【芦生】由良川・大谷から三国岳
「凛とした原生の谷」といわれている大谷遡行 |
【日 時】2003年11月2日(日) 【山 域】芦生・由良川 大谷から三国岳(959.0m) 【メンバー】BAKU・てる・矢問 【ルート】生杉ゲート(04:40)−地蔵峠(05:10)−中山−(06:35)入渓 −(07:35)岩谷出合−(07:50)−(08:50)ツボ谷出合(09:05) −(09:40)大谷出合(10:05)−(10:00)一ボケ−(10:24)二ボケ −(10:44)6m滝−(12:55)山頂(13:35)−(14:10)岩谷峠 −(15:18)稜線P818−(16:45)地蔵峠−(17:10)生杉ゲート |
由良川源流の支流の大谷は芦生の中でもアプローチが長く、原生の森の姿を最も 良くとどめている谷と言われている。沢中1泊が基本のロングルート。 ゲキさん、山日和さん、妻恋地蔵さんに「大谷遡行」をすすめられている僕にとっては 今年の宿題でもあるこの沢筋歩きを、地蔵峠からのルートでBAKUさん、てるさんとともに 日帰り周遊を試みた。山日和さんや妻恋地蔵さんのような健脚と同じように行けるやら。 前夜10時過ぎに生杉に到着。風邪気味のてるさんはテントに寝るべく先に準備 「また、やってしもた!」テントポールを忘れたらしい。(この前の助役と同じや(^^)) 「忘れ物キング」は健在だった(^^) モンベルのムーンライトテントは三角。ザイルを車のルーフと立木間にかけてテントも 設営できた。空は星が美しい。車の座席を対面シートにし「車中小宴会」。 |
地蔵峠は初めてのBAKUさんとてるさん |
4時に起床。各自それぞれ朝食。星が出ているのに霧雨が・・・。すぐに止んだ。 林道をヘッデンをつけて出発。地蔵峠で入林届け。真っ暗なので林道で中山まで 行くことにした。中山の橋を渡らずに手前を東へ「大谷」方面へ。しっかりした林道を しゃべりながら歩いていて気付かず「あれ?登ってるよ??」あれまあ!歩きすぎ。 25分のロス。それにしても歩きすぎた〜(^^;) 「どうせ明るくなるまで沢には入らず休憩するだけだし、ドンマイドンマイ」 うっすら明るくなり、地形図を見て途中から尾根づたいに沢へ降りた。 「うわっ、綺麗なぁ」3人が同時に声を上げた。沢靴に履き替える。BAKUさんは スニーカーをデポ。帰路で回収予定。ここはP647を沢が巻いている。鞍部を越え てショートカットすることにした。降り立ったところも秋色。 両岸を覆う原始の森やトチの巨木に「心が落ち着くし癒されるぁ」とてるさん。 |
綺麗な秋色 | この鞍部を乗り越えて | また巻いてきた沢に戻る |
4:40 川巾一杯に広がるゆったりとした流れに紅葉の葉がハラハラと舞ってくる。 「3年前、ここを矢問さんとも本流を一周したなあ」とBAKUさん。 やや深い淵が出た。すぐ右上にある登山道に上がりしばらくしてまた沢に降りて 沢中をすすんだ。芦生に多い黒い岩はツルツル滑り、フェルトも効きづらい。 3人3様で滑りまくった(^^;)。(この黒い岩には大谷でもずっと泣かされた) |
どこまでも秋色に包まれて・・・ | 岩谷出合 |
7:35 沢を左に曲がると岩谷出合。右岸には炭焼き釜跡。その奥にテントが2張り。 大谷方面から男性2名、女性1名がきた。男性1名は登山靴、あとの2人は登山靴だ。 位地がわからないらしく説明。前夜はツボ谷そばでテン泊したらしい。 「キノコが多かったです」と男性。「ツキヨタケでしょ。夜青白く発光してませんでした?」 「あっ、そう言えば光ってました。食べなくて良かった(^^;)」と。 沢をしばらく下ると、ゴルジュ状になっている。「こりゃ無理や(@_@);」とBAKUさん。 山日和さんの先月の遡行記録を思い出し、少し戻り左岸によじ登ると登山道。 ずっと右手に綺麗な沢を見ながら歩ける。しかしどんどん高度は増していく(^^;) ツボ谷の前あたりで鎖場。登山道から沢へ一旦下りて、ツボ谷の滝を見学しながら休憩。 |
