【芦生】カヅラ谷から小野村割岳・芦生古道
【行き先】 芦生・カヅラ谷から小野村割岳(931.7m) 【日 時】 2003年9月28日(日) 【メンバー】矢問単独 【コース】 芦生・須後−カヅラ谷出合−小野村割岳−尾根道・西進 −灰野への道を少し北進−芦生古道−須後 |
芦生・須後出発(05:05)−カヅラ小屋(06:24)−小野村割岳(09:25)−P813(12:00)−芦生古道−須後(13:15) |
今年、4度目の小野村割岳だ。エアリアマップのカヅラ谷ルートには破線がある が本当に踏みあと程度の道でもあり登山靴でも行けるのか、また、小野村割岳か ら演習林の外周である巨木のある尾根道を西進して須後に戻るにはどれくらいの 時間がかかるのか、この道もわかりやすいか、を自分の目と足で「道」と「時間」を 確かめたくて歩くことにした。 5:05 気温15度 演習林の入り口の仮入林届けに記入して出発。辺りは真っ暗でヘッドランプをつけて いても不気味。由良川橋を渡り井栗さん宅までは街灯がポツンポツンとついているが、 その先はない。 今日は、犬の散歩程度の速度でゆっくり目に歩きタイムを記すことにした。 5:27灰野、5:37斜めになった橋・この辺りで日の出前で明るくなり出した。 川向こうの北側の山肌の木々があちこち枯れているらしく紅葉でもないのに赤茶色。 ミズナラの木のようだ。ミズナラが枯れるナラガレ病が流行っていること。 芦生のクマの命を支えてくれているのは、ブナではなくミズナラであるとも聞く。 そのミズナラがどんどん枯れてきて、確実に広がってきているらしい。 原因はカシノナガキクイムシという暖温帯性の昆虫とのこと。この昆虫がミズナラを 枯らす菌糸類を運んでくる。一本のミズナラが病気になって枯れると、その周囲一帯 のミズナラに広がる。これに対処するには、病気になったミズナラを確実に始末しなけ ればなららいという。今日は快晴の綺麗な空なのに、ミズナラは悲しそうな姿・・・。 温暖化が芦生の森にも変化をもたらしている・・・・。 5:43赤崎ショートカット道、5:50小ヨモギ作業小屋・シラカバ林のようなケヤキ林 も少し色づきかけている。11月くらいに小屋のそばのイチョウやメタセコイア が色づく。5分ほど休憩。この小屋は中央の部屋以外は届けを出せば使えるようだ。 6:17刑部谷。ヒバ(アスナロ)保存木を過ぎて6:24カヅラ作業小屋。 朝食にし、念のため沢靴に履き替える。 6:40 カヅラ小屋横からの道でカヅラ谷へ飛び石を進む。ストック持参なので濡れずに 渡れた。右岸にしっかりした踏みあとがある。切れているところは左岸に渡るが すぐまた右岸に戻れば踏みあとを進んでいける。 6:58 ゲロク谷出合。ここから先は初めて。地図とコンパスを見ながら地形を確認する。 右にガレを見ながら7:17植橋谷(左)との二俣。右へ行く。二条5mは右を巻ける。 今日は「登山靴でも無理なく行けるのか」の確認なので、登りたい気持を押さえて 出来るだけ巻いてみる。次の5mも右を巻ける。次の上にくの字をもつ5mは左を 巻ける。二筋の斜滝4mは水量少なくフエルトが濡れる程度で登れる。 次の5mは左より右が良い。鹿の水飲み時間か、鳴き声がウルサイくらい。 というか、雄の発情期でもあるので注意が必要だ。 芦生で住む人は、この森では夕方よく出歩く熊(子連れの熊は要注意)よりも まむしとキイロスズメバチ、発情した秋のオスジカのほうがとても危険でこわい という。それにしても今朝は鹿をよく見かける。 ここからはV字型の廊下状の地形。7:48それを過ぎると2:1の二俣。左が本流だ が、小野村割岳頂上にそのまま詰められるのは右でありエアリアも右に破線を持つ。 右の沢へ進む。岩間の2m。左右に道はない。「普通の登山者にもこれが登れるの かなぁ(^^;)」と思いながら登ると、逆くの字の12mの滝。右を巻こうと登るが昨夜の 雨でぬかるんでいて滑りがひどい。左の痩せ尾根の木の根をつかみ巻く。左から 枝沢。すぐ先に二俣。コンパスで確認し左へ。 左からの枝沢を過ぎると「おーっ、すごい!」と声を上げてしまった。幅5mほどの ナメ滝25mが見える。右を巻く。濡れずに登れる2m弱の小滝が4つほど続く。 8:44二俣。右から枝沢左には17mの細い滝。この滝も濡れずに登れる。 次の垂直の5mの滝は右を巻いた。8:59最も悩んだ二俣。この沢はGPSが 効かないので自分が頼り。水量は1:1。地形図とコンパスで確認し右へ決心。 右からのカレ沢を過ぎるとナメ滝8m。