゼンが引っかかり前へ吹っ 飛び雪の中。ザックが重くて起きあがれない。BAKUさんの手を借りた。雪はサラ サラですぐ落ちる。女性が1人で登ってきた。「避難小屋に泊まれなかったので すか。それは厳しい洗礼を受けましたね」と笑われた。 9:15 中宮(石鎚神社成就社)に着いた。パラパラと登山者が登ってくる。明日の天気 では初日の出は望めないのでは・・。 80歳ほどのおばあさんが1人小さなリュックと長靴に軽アイゼンで登ってきた。 すぐ後ろに同じような服装で70歳を越えたおじいさんが3人。「おくだりさん。 上の雪はどうやった。道はついとるか」と聞かれた。信者さんらしい。 すごいパワー(@_@); 下山して御神酒や手ぬぐい、御札を買った。「以前、地元の男性が山頂へ参拝に 行ったときにすごく雪が深くて下山時に雪の中を泳ぐように下りたら、男性の大事 なところが凍傷で大きく腫れ上がって大変でした」とのこと。 そこまでしても信仰するのだろうか・・・。 10:00のロープウェイで下りて徳島の剣山へ向かうが、トンネルを抜けて徳島 に入ったとたん真っ黒な雲に覆われ雨が降っていた。天候回復は予報では無理。 役場に聞くと今の時期剣山リフトは動いていないので登山口から100分は最低 片道必要。登山口着予定が14時なので天候回復を待てないし、2人とも晴天時 に登りたかったので今回はパスした。 帰りは瀬戸大橋を渡り、18時帰宅。 往復725キロのBAKUさんとの関西最高峰「石鎚山」の楽しい年末雪中泊登山は 無事終了した。BAKUさんありがとう!! |
この1つ前の記録は「七種山から七種槍一周オフ」の山行記録です |