ツボ谷の滝を見に鎖場を降りる | ツボ谷出合の滝 | ツボ谷横の本流の滝 |
再度、左岸の登山道に復帰し、時間短縮のために行けるところまで行くことにした。 消えた辺りでまた沢へ降りた。右岸にまた登山道。しばらく歩くとハンサムな外人男性が 大きなザックを背負って来た。現在地を地図で説明。エアリアの拡大カラーコピー図を 持っていたが漢字表記でよくわからないようだ。そこから道が登り始めるので僕たちは すぐ左の沢中へと降りて沢中を進んだ。 |
大谷出合 | 癒される原生林 | カツラの巨木も多い |
9:40 やっと、大谷出合。「なかなかのペースで歩いてもやっぱり時間かかったなぁ。」 距離的に見るよりあっという間に一ボケ、二ボケという名前の支流を過ぎる。 カツラの大樹が多い森だ。トチやカエデも多い。 「最高に気持いいっすね」とてるさん。 |
滑りやすい黒い岩にBAKUさんもドボン | 6mの滝 |
10:44 谷は90度左折して6m滝がある。BAKUさんと僕は左を登り、てるさんは右を登る。 登ったところも良い感じの森だ。 「ここからがいよいよ沢登りやね〜」とBAKUさん。 5mがふたつ続く連瀑は右から巻いた。「おっ、ゴルジュや(^^)」とBAKUさん。 右へ折れた谷はゴルジュに15mの斜瀑。洗濯板のような岩肌。てるさんが登り 次に僕、BAKUさんと続いた。ややシャワーをかぶる。「おもろかったわ〜(^^)」 とBAKUさん。 |
二つ続く5mの滝の2つ目 | 15mの斜瀑は右水際登り | またゴルジュ・・・ | その左に15mの直瀑 |
続いて15mの勢いのある直瀑。てるさんが登りたそうだが、ツルツルで無理。 これは左の岩場から巻き上がった。最後の落ち口手前がややいやらしく念のため ロープを出す。 そしていよいよ核心部の最後を飾る25mの滝が見えた。記念写真を撮る。 これは右の樹林帯を小さな尾根のようなところを上がり落口へ慎重にトラバース。 「この滝は二段になってる感じやね」とBAKUさん。 |
25m(?)の滝前にて | 二俣のたびに巨木がでる |
11:50 25mの滝を巻き終えて沢にもどると再び原生林らしい小川のような流れになる。 次に出合う二俣は左がロロノ谷。僕たちは右の三ボケ方面へ。二俣の度に真ん中 に大きな木があるのもこの谷の面白いところ。3人は急にペースダウン。 寝不足と疲労が確実にやってきたのを感じる。足があがりにくくなる。 「美味そうなキノコがある」とてるさん。「それはツキヨタケやで。ブナの枯れ木や倒木 に群生するねん。椎茸やらヒラタケにも似てる中毒例の多い毒キノコ。」と僕。 |
最後のナメを登る | 巨木の横のてるさんBAKUさんは米粒 |
12:35 30mほどの水量の少ないナメ滝を快適に上がり、いくつかの小滝をこなしていくと谷は 大きく広がりトチの大木が立っている二俣。 予定どおり西から回り込むように上がる左俣を選択。 「暑いなぁ」といいながら右ヘ山頂のある斜面を回り込み稜線の登山道に出た。 |
三国岳 山頂 959m |
12:55 出た前の急登を登ると三国岳山頂。 「こんなに狭かったなんて(@_@);嘘みたいや・・・」と僕。 今年の残雪時に佐野さん達と来たときはもっと広かった。雪で周囲の笹が覆われ ていたからだろうが、それにしても雪の頃と全く違う「狭い山頂の姿」に驚いた。 昼食にした。 そこへ芦生を歩き回っているという京都の中年男性が登ってきた。今日は大谷の ロロノ谷から登ってきたらしい。「この前は大谷を90分で登ったよ。荷物をもっと 少なくしないと無理だね」「岩谷に下るの?何にもない谷でつまらないよ。また同じ 本流コースで戻るより、今なら尾根道を地蔵峠まで行くといい。赤や黄色が楽しめるよ。 岩谷峠以降はほとんど人が入っていないけど、地図とコンパスの使える君たちなら 行けるさ。注意ポイント地点はこの5カ所」と地形図で説明して下さった。 今日午後に地蔵峠を出発して岩谷出合 でテン泊予定のゲキさん達とも会うのもあきらめ、BAKUさんのスニーカーの回収も 雪の頃にして、尾根筋を行くことにした。 僕とてるさんは靴を履き替える。BAKUさんは沢足袋のまま。 13:35 三国岳山頂出発。岩谷峠への縦走路を進む。桑原と古屋への分岐を古屋方面へ。 (雪の頃に佐野さん達と桑原からこのルートで登ったのを思い出す)。 紅葉が綺麗だ。 |