それを過ぎて水筒に水を補給し、薮こぎも なく5分ほど詰めると見慣れた景色。山頂へ直接「ポン」と出られた(^^)v 9:25 小野村割岳山頂。風が冷たくて気持ちよい。山頂ポストの記念帳は大雨で濡れて ボロボロになっていた。15分間ほど行動食をとりつつ休憩。靴下もそれほど濡れて いない。靴を履き替える。 9:40 尾根道を西へ。9:57尾根道の踏みあとのままに進んでいるとP911で自然に 北尾根に乗っていく。コンパスが「北」を指したので「おかしい」と気づき軌道修正。 エアリアマップに記してある「迷・北の尾根に迷いやすい」のそのまま(^^;)。 次にそのまま進むと白い標識にマジック書きの方向。「この矢印おかしいぞ」と 思いつつコンパスを見ると、あれれ、南西に進みつつある(踏みあともしっかりある のでこの標識を見落とすと進むだろう)。矢印のように急曲がりで北西に進むようだ。 この辺は踏みあとも草に隠れて少しややこしい。大きな台杉を2つ過ぎ、踏みあとの まま進むと急に下り出す。「おかしいぞ」とコンパスを見ると、西ではあるがやや北より。 登り返し軌道修正。 10:53 鞍部に道標がある。11:00穴のある台杉。男女3人組が休んでおられた。 11:10 P832。10分休憩。ここまでは佐々里から来たことがある。ここを過ぎると巨木の 倒木が道をふさいでいるが左から回れる。この付近はブナも多くて、テン場に良さ そうな良い感じのところ。台杉が続く。 11:42 佐々里と灰野を結ぶ古道に出た。灰野方面の北西へ進む。立派な古道だ。 だらだらと登る。 12:00 P813。この先の大段谷山への道標には「ハイキング道に不適当」とある。またいつか 来ようと思い通過。かつての「水飲み場」はかれていた。その昔、美山川で仕入れた 天然ヤマメを京へ持ち帰る際の活桶(いけたご)に冷たい水を入れたところ。 「ばん取り跡」は「ばん師」が大杉を手ノコで切って持ち運べるように切った切りかぶ跡。 その先に、「灰野」と「芦生古道・須後まで1時間20分の近道」の分岐。 「芦生古道」は地図にもなくこの案内板も「復活」と書いてあるように新しい。これを使う と須後までは730峰を北進し北西の尾根を進む近道と見た。躊躇したが、灰野へ下り、 トロッコ道を歩くのもつまらないので復活した「芦生古道」を行くことにした。 平安中高校の山岳部が黄色テープをつけているようだ。途中、踏みあとが消えかけて すこしわかりにくいところもあったが、快適な尾根道。途中から急に右へ超急斜面を下る。 この斜面はテープもほとんど無く踏みあとを信じるのみ(^^;) 演習林事務所の屋根が見える。植林帯を下る。トロッコ道が見え出す。 13:09 気温20度 トロッコ道に飛び出した。あ、軌道最初の橋(由良川橋)からたった50m! 仮入林届けに下山時間を追記して13:15駐車場着。朝3台だった車が、満杯。 隣の軽トラのおじさんも帰ってきた。「ワシは6時に来たけど早く出たんだな。どこを回って きた。ほう、そりゃいい所を回ったな。ナラの木が枯れておったろう。今日はこのナラタケ 1つや。いつもはこの3倍の大きさのが沢山とれるのにのぉ。ナラの木がだいぶやられ とるわ・・。」と、ドッヂボールくらいのナラタケの固まりを1つ見せてくれた。 僕は、なめこ生産組合の兄さんとしゃべりながら土産を買い、自然文化村で汗を流して 帰路へ。美山の「かやぶきの里」は観光バスや自家用車の観光客であふれていた。 今日の「カヅラ谷」は2〜3カ所は登山靴なら滑りやすく、沢靴があった方が登りやすい ルートだ。尾根道も芦生古道も迷いやすいポイントさえつかめば快適な森林浴ができる。 ゆっくり歩いて8時間ほどのコースだった。 下記に記したような芦生に関する本を読めば読むほど芦生の村やそこに住まいする人、 そしてこの森に深い関心を持ちながら歩くことが出来るようになったと思う。 「低山趣味」(ナカニシヤ出版)広谷良韶著1800円 「芦生の森から」(かもがわ出版)芦生の自然を守り生かす会編1300円 「芦生奥山炉辺がたり」(かもがわ出版)森茂明著1600円 「芦生の森案内」(青山舎)草川啓三著1500円 「芦生の森はワンダーランド」(美山町立自然文化村)200円 |
カヅラ谷から小野村割岳 遡行図 |
沢登り「ゲロク谷右俣から小野村割岳」の記録へリンク |
沢登り「ゲロク谷左俣から小野村割岳」の記録へリンク |
この1つ前の記録は「山ネット100回記念例会山行・北摂・大野山」の記録です |