【沢登り】 木曽駒ヶ岳:中御所谷・西横川 【日 付】 2001年8月5日(日) 【天 候】 晴れ時々曇り 【メンバー】佐野・助役・ベリ・てる・矢問 |
赤木沢の練習をかねて、木曽駒の沢に行くことになった。 4日土曜日、佐野さんと助役は矢問家にて、てるさんとベリさんは17時過ぎに 川西池田で集合。ベリさんはひげを伸ばしていて「熊さん」状態(^^) 矢問号で矢問と助役の運転で中央道の神坂PAに22時過ぎ時着。 テントにて仮眠。 5日(日)3時30分起床。駒ヶ根の大駐車場からバスで6時にしらび平に到着。 バス停(高度1662m)から5分ほど戻った橋の所から堰堤が見える。 その左岸で遡行準備。 |
この橋の向こうから遡行開始 |
6:20
遡行開始。流石に水は綺麗だ。川を石伝いに渡り、1つ目の堰堤を右岸から巻く。
そして2つ目の堰堤を左岸の草付きを登り巻く。大きな岩や大きな流木が多い。
小滝を直登するてるさん達 | 木ぎれの杖を持ち滝を登る佐野仙人 |
「綺麗なぁ」「明るいなぁ」と会話しながら岩を越えていくと二俣。
快調に進む助役 |
右には20mの滝が。そちらは東横川。本日は左の西横川がコース。 右岸沿いにみんな好き勝手に進む。助役は岩に吸い寄せられるように岩側を トップで行く。僕は沢沿いに流れに沿って行く。小滝を直登し軽くシャワー。 6:50 小さなプールのような所で休憩。ここからは4m〜5m小滝が連続する。 気持ちよく直登できる滝がほとんど(^^)v。5人5様のコース取り。 |
「どこ登ろかなぁ」と助役 |
厚さが50センチ以上ある雪渓が沢沿いにある。水が冷たいわけだ。 7:40 30mの大滝に着いた。(高度は1900m程になっていた) 右岸沿いに佐野さんがトップで登り、ザイルを降ろす。みんなはアッセンダーで 確保して順次登る。水がだんだん冷たくなってきた。 |
佐野さんは右岸の上の方です |
次の二俣の左は4段20mの滝。右の本流へ進む。ここからスラブ滝が10mナ メ、7mナメ、2段10mナメ、また2段10mナメ、3段20mのナメと続く が、「ナメ」と言ってもペタペタと歩ける角度では決してない1枚岩の急角度の ナメ?である。「怖い〜」と泣きを佐野教官に言っても「矢問さんは登れる!ロ ープはベリさんだけ」とどの滝も厳しいお言葉(^^;)これだけ急だと、どんどん 高度が稼げる訳だ(^^;) 浮き石も多く、次に続く人にそれぞれが注意し合う。 |
ベリさんの登攀指導をする佐野教官 | 「ベリさんこっち!」と佐野教官 |
9:40 左からのルンゼが入ると、10mの滝。またよく滑る。トップで僕が登っていた が、途中で佐野教官の「待て」の合図。佐野さんが僕を抜かして右岸を先に進む。 中間のバンドで待っている間もシャワーがかかり、寒いの何の(^^;) 下ではそ れを見て助役とベリさんが「寒いか〜」と笑ってる。次に佐野さんのセットした ザイルが下りてきてハーネスにセット。「支点を確保するまで待って〜」と上か ら佐野さんの声。滝の中央にザイルはあるのでそれを伝って、冷たい雪解け水が、 ハーネスと大事なところを直撃する。「まだですか〜」「まだ〜」「縮み上がっ てしまいます〜」「まだ〜」「寒い〜!!!」と大声出すと、また下から大笑い の声。「エエよ〜」の合図で滝を直登。手が体が足がしびれるような冷たさ「ウ オ〜ッ! さ・む・い〜タマが縮み上がる〜」と大声で叫びながらずぶぬれで登り切った。 笑ってた助役やベリさんも「よう、あんな所でずっとあの冷たい水かかって待っ てたなぁ」と。ホントに冷たかったでしょ(ーー;) 9:55 小滝を3つほど越えると15mの急なナメ滝。 右岸の草つきを登る。えらく滑るいやな所。佐野さんと助役が登る。それに僕と ベリさんが続く。てるさんは左岸の岩から登り切った。流石〜(^^)。 8mのナメを越えたあたりからのコースがわかりづらかった。 支流が多く、ガスがかかって実にわかりにくい。 それぞれが1/25000地図とニラメッコしながら進む。 佐野さんの指示で、僕がトップで6mの急なナメを越えて先行。 10:40 右へと少し曲がってやや広い二俣に出た。右は10mのナメ。 左は両側を岩壁で挟まれた急な今日2つ目の30mの滝。 このやや暗い感じの30m滝を登らないとならない。 |
事故発生の30mの大滝 |
「腹減った〜」の佐野さんの声で、休憩タイムとなった。10時に沢を詰め切り、 |
登攀待ちするてるさんと助役 |