秋色満開の登山道 | どこ見ても綺麗なぁ | 岩谷峠 |
12:10 岩谷峠。「三国岳・古屋」の方角のみ示されている。岩谷に下降するなら左。 しかし、今日は正面の急登を登って尾根道を進むのだ。 疲れた足にこの登りはつらかった(;_;)。ここからは踏みあとらしきものもほとんど無い。 人が入っていないらしいのになぜか真新しい虎ロープを手すりのように張ってある斜面 に2〜3度でくわした。なにか不似合いな感じがする。 15:18 3〜4回のアップダウンをヒーハー言いながら「これが近道か〜」「景色は良いけど ツライのぉ」と言いつつP818に着いた。 ここまでの迷いやすい3カ所もGPSとコンパスと地形図の併用で切り抜けた。 てるさんの携帯に今回来られなくなったじゅんちゃんからメールが入る。 「キノコの替え歌やてぇ」「どうせ僕のことは毒キノコとでも言ってるんやろ」とBAKUさん。 疲れたみんなに笑いが出た。「このロングルート、じゅんちゃん来れなくなって正解だった かもね。やっぱり一泊が体に良さそう(^^;)」とてるさん。 元は岩谷下降予定だったので、3人とも飲み水が切れかけてきた。大事に大事に飲む。 さて、日暮れまでになんとしても峠に出たい。てるさんが2人に甘栗とチョコを分けてくれる。 疲れと寝不足で、眠り込みかけてる3人は「あと一息だ!」と、むち打って起きあがった。 ここからは少し南西に進み北西に切り替わるルート。キノコがあちこちにある。 てるさんが真南の尾根に行き出す。「違うぞ〜、こっちこっち」と軌道修正。 ここからも何度かアップダウンがある。 僕も息が切れる。てるさんも足がつり出す。元気なのはBAKUさんのみ。 迷いやすい2カ所を通過してどんどん西進。 最後はやや北に向けて林道に出ればいいのだが、わかりにくい。 てるさんのGPSと僕のGPSの経度緯度の表示が10秒ほど違う。 地形図に照らし合わせて現在地を3度確認してもてるさんのは林道の西側にいることに なる。しかも枕谷よりも西。そんなはずはどう考えてもあり得ない。 まだ林道にもぶち当たっていないのだから。てるさんのGPS表示が狂っているのは間違いない。 設定の問題だと思われる。「帰ってから、きっちり調整しますわ〜。これは命取りですよね」と。 「あとはコンパスで僕が先行するからついてきて」と僕が薮こぎ開始で先に進む。 背丈高の笹藪を5分もこぐと林道が見えた。「BAKUさん、林道や!」「ホッ。着いたか(^^)」 |
てるさんも林道に出た |
BAKUさんと僕が斜面を降りてるさんを待つ。そこは地蔵峠のすぐそば。 京大の調査をしている学生が許可車で登ってきた「こんにちは(^^)」3週連続僕は 会っていることになる。少し歩くと地蔵峠のゲートが見えた。 16:45 朝書いた入林届けに下山を記した。ゲキさん達の入林届けを見ると14時入林と なっていた。「今頃、岩谷出合に着いている頃やね」と話しながらゆっくり秋色 の錦の山の斜面を見ながら生杉ゲートへ17:15着。明るいウチに着いて堅い 握手。ヘロヘロになりながら着替える3人。 「来年夏に、源流をテン泊して一周しましょうよ」とてるさん。「おう!」とBAKUさん。 「その前に、朝デポしたスニーカーを雪の頃に回収や。靴は惜しくないんやけど、 人工物をゴミにするのは良くないしね」。「エライ!つきあうよ!」と僕(^^) 雪の頃にまた来ることを約束して帰路についた。 |
本日の日帰りルート(赤:午前ルート 緑:午後ルート) |
この1つ前の記録は「芦生・中ノツボ谷遡行と櫃倉谷下降」の記録です | |
今回、大谷に同行した「てるさんのページ」にリンク |