てるさんがあと3mで登り切る時に事故が起こった! てるさんの下10m位のところを登ってきていた助役が手をかけた大岩がぐらっと動いた。 岩に入っていたひびからパカッと割れたようだ。助役は支えるが、耐えきれず足が離れた。 「助役が・・おちた(;_;)」 岩と助役が空中に飛ぶ。助役が岩で見えない。空中で助役が上から 見て左に岩を押しのける。岩は助役の上半身と同じ大きさ。並行に並んで同時に 5m空中を落ちで1度目のバウンド。岩は助役の方には飛ばずに真下に割れて落 ちていった。助役もバウンドし前後反転し(上下でなくてよかった)さらに5m 空中を落ちて2度目のバンドにザックから尻餅。助役の体が止まった。助役がし がみついている。あそこで止まらないとさらに10m落ちていく。「助役〜、大 丈夫ですか〜」動かない「助役〜、大丈夫ですか〜」助役の手が上がった。一度 目のバウンドで足が折れたように見えたが、立てるのだろうか・・・。「ロープ だけ降ろしてくれ〜」の声。「生きてる。よかった、よかった」と上の4人は顔 を見合わせた。佐野さんが素早く直径4センチの横に張り出した木を支点にして 懸垂で下降。負傷確認をしてザイルアップの指示。てるさんがビレーをして、 てるさんの滑落防止に僕がシュリンゲで確保。 「頑張ろうや!」と言い合ってるモノの、てるさんも僕も恐怖で足が震えている。 目が涙でうるうるする。助役を安全なところに寄せて、休憩。打撲はあちこちあ るが、むち打ちがひどい。首が動かない。インドメタシンを塗り込む。変に優し い声をかけてはならないの鉄則に従い、本人を含めてみんなで慎重にチェック。 「なんとか歩けるし、握力もある。」の助役の声に、さらにこのバンドからあと 8mほど上に続く滝を見る。左岸に赤いシュリンゲが残留されている。ここから の古い遡行記録の「まず右岸を上り、滝口直下を左岸にトラバースする」ときの モノだろう。トップの佐野さんはトラバースをとらずに右岸を直登し最後の嫌ら しいところも通過。みんなそれに続いた。ここからはハエがおおくなり、しばら くすると水も切れ、大岩ゴロゴロの岩登りが、これでもかこれでもかと続く。し かも急登ときている。さっきまで寒かったのに暑くなってくる。助役も痛みをこ らえて頑張ってる。トップを進んでた僕は途中で右のルンゼに進みかけたが、地 図確認で左に軌道修正。岩と見るとてるさんが楽しそうにトップを代わり進む。 元気〜。 12:58 廃道になってる長谷部新道の虎ロープにぶつかった。 (このロープの奥に、遭難慰霊碑があったと後に佐野さんに聞いた) 高度約2550m。高度差約900mの沢登りだった。 「着いたぞ〜」とてるさんと僕が、後ろに向かって声をかける。 |
沢を詰めた事を宣言する佐野さん |
左へ左へと40分ほど進めばロープウエイの山上駅に着くはず。 僕とてるさんが、靴と靴下を登山靴に履き替えてると3人が到着し、3人が先に行った。 ロープウェイ駅と宝剣岳が見えるところで追いつき、「てるさんと矢問さんが先行して、 ロープウェイの整理券を先にとってほしい」との助役の声に「了解」と2人は小走りで進む。 |
ロープウェイ駅をバックにてるさんに撮って貰う |
途中でそま道が崩れてたり、草で見えなかったりしたが、後続にわかるように草 を倒して先を急ぐ。ロープウェイ駅の渋滞の放送がよく聞こえるが、道は遠い(^^;) 13:40 ポンと千畳敷の公園内に出た。「ありゃ〜、立ち入り禁止の所から人が出てきた」 と観光客に驚かれた(^^;) 13:50 5人分の整理券を受けとる。黄色の170番から174番。16時26分の乗車 予定とのこと。2時間半の待ち時間。30分ほどして助役達が着いた。そのころ 着いた人の整理券は17時30分過ぎの乗車分。先行してよかった。しかし、風 が冷たくて寒い。助役は雨具の上下を着た。僕たちも上を着た。 ホントに寒くて長い待ち時間だった。 17:30 駐車場で着替えをして、僕たちに温泉をすすめる助役の声を押し切って(温めて はいけない助役を置いて行けまっかいな!)、明治亭のソースカツ丼をみんなで 食べに行き、氷でアイシングをした助役を寝かせ、矢問とてるさんの運転で帰路 をとった。23時に帰宅。助役と佐野さんは自分の車でここから帰宅。 明るくて綺麗な水の沢だった。みんなに心配をかけまいと、痛みを我慢してい た助役と、素早い行動と的確なアドバイスを常にくれていた佐野鬼教官に、てる さん、ベリさん、矢問の3生徒は感謝の気持ちで一杯です。 5人そろって帰宅できてよかった、本当によかった(;_;)。 |
この一つ前の山行記録は白馬三山の記録です。 | |
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